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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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六年生の夏、彼から一緒に花火大会に行こう、穴場があるんだ、と誘われた。

今までは特に一緒に行く相手がいなかったので、一度も行ったことがなかったため誘いに乗ることにした。

彼に連れられて小高い丘に着いた私は、そこで生まれて初めて花火というものを見た。

轟音とともに闇の中に突然咲く花に、私は思わず感嘆の声を漏らした。

不意に彼の方を見てみると、彼も呆けたように空を見上げていた。

色とりどりの光が反射してきらきらと輝いた瞳は、小さな宝石のようだった。

同じように会場で空を見上げるクラスメイトたちを見つけると、お互いに小学校の感想を話し出した。

「ひどいところだったね。」

「将来、何の役にも立たなさそうだな。」

「ほんと、反面教師にすらならなさそうだね。」

「将来か、十年後はどんなふうになってるんだろうな。」

「今からだと二十二歳だね。いろんなことができるようになってる。」

「あの人たちより立派になってるといいなぁ。」

「結婚とかもしてるのかな。」

「お互い、売れ残ってないといいけどな。」

「そうだね。」

「でも…もしお互いまだ売れ残ってて、十年後、もしまたここで逢えたら、一緒になってくれませんか?」

普段使っていない敬語と、帽子を深くかぶりなおしたところから、彼が照れているのがよく分かった。

「なんですかそれは…まぁ、いいですよ。」と、私も敬語で返してみる。

「約束だぞ!」と言いながら彼は指切りをせがんできた。

私もそれに応じて、お互いに約束した。

よく晴れた夜空に、二人の歌がこだました。


その後、私は親の都合で転校することになり、彼とは離れ離れになるとは知らずに。

君は時計。私は雫。

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