「夕日が綺麗ですね。」
「また隠し言葉?」
うちの幼馴染は隠し言葉が大好き。
「美しくない?」
学校からの帰り道、スクールバッグを
ぶんぶんと振り回しながら
はしゃぐ幼馴染。
「それの意味..なんだっけ。」
「恥ずかしいから
自分で調べてくださ〜い。」
ここまでがいつもの会話。
なのでいつも幼馴染の会話を覚えておいて
後で調べる。
「ねね、今日さ。告白されたの。」
「なに?自慢?」
鼻を高くしながら自慢げに
喋ってくる幼馴染に冗談交じりで
どついてみる。
「なんですか〜嫉妬ですか〜?」
「違います〜軽蔑で〜す。」
「うわ〜さいてー。」
「は〜やだやだ、これだからモテ男は。」
「大丈夫、断ったから。」
「何がどう大丈夫なんだよ。」
「僕は心に決めた人が居るから
簡単におっけ〜なんてしませ〜ん。」
「え、恋してんの?」
「ずっとね。」
「へぇ、誰? 」
「無理教えない。」
「俺ら幼馴染だろ?教えろよ。」
「..幼馴染、ね。」
その表情は何故か切なかった。
「冬が恋しいですね。」
「うわ、でた。」
「うわとか言うなし。」
そんなありふれた会話を紡ぎながら
駅の3番ホーム、つまり
いつもの帰り道に並ぶ。
「ねぇ、元貴は好きな人とか居るの?」
不意に尋ねてくる。
「なんで涼ちゃんは教えないのに
俺が教えなきゃ行けないのさ。」
「僕は好きな人がいることは教えました。」
唇をとんがらせて効果音が出そうなぐらい
プンプンとアニメみたいな怒り方をする。
「まぁ、俺もずっと。片思いだね。」
「告白しなよ。」
「涼ちゃんに言われたくないわ。」
3番ホーム 電車が参ります。
「まぁ、でも 僕が居なくても
幸せになりそうでよかったよ。」
「は?それどういう…」
ご注意ください。
「日が沈みますよ。」
その言葉だけ取り残すと、
君は黄色い線の引き止めを無視し、
3番ホームの線路へ一直線に駆け抜ける。
急行電車が通り過ぎた頃には
君の色白な肌と引き換えに
真っ赤でドロドロの花が咲いていた。
キミには、今日。
君の家で伝えようと思ったのに。
同性の愛でも、キミになら
受け止めてもらえると思って
手紙まで用意してきたのに。
こんなに無惨に砕け散ることはあるの?
「明日は…晴れますか?」
原型がない君の姿を眺めながら
僕はぼそっと呟く。
コメント
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泣く、かなぴいよ
明日は晴れますか意味→私の気持ちはあなたに届いていますか…?無理😭😭😭😭
あわわわわわわわ