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青天の霹靂 第二章
「んゅ、あべちゃ………」
ふいに翔太に呼ばれる声が耳に届いて緩慢に瞼を上げる
目の前にはふわっふわの翔太の茶髪
温もりを求めるようにすり寄ってくる翔太はまだ夢の中だ
「ふふ、寝言か」
少し肩が出た翔太に布団を掛け直して背中に手を回す
「んぅ、あったか……あべちゃん、すきぃ」
また寝言を言いながら、ふんわりと笑みをこぼす
「ふ、かわいい」
時間を確認すればまだ早朝、目覚ましがセットされていることを確認し直して、俺も再び瞼を落とした
昨日の夜、初めて俺から翔太に好きを伝えた
ちょっと意地悪をして愛を伝えたから、翔太は真っ赤になって口を尖らせていたけど、改めて優しいキスを贈れば、本当に、本当に心の底から嬉しそうな笑顔が咲いた
その笑顔はしばし見惚れてしまうほどに、多幸感に溢れていて天使のように優美だった
こんな笑顔が見れるのは自分だけなんだと思うと、言いようのない優越感と幸福感が込み上げた
今日はもういっぱいいっぱいだと、一緒にお風呂に入ることは丁重に固辞されて、先に入った俺はベッドで寝転がって携帯を見ながら待っていた
「あべちゃん、廊下の電気って壁のスイッチ?」
お風呂上がりで血色のいい翔太が顔を覗かせた
「あ、うん、そうそう」
翔太は手足も長いし鍛えているから、俺が貸した服でもそんなに大きくはないはずだけど、どことなく可愛らしく見える
自分の部屋着を着ているというだけなのに独占欲が満たされるのか気分がいい
「ん」
パチとスイッチを消す音がして廊下の電気が消え、扉を閉めた翔太がベッドに近寄ってくる
「翔太おいで」
被っていた布団を腕であげて呼び寄せると、翔太は唇をきゅっと噛んで入ってきた
遠慮がちに俺の腕に頭を乗せ、少し緊張した面持ちで俺のことを見つめる
少し顎を引いて上目遣いになるのは、翔太の癖なのだろう
あげていた腕を降ろして翔太の腰を引き寄せる
「翔太、もっとこっちおいで」
「っ!…ん」
翔太の腕も俺の背中にまわる
ほぅと息を吐いた翔太の瞳に涙が滲んだ
「どうしたの」
「なんか、うれしいが、キャパオーバー、しちゃってっ」
そう言ってぐすっと鼻を啜る
健気すぎて、こっちは可愛いがキャパオーバーだ
「俺の腕の中はこれからずっと翔太のものだよ」
「……うんっ」
溢れてきた涙をキスで掬う
「ほら、泣かないで。笑って?」
「……ん」
背中を撫でながら問いかける
「嬉しい?」
「んっ、うれしいっ」
涙を流しながらも、ようやく笑みを零す
「ん、可愛い顔見せてくれた」
上がった頬にキスを落とすと、さらに嬉しそうにはにかむ
「あべちゃん………あべちゃん」
「ん?」
「あべちゃん、うれしい」
「そうだね、嬉しいね」
「ん、しあわせ……」
今、俺の腕の中に包まれた翔太は、みんなの前にいる時のようにツンと澄ましているわけでもなく、俺へのアピールに頑張ってあざとくしているわけでもなく、照れ隠しもせずに、ただただ素直に嬉しさに胸を震わせていた
その可愛さを噛み締めるように強く抱きしめた
そうして抱きしめたまま背中を撫で続けているうちに、いつの間にか翔太は眠りについたようで規則的な寝息が聞こえてくる
その心地よいリズムに耳を傾けているうちに、俺も夢の世界へと誘われていった
コメント
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きゃー!!絶対書けないこの可愛さ💙無敵すぎる