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「お待たせだニャン 早速式場へ行くニャン」
私は連れてこられた家のメスの猫たちに無理やり式場へ向かわされた
「やだ!離して!」
猫たちは何も喋らず私を山の上へと連行される
私は手も足も今までにないほどじたばたと動かしたが猫たちの力は強く振りほどくことができない
私が手を高く振り上げたとき右腕を抑えていた猫の耳に当たった
何かが落ちた音がした
猫たちの力が緩んだ
後ろを振り向くと女の人が放心状態で立っていたのだ
さっきまで猫しかいなかったのにどうして
そう思い下を見ると猫のカチューシャのようなものが落ちていた
「何をしている!」
ニャミ助は放心状態になっている女の人のもとへ駆け寄り急いで新たな猫耳を付けた
ニャミ助はものすごく慌てていた まるで何かを恐れているかのように
私はニャミ助が取り乱している間に低い体勢になりながら猫たちの間をすり抜け逃げた
「神様…早く来てよ…」
私がそうつぶやくと空にひびが入った
白い光が真っすぐと私のもとへ照らされる まるでスポットライトを浴びているようだ
上を見上げると二つの影が見えた
一つは大きくてもう一つは…なんだ
「あいか」
神様は地面に降りると同時に私に抱き着く
「すまぬ 我が一瞬めを離した隙に」
神様は泣きそうな声で私の肩に顔を埋める
「すまぬのぉ若い者よ」
「…どなた?」
猫の耳が生えた人型のおじいちゃん 手元には杖が握られていて雲の上に座っている
「あいか この方は猫の国を治める猫の神様だ」
「うちの若い者が迷惑をかけたな ちょっと待ってな」
猫の神様は地面に杖をコツンと着いた
私がこの世界に来た時と同じ丸いゲートが猫の神様の真横の上にできた
その中からニャミ助が落ちてきた
「あいか あいかはどこニャ」
あたりをキョロキョロと見渡しているニャミ助の頭に猫の神様は杖を落とした
「本当にすまぬのぉ こやつは欲しいものがあったら必ず手に入れたいと思う強欲ものでなぁ」
猫の神様はそう話しながらニャミ助の頭を木魚のように叩いていた
「あいかは僕の物ニャ…」
「お主は本当に…この神さんがどんな者か知らぬじゃろ…」
猫の神様は私たちの方を向く
「この神さんは現世と妖の世界を繋ぐ神様じゃぞ どういう意味か分かるか?」
私はそんなすごい神様に小さい頃 婚約を申し出たことに顔が真っ赤になる
「ニャミ助といったか」
「ニャ 二ゃイ」
ニャミ助は背筋をピンとしその場に緊張が走る
「我はあいかと結婚するのは婚約を申しだされた時から様々な世界に報告をしている」
…え?
「それはこの世界も一緒で報告をした その上で我のあいかを奪うと」
「も 申し訳ありません どうかお許しを」
ニャミ助は片膝をつきずっと謝っていた
神様は目だけを動かしニャミ助を睨む
「この猫の世界を無くしてやってもいいんだぞ」
ニャミ助はゾッとし猫の神様に助けを求めるかのように顔を見る
「わしはこの世界がなくても生きてはいられるからのぉ」
すごく緊張した雰囲気 神様はすごく怖い顔でずっとニャミ助を睨んでいる
「か 神様?」
「どうしたあいか どこか痛むか?」
私の方に振り向く 私にはやわらかい笑顔を向けてくれる
「もう行かない?今日は私の誕生日でしょ…?」
「あぁそうだな その前にこの世界を壊す」
神様が右手をニャミ助の方に向け手のひらが光りだす
「ま 待って!」
「どうした?そなたをさらったやつだぞ?」
「…ニャミ助のお嫁さん達に会って一人でも危険な目に合うとすぐに飛んで助けようとしてくれてたの 本当はすごく優しい人ただ独りになる恐怖がすごいだけなんだと思うの」
「…若い者は優しいのぉ わしと同い年なのにどうやったらこんなべっぴんさんに巡り会えるんじゃ」
「同い年…?」
私は神様の方を見る
「あぁ 言っていなかったな我はもう何百年と生きて猫の神様と同い年だぞ」
「え じゃあなんで姿が…」
「我は姿が老いないのだ 昔少し悪さをしてな」
あまりの意外な過去の情報に驚いていた
「この話はまた今度な」
神様は私の頭を優しくなでてくれた
「そろそろ帰るか あいかの誕生日が終わってしまう」
「え、そんなに時間経ってるの?」
「この世界と現世では時間の流れが違うのじゃよお若い者よ」
「さぁ帰るぞ この世界はあいかに免じて壊さないでおいてやろう」
神様は私に手を差し伸べる
「本来ならもうこの時間には式は終わっていたのだがな」
「結婚式は誕生日じゃないとダメってことじゃないんだから私は大丈夫よ」
私は神様の手を取り抱き寄せられる
「高いところは好きか?」
「高いところ…そんなに」
「なら目を閉じていろ すぐに終わる」
私は目を閉じる
「いい子だ」
地面についていた足がつかなくなった
「…飛んでる?」
「高いところが無理なら今目を開けない方がいいぞ」
「…ちょっと見てみたい」
私は恐る恐る目を開けた
目の前にはまるで江戸時代の夜にタイムスリップしたかのようなきれいな景色が広がっていた
「綺麗…」
「この景色は初めて見るのか?」
「うん…私は地元から出たことないから」
「では我がいろんな場所へ連れて行ってやろう どこへ行きたい?現世だけでなくいろんな世界に連れていけるぞ」
私は少し悩んだ
「んー 最初は神様とのんびり過ごしたいな」
「…わかった そうしよう」
神様の顔が少し赤くなったような気がした
私には赤くなった理由がわからなかった
無事現世につき狛犬ちゃんの元気なお出迎えが待っていた
「お嫁様ー!」
「狛犬ちゃんだ!」
狛犬は私のもとへ飛び込んできた
「僕ちんが離れちゃったからこんなことに…」
狛犬は大量の涙を流して私の服はびしょびしょになった
「その辺で泣き止め あいかが風邪をひいてしまう」
「あぁ また僕ちんがぁ」
「あいかすぐに風呂の準備をさせる 先に入ってこい」
「あ でもお風呂場の場所がわからない…」
「そういえばこの屋敷の案内をしていなかったな」
神様は屋敷を案内しいろんな場所を歩き回った
これは絶対に迷子になる
「案内をしている間に風呂の準備ができたらしいぞ 先に入っておいで」
「あーと…どこだっけ」
神様は笑いながらため息をつく
「確かにこの屋敷は広いもんな 風呂も広いから迷子になるといけない 一緒に入るか?」
顔が真っ赤になり口が開いたまま硬直する
神様が私の方へ近づき顎を持ち上げ神様の顔を見上げる
「そんなに恥ずかしがらなくてもそのうち嫌って言うほど見るんだから」
さっきの顔の色よりさらに真っ赤になる
「ひ ひとりで行けるから大丈夫!」
私は小走りでお風呂場へ向かった
くねくねした屋敷の通路を何とか通り抜けお風呂場に着いた
「やっとついたぁ」
脱衣所には大きな鏡があった
「鏡大きい!すごーい!」
私は見たことのない鏡の大きさに大興奮
私は興奮を抑えまじまじと鏡を見る
「やっぱり私ってかわいい…」
ボソッとつぶやく
「そなたはいつでもかわゆいぞ」
いきなり戸の方から声がして勢いよく後ろを振り返った
「戸が開いていたので歓迎されていると思ってな」
神様がにこっと微笑む
私の顔が真っ赤になり神様を脱衣所から追い出そうとする
「我をこのように扱うのもなど久しいな」
神様はまるで小さな子供と遊んでいるかのように笑う
「今から服脱ぐところなんだから」
「夫と風呂に入れないとは」
「まだ夫婦じゃないでしょ」
やれやれと言いたげな顔の神様を脱衣所から追い出しお風呂に入る
お風呂から出ていい匂いがした
「あいか もう晩御飯の時間だ 今日はご馳走だぞ」
神様に手を引かれついていく
神様が戸を開けると食べきれないような量のご馳走が並んでいた
「すごーい!」
「今日はあいかの誕生日だからな」
ふと机の周りの座布団を見ると四つあった
私、神様、狛犬ちゃんと…だれ?
私が座布団を凝視しているとその目線に気が付いたのか
「座布団が多いか?あいかの誕生日と結婚を祝うのにもう一人必要であろう」
その時屋敷の戸が叩かれた
「お邪魔します」
玄関の方へ行くとお母さんがいた
「やっぱりこのお屋敷はいつ来ても広いのねぇ」
微笑むお母さんの方へ駆け寄る神様
「もう料理の方はできておりますよ こちらへ」
神様はいつもの事かのように案内をし始める
「え!お母さん!?」
「なぁに?」
「…驚かないの?」
恐る恐る聞いてみると
「えぇ だってあいかの小さい頃からずっとお話しているからねぇ」
「そういえば最初神様がそんなことを言っていたような…」
私が考え込んでいると神様がこちらへ来た
「料理が冷めてしまうぞ」
神様は私をひょいっとお姫様抱っこをした
お母さんの前でめちゃくちゃ恥ずかしい
ちらっとお母さんの方を見るとまるで恋愛小説を読んでいるかのようなうっとりした顔をしていた
いざ席に着きご馳走を食べ始める
「「「いただきます」」」
私たちはたくさんのご馳走を食べ終わると神様は私の隣に来た
「あいか 我はずっとそなたの18歳の誕生日を待っていた 日常生活で支障が出ないようそなたにだけ我が見えないように呪いをかけていた やっとあいかの目に映り触れることができる」
神様はそっと私の左手を取る
「本当なら今日はもう式を挙げて夫婦になっていたが色々あったな」
私の左手の薬指にキスをする
「明日はここに本物の指輪を送ろう」
私は顔が真っ赤になり固まっていると隣から拍手が聞こえてくる
「いいはねぇ若いって…」
お母さんは目に涙を浮かべながら拍手をしていた
「お母様 数年前ではありますが結婚を許していただきありがとうございます お母様とあいかはこの屋敷は出入り自由なのでいつでもお越しください」
その言葉でお母さんはさらに泣いていた
「あいか 幸せな人と結婚したねぇ」
「お母さん…まだ結婚してないよ」
「いいのよ 本当は今日が結婚式だったんだから」
「明日の結婚式絶対に行くわね」
お母さんは一通り泣き帰っていった
「我はそろそろ寝るがあいかはどうする」
「んー 私も寝るかな」
「その前に鏡でも見るか?」
神様は意地悪そうに言う
「もー 神様の前では鏡見ないもん」
私と神様は笑いあった
「それじゃあ寝るね」
私は自分の部屋に入った
神様も入ってきた
「ん?神様?」
「どうした?」
なにか問題でも?といった顔で見てくる
「別々で寝るんじゃ…」
「もうすぐ夫婦になるのだぞ?我はあいか隣で寝たいのだ」
神様の圧に負けて一緒の布団で寝ることになった
布団の中で神様が私を抱きしめる
「緊張しているのか?安心しろ何もしない ただ抱きしめているだけだ」
そういいながら私の背中を一定のリズムでポンポンと寝かしつける
「私は…そんな子供じゃ…」
神様の寝かしつけで一気に眠気が襲ってくる
「今日はもう寝ろ 明日は式だ」
神様は私にキスをする
疲れていたのか 私はすぐに眠ってしまった