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8(は)月9(ぐ)日なので抱擁し合うにょたゆり
中太か太中で迷ったらにょたゆりを書きましょう
やはりにょたゆり‥‥!!!にょたゆりは全てを解決する‥‥!!!
紫煙と珈琲の匂いが微かに混ざり合う執務室の空気に、どこか乾いた時計の針の音が響いていた。深夜二時をまわった頃、フロアの隅で書類の山に囲まれていた太宰は、ふっと息を吐き出してデスクに突っ伏した。
「ちゅうやぁ、つかれたからじゅーでんさせてぇ」
だるそうに、しかしどこか甘えた声が静寂の中に落ちる。
中原中也は手元の万年筆をぴたりと止め、鋭い視線をそちらに向けた。緩く結ばれた亜麻色の長髪が、デスクに突っ伏した拍子にさらりと流れて肩にかかっている。彼女の細身の身体は、連日の過酷な任務と書類仕事ですっかりすり減っていた。
「うっせぇ、自分で勝手に充電しろ。こっちはこっちで片付けなきゃならん書類が山ほどあるんだよ」
中也は冷たく一蹴し、再び視線を自分の手元の資料に戻した。だが、その声の端にはわずかに疲労の色が混じっている。彼女自身、今夜は目を酷使し続け、目元には薄っすらとクマが浮かんでいた。
太宰はふふんと鼻を鳴らし、のろのろとデスクから立ち上がると、中也の背後に回り込んだ。
「まあまあ、中也もいっしょにぎゅーしよ? くっつけば目元のクマも幾分かましになるさ」
「おい、邪魔すんじゃねぇって……!」
中也が抗議の声を上げる間もなく、太宰は背後からその身体にすっぽりと腕を回し、強引にしがみついた。背中に伝わる柔らかい体温と、心地よい重みがダイレクトに伝わってくる。
中也は指をぴたりと止め、わずかに眉をひそめると、太宰の脇腹にすっと手を移した。
「お前、本当に……」
呆れたようなため息をつきつつも、中也は力を込め、そのまま背後の太宰を自分の膝の上へと引きずり下ろした。不意打ちを食らった太宰は、小さな声を上げる間もなく、中也の膝の上にすっぽりと収まる形になった。
「んふ、手荒だなあ、中也は」
太宰は嬉しそうにふっと目を細めて笑い、そのまま中也の首元に顔をうずめるようにして、さらに強く腕を回した。
そのまま二人は、部屋の隅にあるソファへと移動することなく、しばらくその狭い椅子の上で固まったように抱き合い続けた。ただひたすらに、お互いの体温を確かめ合うようにぎゅーと腕に力を込める。窓の外で吹き抜ける風の音が遠くにかすむ。
「……ねえ、中也」
静かな部屋に、太宰のくぐもった声が響いた。
「なんだよ」
「中也は、ベビーパウダーの匂いがするねぇ」
「はぁ? うそつけ……ふざけてんじゃねぇよ」
中也は顔をしかめ、赤みを帯びた頬をそっぽに向けた。そんなものをつけている覚えはない。だいいち、男勝りに生きる自分がそんな甘い匂いをさせているはずがなかった。しかし、太宰は満足げにふふっと喉を鳴らし、中也の首筋に鼻先をスリスリと押し当てる。
「本当さ。なんだか安心する匂いだもの。こうしていると、嫌な任務のことも全部忘れてしまえそうだね」
「……お前がさぼりたいだけだろ」
口ではそう言いながらも、中也は太宰を突き放そうとはしなかった。むしろ、背中に回した腕の力を少しだけ強め、太宰の長い髪を乱さないようにそっと手のひらで撫でる。お互いにトゲのある言葉を交わしながらも、この瞬間に共有している穏やかな時間は、誰にも邪魔できない絶対的なものだった。
とにかくぎゅーする。言葉はなくとも、お互いの鼓動が胸元を通じてダイレクトに伝わってくる。太宰の細い指が中也の背中を優しくなぞり、中也の腕が太宰の身体をしっかりと守るように抱きしめる。かつては殺し合うように敵対していた二人が、今こうして同じ痛みを分かち合い、互いの体温だけを頼りに生きている。その奇跡のような現実を、二人はただ抱擁の強さで確かめ合っていた。
しばらくの沈黙のあと、どちらからともなく身体を離した。
薄暗い部屋の照明の下で、二人の視線がふと絡み合う。
互いの瞳に映る自分自身の姿を確認するように、しばらくじっと見つめ合った。太宰の深い瞳の奥には、いつもは隠されている甘えや愛おしさが濁りなく揺らめいていて、中也の鮮やかな藍色の瞳もまた、その熱を受け止めるように柔らかく溶けていた。
沈黙を破るように、太宰がゆっくりと顔を寄せた。
中也は拒むことなく、ただ静かに目を伏せる。そして、重なり合う唇は、これまでのどんな激しい戦闘よりも優しく、甘く、すべてを溶かすように求め合った。
名残を消し去るような、深く長いキス。息が詰まるほどの熱を孕みながらも、どこか切なさを帯びたその口づけに、二人の頭の中が真っ白になっていく。
唇が離れたあとも、熱を帯びた吐息が頬を撫でた。
どちらからともなく、お互いのシャツのボタンに手が伸びる。
「……こんな夜に、よくやるよ、まったく」
中也がかすれた声で呟きながら、太宰のシャツの白い貝ボタンを上から順に外していく。その指先はわずかに震えていたが、迷いはなかった。太宰もまた、中也のジャケットを脱がせ、ブラウスのボタンに指をかける。一つ、また一つと外れるたびに、冷えた空気に晒された肌が熱を帯び、お互いの心音が激しく波打つのが分かった。
ボタンがすべて外され、シャツがはだけると、白い肌と白い肌が隙間なく重なり合った。
「中也……っ」
「ん……っ、太宰……」
名前を呼び合う声は、すでに先ほどまでの乾いた響きを失い、とろけるような甘さに満ちていた。ソファに押し倒されるようにして身体を重ねた二人は、互いの呼吸を飲み込むように再び唇を重ねる。
いちゃいちゃとじゃれ合うように、しかし確かな独占欲を孕んだ手つきで、お互いの身体をまさぐる。太宰の華奢な肩や背中に残る淡い傷跡を、中也は愛おしそうに指先でなぞった。太宰はその刺激に身を震わせ、中也の首筋に噛み付くようにしがみつく。
「痛っ……お前、加減しろよ」
「ふふ、これくらいご褒美さ。中也だって、私のことばかり考えているくせに」
図星を突かれて、中也はわずかに顔を赤らめた。否定したいのに、太宰を愛おしく思う気持ちが溢れ出してしまい、言葉が出てこない。代わりに、中也は太宰の髪を優しくすくい上げ、その額にそっと唇を落とした。
部屋の中には、服が擦れるかすかな音と、互いの熱っぽい吐息だけが満ちていく。
外の世界がどうなろうと、組織の未来がどうなろうと、この瞬間の二人の世界には、お互いの存在しかなかった。
シャツの隙間から伝わる素肌の温もりは、さっきまで感じていた仕事の疲れを完全に溶かしてしまい、代わりに甘い痺れのような感覚が全身を駆け巡る。太宰は中也の首に腕を回し、その耳元で愛しい名前を何度も囁いた。中也はそれに応えるように、太宰の腰を引き寄せ、さらに深く身体を密着させる。
言葉にしなくても分かっていた。自分たちは互いにとっての唯一無二であり、この暗いヨコハマの夜を生き抜くための、たった一つの救いなのだと。
薄明かりの中、絡み合った手と手がしっかりと結ばれ、二人は夜が明けるまで、途切れることのない温もりを貪り合い続けた。
この間新しい言葉知りました。
「百合に挟まる男は死ねばいい」
っていうんですけどね?
………確かにそうだなって………(?)
#太中♀
夏の穂|双黒中心|低浮上
3,520
#太宰治(文豪ストレイドッグス)
コメント
7件
“にょたゆり”は正義!! にょたゆりは勿論だけど、何より推し同士の絡みは需要しかない。 8月9日(ハグの日)、言われてみれば「確かにそうだ!!」ってなりました。 もう、とにかく最高でした✨ (毎回、同じようなコメントですみません)
あら、素敵なエピソードでしたね……! 深夜の執務室で、疲れた身体を寄せ合ってぎゅっと抱きしめ合う二人の姿が、もう本当に温かくて。特に「ベビーパウダーの匂いがする」って太宰が言うところ、甘やかでいてちょっと子供っぽくて、思わず頬が緩みました。言葉はトゲトゲしいのに、触れる指先は優しいっていう中也のギャップもたまらない……。にょたゆり、正義ですね。