テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
※暴力的な表現があります。
地雷さんはご遠慮ください。
※ご本人様とは関係ありません。
-瑞side-
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
____め、こさめ?
瑞「…ッ!」
誰かに呼ばれた気がして、いやきっとずっと呼んでいて、はっとした。顔を上げると心配そうにこさめの顔を覗くなつくん。こさめはよくぼーっとしちゃう事がある。意識が遠のいていく感じ。
あんまり寝れてないからかなぁ。
瑞「ごめんなつくん!」
瑞「ぼーっとしてた笑」
冗談混じりに返事をすると、それに安心したようになつくんも冗談っぽく「聞いとけ笑」とこさめのおでこにデコピンをした。
赫「こさめ英語の時間も寝てたろ」
赫「体調は大丈夫なん?」
それでも心配してくれるなつくんはやっぱり優しい人なんだなって思う。
瑞「実は…」
瑞「ゲームしてたら気づいたら2時になっててさぁ」
瑞「こさだけ時の流れ違うよなぁ?!」
赫「なんだそれ笑笑」
なつくんとは席が前後だから休み時間に一緒過ごすことが多い。会話のノリが合うし、一緒にいて楽しい。今日もいつものように向き合ってお昼ご飯を食べていた。
すると「なつー」と呼びかけ、こっちに近づく声。まぁ呼んだのはなつくんだけだけど。
ご飯を食べるこさめとなつくんのところにやってきたのは、いるまくん。
紫「なーつ」
なつくんといるまくんは仲がいいから、なつくんと話したいんだろう。
赫「、っわ!」
赫「お前、急に座んなよww」
いるまくんはなつくんの膝の上に座り込む。
紫「俺軽いからいいじゃん?」
赫「女子かよ、てか自分で言うなしw」
2人の会話を聞きながら、こさめは自分で作ったお弁当を口に運ぶ。
紫「今日帰りゲーセン行かね?」
赫「えーまたぁ?」
紫「なつ、全然取れないもんな笑」
赫「はぁ?!じゃあ今日は俺が先に大物取ってやるよ!」
紫「おー楽しみ楽しみ」
赫「バカにすんなぁ!」
なつくんとしか話していなかったいるまくんと目が合った。
紫「こさめも行く?」
目があったからとりあえず聞いたのか、こさめに対しての気遣いなのか。
瑞「ごめん、こさ用事あるから行けないや」
どっちにしろ断っていた。
いるまくんもなつくんと2人のほうが気を遣わないだろうし。
それに、こさめは家に帰らなきゃ行けないから。
紫「ふーん」
紫「じゃ、なつ、下駄箱前集合なー」
赫「おー」
なつくんと約束をすると、いるまくんは他の友達のところへ戻って行った。
____________________
ガチャ…
瑞「ただいま」
ライトも点いていない部屋は、夕方の薄明かりすら入り込まず、黒い影で埋め尽くされている。散らかった床に足を取られながら、俺はそっと靴を脱いだ。
ソファーに丸まった影に話しかける。
瑞「母さん、」
そっと手を触れると、次の瞬間。
パシンッ、、
と乾いた音が響いた。
母「遅い」
低く、冷たい声。
頬にきた鋭い衝撃に視界が揺れて、倒れそうになった体を壁に手をついて支える。
瑞「…ッごめんなさい、」
母「どうして言われたこと一つできないの、、?」
怒声が飛び、もう一度手が振り抜かれる。
バシンッ、、
痛い。
俺はただ、うずくまってその嵐をやり過ごすしかなかった。
____________________
父さんが帰ってこなくなってから、母さんは暗くなった。当時のこさめにはなんで父さんが出ていたのかわからなかった。
母さんの笑顔はみるみる減っていって、無理して明るく振る舞っていた。明るかった家庭に、ひびが入ったのを感じてはいた。
だけど、たまに母さんが笑ってくれるときがあった。
母「今日はよくできたね」
かけっこで1番になった時、母さんの似顔絵を描いて賞をもらった時、そんな風に褒めてくれた。
そのときの笑顔だけは、鮮やかに胸の奥に焼きついている。
だから今も、叩かれても、罵られても、まだ愛されたいと願ってしまう。
だったのに____
母「……いるまくんが、息子だったらよかったのに」
その言葉は、刃物のように俺の心臓を突き刺した。痛みが、じわじわと胸の奥を凍らせていく。
紫咲いるま。
頭が良くて、運動もできて、非の打ち所がない優等生。
こさめは気づいた。母さんは、こさめにいるまくんの姿を重ねていた。
“いるまくんのようにいい成績を取りなさい”
“いるまくんみたいにたくさんの友達を作りなさい”
母さんにとってこさめは”失敗作”で、いるまくんは作りたかった”理想像”で。
こさめを見ても、お母さんはもう優しい顔をしない。欲しかった愛情は、全部いるまくんに奪われたんだ。
だからこさめは、いるまくんが嫌いだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!