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「僕、しっかり寝てるはずなのに、決まった時間に眠くなるんだよね」
今日は久しぶりにオフが揃った日。
オフだからといってやりたい事も特に無く、時間の過ごし方に困っていたから💛を呼んだ。
「決まった時間?」
「そう、大体夕方の16時頃なんだけどね」
「随分正確なんだね」
「んー、まぁね」
「で?」
「あ、うん。ライブだったり打ち合わせだったり何かしてる時は問題無いんだけど、する事が無くなってボーッとしてた時とかは決まって眠くなるの」
今までの話す内容のほとんどがバンドとしての活動に関する事ばかりで、💛本人としての事を聞くのはいつぶりだろうか。
俺達は、世間には到底言えない仲になってそう短くない。
今や家族と過ごした時間より長い、と言っても過言では無い程だ。
でもそれは、「バンドメンバー」としてであって、「恋人」として過ごしてきた時間はあまりに短い。
だから、「🍏の💛」はよく知っていても「🍏じゃない💛自身」はまだまだ知り得ない事ばかりだ。
そして、話は冒頭に戻る。
彼が「眠くなる」と言った時間がちょうど今。
「もしかして、今眠い?」
「んー?…えへへ」
「眠気何%くらい?」
「……85%?」
「寝そうやないかい」
自然と関西弁が出てしまう。
元々、「今日を一緒に過ごそう」と言ったのは💛からだ。
普段は俺が誘う事の方が多く、💛から来る事はあまり無い。
でもそれは俺の疲れ具合とか、1人の時間を作れる様にと考えてくれているからで。
本当はそんな事気にせず、もっと誘って欲しいくらいだ。
それはさておき、黙ってしまうと今にも寝そうだ。
「💛?」
「ん?」
「今日なんで俺と過ごすって言ってくれたの」
俺と一緒に居るのに寝るなんてけしからん、なんて責めるつもりは全くない。
そもそも、💛は自分自身で「睡眠時間は8時間きっちり取ってる」と豪語する程、どんなに忙しくても生活習慣はかなり整っている方だ。
それでも眠いのはきっと睡眠の質が良くなく、結果的に睡眠不足になってしまっているのだろう。
「実はね、よく眠れてないんだ」
「ん?」
「ほら、僕って睡眠時間はしっかり確保出来てる方だと思うんだよね。でも、何だか最近しっかり眠れてなくて。気付けば数時間おきに起きちゃってて」
「……おじいちゃんじゃん」
「なっ、やめてよ!まだそんな歳じゃないもん!」
「はいはい」
「で、前に♥️が「僕が居るとよく眠れる」って言ってたでしょ?だから僕も♥️が傍に居ると眠れるのかな、って…」
なるほどね。
何度か制作期間に💛だけでなく💙も呼び出して同じ屋根の下に居てもらった事はある。
ろくに寝られていなかったために頭が回らず行き詰まってしまったので、一度休憩を挟むとなった時💛に枕になってもらった。
経緯は冗談だった。
「💛の膝貸して」、って軽く言ってみただけ。
でも快く受け入れ態勢を取ってくれて、頭の回ってなかった俺は「冗談だから」の言葉は出ずに、そのまま勢いで行ってしまった。
たった数十分の休憩だったのに、驚く程に快眠で頭が冴えた。
それからは事ある毎に💛の膝を借り、眠らせてもらった。
正直、役得である。
「俺の膝貸す?」
「んーん、傍に居てもらうだけでいいよ」
「あっそ」
そう言い残し、💛はソファに横になる。
それからはあっという間で、「♥️の匂い、安心する…」なんて言いながら気付けばすぅすぅと寝息を立てていた。
なんだそれは。
今日、💛が誘ってくれたのめちゃくちゃ嬉しかったんだよ。
俺がインドア派だから、「おうちデートだぁ」って笑ってくれたのも嬉しかった。
…前言撤回、せっかく一緒に居るのに寝るなんて。
それもめちゃくちゃ気持ち良さそうに。
1人にした罪は重いぞ、しっかり責任取ってもらうからな。
だから、早く起きて💛。