テラーノベル
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※暴力的な表現があります。
地雷さんはご遠慮ください。
※ご本人様とは関係ありません。
-翠said-
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キーンコーン、カーンコーン
4限目の授業の終わりを知らせるチャイムが学校中に響き渡る。
俺にとってそれは、”始まり”を意味していた。
古典の先生が教室を出ると同時に数名の生徒が立ち上がる。
反対に俺は自分の席に座りうつむいていた。
しばらくすれば席は数名の生徒に囲まれ、俺は顔もあげられないまま動けずにいた。
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制服の胸ぐらを掴まれ、教室後方のロッカーに打ちつけられた。鈍い音が教室に響き渡る。
一瞬、教室中の視線がこちらに集中した。
しかし、すぐに全員の視線は逸らされ、再び何事もなかったかのように空気が流れ出す。
教室後方のこの空間だけが、見えていないかのように。
痛い。
打ちつけられた背中が、じわじわと痛みだす。
痛みに耐えていると、腹部に別の痛みがやってきた。
翠「、ッゔぐ、、ぁ、、、」
何度も、何度も殴られる。
涙目になりながら、痛みに耐えるしかなかった。
立っていることすら辛くなり、自分の腹を押さえてうずくまりながら彼らを見上げた時、俺を囲む生徒の隙間からこちらを眺める1人の生徒と目が合った。
その生徒は興味がなさそうに、机に座ってただこっちをみているだけだった。
翠「、、、ッみこ、、、ちゃ、、」
何故彼の名前を呼んでしまったのだろう。
いじめの主犯である彼を。
机に座って側から眺めていただけのみことは俺が名前を呼んだのに気がつき、立ち上がる。みことが歩いて近づいてくると、俺を囲んでいた人たちは自然と道をあけた。
目の前に立ったみことを目上げた。
彼の目を見たとき、俺は間違えたと思った。
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長い1日が終わり校門を出ると、すでに空は橙色に染まっていた。
殴られた帰り道だけがひとりの空間だった。空を見上げると、美しく冷たくて、それですら自分を置いていってしまうような気持ちになる。
背中にかすかな気配を感じて、振り返ると少し離れた場所に、同じクラスのらんが歩いていた。
彼は小走りで追いついてきた。
桃「……すち、大丈夫?」
言葉に込められた声音は、優しさそのもの。
けれど俺の胸の奥には、ぐるぐると渦巻く何かがあった。
大丈夫、、?
なんて無責任な言葉なんだろう。
心の中でそう思いながらも、俺は表情に出さないよう、作り笑いを浮かべた。
翠「大丈夫……慣れてるから」
自分でも驚くほど、声は軽かった。
けれど、その笑みは自分で分かるくらい歪んでいて、きっと彼の目には不自然に映っただろう。
らんは何か言いかけて、けれど口をつぐんだ。
夕焼けに染まる彼の横顔には、迷いが浮かんでいた。
沈黙が流れる。靴音だけがアスファルトに響く。
俺の心臓の鼓動は、先ほどまで殴られていたときよりも、なぜか速くなっていた。
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