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第12話:グルッペンの狙い:裏の裏
登場人物
グルッペン:WrWrd軍総統
トントン:書記長
鬱先生(大先生):情報収集担当
本文
ひとらんらんの逃亡と暗殺宣言により、WrWrd軍内部は混乱に陥っていたが、グルッペンの総統室だけは異様なほど静寂に包まれていた。彼は、トントンと大先生を呼び、全ての情報が漏れた今、初めて自分の真の狙いを明かすことにした。
グルッペン「ひとらんらんとオスマンの隠し事は、全て私が意図的に作った状況によって暴かれた」
トントン「……やはり、そうでしたか。最後の補給基地の偽装作戦も、ひとらんらんを決定的な裏切り行為に追い込むための罠だったと?」
グルッペン「その通りだ。私は、彼らが家族を守るために裏切ることを確信していた。そして、彼らが家族のためにW国に重要な情報を流す瞬間を待っていた」
大先生「え? じゃあ、その情報がW国に渡ったことで、ウチの軍は大きな損害を出すんちゃうの?」
グルッペンは冷徹な笑みを浮かべた。
グルッペン「大先生。思い出せ。我々が流した**『偽の情報A』**は、何のためにあった?」
大先生「W国をミスリードするため……」
グルッペン「そして、ひとらんらんがW国に流した**『真の機密情報』**は、何に基づいて作られていた?」
大先生「……あ! そうか!」
大先生は、全てを理解し、戦慄した。
グルッペン「そうだ。ひとらんらんが最後に流した**『真の機密情報』とは、『偽の情報A』を信じたW国が、最大の戦果を上げられる』**ように設計された、二重の罠だ」
グルッペンは、ひとらんらんがスパイ行為を行うことを見越して、あえて偽の情報Aを流し続け、その偽情報が**W国の「真実のベースライン」になるように誘導していた。そして、ひとらんらんが流した「本当の機密」**は、その偽のベースラインを前提にすると、W国を最も有利な位置に誘導するように見せかけた、史上最悪のミスリード情報だったのだ。
グルッペン「ひとらんらんは、自分の家族を守るためにW国を利したつもりだ。だが、その結果は、W国の総崩れに繋がるだろう」
トントン「……恐ろしい戦略だ。グルッペン。では、なぜそこまでして、彼らを裏切らせたのですか? ひとらんらんを直接捕らえればよかったのでは?」
グルッペンは、笑みを消し、静かに答えた。
グルッペン「私は、彼らを道具として利用したかったのではない。彼らを我が軍の鎖から解放し、**W国との間に平和の橋を架ける『使者』**として利用するために、彼らの過去と決着をつけたかったのだ」
グルッペン「ひとらんらんの家族、オスマンの家族。彼らの命は、W国の指導者にとって、WrWrd軍への弱点だ。彼らが我が軍に忠誠を誓っている限り、彼らは永遠に人質から解放されない」
グルッペン「だから、彼らを**『WrWrd軍の裏切り者』としてW国へ送り込む。ひとらんらんが私を殺しに来た時、それが、彼らの家族を人質から解放し、W国と平和的な交渉**の場に着くための、最後の切り札となる」
グルッペンは、二人の裏切りを、家族を救う唯一の手段に変えたのだ。彼の冷酷さは、最終的な平和という目的のためだった。
その頃。
オスマンは、グルッペンへの復讐の念と、家族への思いを胸に、自室で軍用のライフルを手にしていた。彼の視線は、総統執務室のある、軍基地の心臓部を見据えていた。
オスマン「グルッペン。僕は、家族のために君を殺す。それが僕の、最後の血の協定メウ」
ひとらんらんがグルッペンを殺害しに来るという情報。そして、家族の命が人質であるという絶望。オスマンは、今が最後のチャンスだと判断した。彼は、軍服ではなく、W国にいた頃の外交官一族の礼服を身に着け、ライフルを手に、総統執務室へと向かった。
ここまでの隠し事の状況(12話終了時点)
グルッペンの真の目的が、トントンと大先生に明かされた。彼は、二人の裏切りを逆手に取り、W国との平和交渉の道具として利用しようとしていた。
オスマンが、家族を守るために、グルッペン殺害の最終行動を開始した。