テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
問題集に視線を落としたまま、シャーペンを握る手が止まっていた。
(悠真さん……今は何をしてるんだろう)
思考がまたそちらに傾き、咲は慌てて頭を振る。
「……集中、集中」
そう自分に言い聞かせて、解答欄に文字を埋めていく。
だけど、心の奥底ではどうしても拭えない。
悠真の笑顔も、横顔も、夏祭りの夜に交わした言葉も、全部が鮮やかに浮かんできてしまう。
(……こんなんじゃ、受験どころじゃないよ)
窓の外は、すでに秋の夕暮れに染まっていた。
咲は大きく息を吐いてから、机に突っ伏すように顔を伏せた。