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「死にて~」
『ならさ …私と』
『心中しよ 』
そう君は笑って言ってくれ たよね。
死別
attention
※「死別」「赤いカラスが鳴いたから」
の曲パロです
苦手・地雷の方はback🔙
※この物語はフィクションです
この作品に出てくる人物、地名等は現実とは無関係です。
「 藤井 糸 」 『 柊 結衣 』
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「は~…しんど」
夕暮れの中
帰る気が失せてしまい、学校を出たにもかかわらず 俺は河川近くで一人黄昏ていた
学校では友達なんてもの1人すらいない
家族は心配したりしてるけど
いつも愛想を着いてしまうのが俺だ
中学に上がったものの、
勉強も出来ず友達関係も苦手で避けてばかり…運動は少しできるだけで役に立てる訳でもないし、
本当…毎日、毎日のように
“俺なんか生きてていいのか”
なんて思う。
そしてずっと願っている
「死にて~…」
と。
そんなネガティブになって色々考えていた時、後ろから
『い~と!』
と声を掛けられる
振り返ると同時にその女子は俺の方に駆け寄り衝突した
「は”ッ、」
「いって”ぇ…」
「何…結衣」
『えっへへ…糸の姿見つけてね~』
と淡々と結衣は語り始める
コイツは俺の幼馴染で優等生の女子だ。
だけど俺は
「はいはいもういいよ」
そう言って結衣の話を遮る
『あ”、ちょっとぉ~!』
『糸ひっどぉ~』
結衣は俺にブーイングしてくる
「はい、うるさい」
『相っ変わらず糸は冷たいな~』
結衣は笑顔でそんなことを言う
笑顔で言うことじゃないと思うけど
そう考えながら俺は「すみませんね~」
と軽く返す
そのせいで結衣は少し不貞腐れてしまった
こうなるとめんどくさいんだよな…
そう思い俺は結衣の頭に手を置いた
そうすると結衣は驚いた顔をして嬉しそ~な顔をしてこちらを見た
『な~にぃ…糸君デレですか~?』
「何それ」
「俺にはわかんないね」
『え~…つまんな~い』
「へ~へ~」
そうダルそうに相槌を打つように話していたら急に結衣が言って欲しくなかったことを言った
『…で、死にたいの?』
「は…」
「な、ん…急に」
『え~…そんなしらけなくても』
「…チッ」
『あ、こら!』
最悪だ。先程の独り言を聞かれていたのだ
そんなことを聞かれてしまえば結衣は止めて_
『なら私と』
『心中しよ』
結衣は笑いかけるようにその言葉を放った。
その時、俺は一瞬時間が止まったようだった。
「…は?」
不意にも俺は口を開けて声を出してしまった。
『何、そのまんまでしょ?』
『私と一緒に死のうよって』
「いや、そんなことは分かるって…」
俺は焦りと共に口が先走ってしまう
『糸は生きずらいんだよね?』
「…」
俺は本心を当てられ、何も言えなくなる
結衣はそれに察したようにこう放った
『私はもう飽きたんだよね~、この世界に』
「…何それ」
“飽きてしまった”
それはまだ分かる。
だけど”この世界に”って…
『私って、頭もいいし運動神経だっていいでしょ?』
「喧嘩売ってんの?」
『なわけ』
笑いながらそういった。
結衣は本人が言った通り、頭もいいし運動神経だっていい。
友達関係だって何も悪いことは無いと思う。俺が見る限りだけど。
「でもなんで?」
『何が~?』
君は足をバタバタと小学生のような遊びをしながら応える
「俺なんかと心中したって意味無いでしょ」
『糸だからだよ』
結衣は即答した。
**“俺だから”**と
いや、俺だからなんだよ
ただの幼馴染だろ
『じゃあ、また連絡するから…』
『今日の夜連絡するね~』
「は?」
『じゃ、バイバイ!』
「えちょ、」
結衣は爆速で帰って行った
…さすがに本気じゃないよな…?
そう思い…いや、願いながら丁度いい時間でもあった為家に帰った。
俺はいつも通りやる事は終わらせ、ベッドに潜る
「あ”~…ッ」
「疲れた」
俺は今日のことを振り返る
普通に学校に行って、授業受けて、
昼飯は一人で…それで
『私と一緒に』
『心中しよ』
俺はあの結衣の言葉を思い出してハッとする
「…やっぱ嘘だよな、」
俺はあの言葉を嘘だと信じたい。
死にたいだなんて言ったけれど、やはり
“死”というものは怖い
もし本当に心中するなら、俺は
“逃げてしまいそう”だ
そう願っていた時、ピロンと通知音が鳴った
なんだと思えば結衣からだった。
そして、俺の願っていたことと反対の言葉が帰ってきてしまった
『明後日か明明後日くらいにはもう家出たいから、用意しといてね!』
…最悪だ。
もうここまで来てしまえば結衣に
「やっぱり辞めない?」とか言ってしまえば呆れられるだろう
あの時の『私はこの世界に飽きたんだよね~』と言った時の目は本気の目だった。
俺の身体が震えてしまいそうな目だったんだ
でも、俺だってもう生きたいだなんて思えない。こんな世界、俺には似合わない
だから_
「うん、分かった」
「大体服とか食料があったらいいんでしょ」
「お金はちょっと集めとく」
と送り返した。
流石に服と食料だけではあまりにも少なすぎるように思えてしまうから
そう色々考えていたら結衣から返信が来ていた。
『あ、確かにそっか』
『死ぬならここから遠い方がいいもんね』
と予想外の返信が来てしまった。
確かにそうなのかもしれない
だけれど遠い場所って…何処に行って何処で死ぬのかも決めてないのに…
こんな簡単に決めてもいいのかと俺は少し不安になった
そして、道も分からない場所に行ってしまえば死のうと決めたところに行けない気がしてしまった
そうこうして時間が過ぎ、俺は眠りについた。
次の日になり、俺はだるい身体を無理矢理起こして学校に向かった。
そして向かった先には結衣が待っていた
誰か待っているようだったが多分俺ではないと思うのでそのままスルーした。
その時俺は腕を掴まれた
「い”って”」
「掴む力加減考えろって、」
『ごめんごめん、あまりにも』
『「俺には関係ありませ~ん」みたいな感じで通り過ぎてくんだもん』
『流石にちょっとイラッときちゃって!』
「んな笑顔で言うことじゃねぇだろ」
『えへ』
なんでこいつは朝からこんなにも元気なんだろうと不満にも思ってしまったがその気持ちは直ぐに捨てた。
「で、俺の事待ってたわけ?」
『そりゃあそでしょ』
『じゃなきゃ腕掴んだりしないも~ん』
「はいはい、でなんですか」
『ん~、一緒に行こ!』
「それだけ?」
『それだけじゃないんだけど~…』
『なんだったっけな』
結衣は呑気に忘れたように話す
「なんなんだよ」
そう俺は笑い返す
『あ』
「え何」
『いや、糸…』
『やっと笑ってくれたな』
『って!』
「え?」
『だってずっと元気なかったでしょ?』
確かに、結衣の言う通りなのかもしれない
ずっと一人でいたからか分からないけれどこれまでずっと笑っていなかったように感じる。
『これから…じゃないか』
『今日からの数日間』
『私が笑顔にさせてあげるからね』
結衣は笑いかける
言い直したのは”心中”というものがあるからだろう。
彼女はいつも通りに過ごしているけれど、少しいつもと違うようにも感じる
だけどその違う点が分からない、だからその考えを俺は一旦置いておいた
そうして学校に通う最後の二日間は直ぐに終わった。
『準備はいい?』
「…うん」
『じゃ~いくぞ~!』
「…お~、?」
『元気無!?』
「いや、そりゃこれから死ぬってなったら…ね」
『今くらいは元気に行こ~よ~…』
「あ~はいはい」
「わかったって」
結衣はまた不貞腐れてしまいそうだったから俺は慰めるように応えた。
「で、どこ行くの?」
『どこって言われてもな~』
「どうせ行くとこは死ぬとこって訳じゃないの 」
『まぁそうなんだけどね~』
「…なら海に行かない?」
「あの俺たちが良くお母さんたちに連れていってもらった海」
『え~…海、?』
『海はなんか違うんだよな~…』
『それに思い出のあるとこだったら躊躇っちゃわない?』
「じゃあ山か?」
『選択肢的にはそうかも?』
「なら山でいい、か」
『そ~だね!』
結衣は山がいいと言ったけれど俺は少し嫌な予感がした。
嫌なわけじゃない、
だけれど、少し起きて欲しくないことが起きてしまいそうな…
そんな気持ちを抱えながら俺は結衣と山へと歩いた。
「結衣…早いっての、」
『え~…山の山頂って綺麗らしいからさ~』
『私、早く見たいんだよ~!』
「だからって俺が運動神経がめっちゃいいって訳じゃないから…」
「少しはゆっくり行こ…」
『やだ!』
駄々っ子めが…
結衣のこういう所は子供っぽさを感じでイラッとする事もあるが少し気持ちが和らぐようにも感じる。
だから結衣の好きな事をさせている。
でもそのせいで_
「おい、結衣」
「ここ、滑りやすいから_」
俺が話している時、ズリッと滑るような音が聞こえた。
そしてその時、俺は最初に感じた嫌な予感が強く感じた。
『あ』
後ろを振り返ると崖から落ちてしまいそうな結衣が居た。
『ぐ…ッ』
「ゆ、結衣!」
『ッ、ごめ…ん』
「いいから早く上がれって!」
『…その、』
『足、挫いちゃって…』
『そのせいで…』
『身体に力が入らないの、』
結衣は無理をして笑う
「こんな時に無理して笑うな!」
「俺は知ってるんだぞ!」
「お前は無理をして笑うくせがあることを!」
『ッ、!』
『糸…』
「は?」
結衣は俺の手を無理矢理離して木が沢山ある森の中へ落ちてしまった。
俺は瞬発的に叫んでしまった。
この高さからあそこまで落ちてしまえば死んでしまうと直ぐに気づいたから
そして考える間もなく俺は走り出した。
結衣がまだ生きていると信じて_
「結衣、結衣ッ…」
俺は焦る様に結衣を探した。
早く見つけないと俺が見つけた時に亡くなってしまっている可能性もあるから
そう探し回っていた中結衣を見つけた。
「ッ! 」
「結_」
だけれど見た瞬間、俺は息が出来ないように息が詰まった。
腕に大きな傷に足には挫いた後に中くらいの木の棒が刺さっているようだった
そして、腹部に大きな傷があった
服に血が滲んでいて、俺は力が抜けてしまった
「ゆ、結衣… 」
「なぁ起きろよ、」
「結衣!!!」
俺は結衣が死んでしまったことを信じたくなかった。
「俺と心中するんだろ?」
「約束…しただろ、」
俺は涙を目に浮かべながら結衣を揺さぶる。
「お願い、」
「お願いだ…」
俺は願っても叶わない事をずっと祈り続けた。
結衣を”生き返らせてくれ“と
そんな中、結衣の手元に落ちている結衣のスマホを見つけた
だけれどもうスマホは使えなくなっていた
「なんだよ…クソ、ッ」
俺は結衣を置いて行かなければならないと思った。いや、考えた。
俺も、死ななければ”心中”にならない
もうこの時点では”死別”になっているのに
俺は今の時刻を見るためにスマホを開いた。
そこには、
結衣からの最後の言葉があった
多分落ちた後の残りの数分で書いたものだろう
俺は見るのに躊躇ったが、今見ないといけないと思った。だから、その通知をタップした。
糸へ
さいご、こんなかたちになっちゃづたね
ごめんね
いっじょにしのうっていったのに
わたしがやくはくやぶっち(った
さいごにね、いちたいんだ
わたし、糸のことかますきだよ
いえなくてごめん
でもさいごにつたえられてよかった
まってるね
大好き
その言葉で結衣の最後の言葉が終わった。
俺は涙を流さざるを得なかった
所々誤字をしているのは、頭が朦朧とした中頑張って書いたのだろう。そのことも考えると胸が痛い
結衣がいなくなってしまった今、俺は1人で死なないといけないと俺はその想いを強く飲んだ。
俺は結衣を置いていくことが嫌だったけれど、結衣を連れて行ってしまうと犯罪を犯したと思われてしまう。
だから結がいつもみにつけていたリボンのような飾りを貰った。その時気づいたんだ、結衣は泣いていたんだろうと
結衣の頬には一滴の雫が落ちていたから。
「ありがとう…結衣」
俺が最初に言ったあの海へとその場を後へと向かった。
ごめん…結衣
ありがとう…
俺も、
___。
俺は走って、足が壊れるまで走った。
あの海に俺は行く為に、
「ここだ、」
「このトンネルだ…」
「このトンネルを通り過ぎたら…」
俺の胸は跳ね上がるように鼓動が早くなった。
ここを通り過ぎてしまえば、俺は死を迎える
それ自体に俺は恐怖心を抱いてしまっているんだろう
だが_
「ここで…逃げたらダメに決まってんだろ」
俺は震えながら一歩を進む
一歩、また一歩と足を運ぶ
そして、あの小さかった光が大きくなり海に辿り着いた。
「は…ッぁ、」
「やっと、着いた…」
息が詰まりながら俺は独り言を言う。
最後くらい、独り言は許してくれと思いながらまた次の言葉を発する
「なぁ、結衣…着いたよ」
「ちゃんと、来たよ」
「約束、守っただろ…?」
俺はまた震える声を出した
止めずに、この場にいない結衣に語り掛ける。
「…1つさ、気になるんだ」
「一緒に死のうって、」
「心中しようって言ってくれたのにさ」
「なんで死にたい僕を置いて言っちゃうんだよ、」
「まぁ、結局は僕も死ぬくせになぁ…」
「でも、君が早く死んでよかった」
「そうじゃなきゃ、ここまで来て逃げ出してそうだし」
俺は笑いながらまた語り掛ける。
「約束は、ちゃんと守らないといけないしな」
「今行くよ、結衣」
俺は冷たい海へ足を入れる
今は夏のせいか気持ちよく思えてしまう
だけど少ししたら寒くなるんだろうな…
まぁ、仕方ないか…
腰まで海に入った時、俺は息を吐きながら奥深くへと泳いでいく。
横を通っていく魚達が可愛く思えて、ある程度深いところまで来た時、息が苦しくなった
これを頑張れば、俺を終えれば俺は死ねる。
結衣の元へ行ける。
それだけを信じて俺は最後の時間を過ごした
そして走馬灯のようなものだろうか、
結衣との思い出が頭をよぎる。
小さい頃、俺は弱くて虫にさえ泣いていて…ずっと結衣に助けられていて、
他にも小学生の頃、結衣に誘われ渋々行った夏祭りで見た花火が思い浮かぶ。
そして、この海で俺が溺れかけた思い出も。
あの時も、結が助けてくれたよな…
ずっと、結衣に助けられてたんだな。
俺は最後の言葉を君に、結衣に贈る
( ありがとう )
( この人生、辛かったけど )
( 結衣のおかげで楽しかった )
( またね )
俺は最後の息を使って、君にこの言葉を贈った。
そして、
俺は永遠の眠りについた。
※この物語はフィクションです
次の速報です。
××月××日の午前中、△△県〇〇市の県境にある高山下で『 柊 結衣 』さんの遺体が発見されました。警察の調べによると結衣さんは山を登っている最中、足を滑らせ落ちてしまったと考えられました。
結衣さんの親は、
『あの日はいつも通り”友達と遊んでくる”と行って出掛けたんです。』
『ずっと帰ってこなくてずっと心配をしていたんです…』
『もしかしたら…と起こって欲しくなかったことが起きてしまって…私、本当に… 』
と言っております。
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また次の速報です。
先程と同じ××月××日の午後、〇〇県□□市にある△△海の底で、「 藤野 糸 」さんの遺体が発見されました。警察の調べによると、糸さん本人による自殺だと考えられています。
糸さんの親は
「あの子は自殺なんてするような人ではないんです、」
「いつの間にか私たちが糸を縛っていたのかもしれない…」
「そう毎日考えてしまって、」
「毎日…辛いです、」
「親より先に死ぬということより辛いことは無い、ですから…」
と言っております。
コメント
3件
何時間も経ったあとですが、補足です。 ↬柊の花言葉は「保護」等 藤の花言葉は「決して離れない」、「忠実」等です
最後のニュースは悲しいですね😭 先に結衣ちゃん死んじゃうのは糸的に心にきそう、つら🥲 好きな曲パロだったのでうれしいです✨