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第5話ー二人なら
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「、え?」
視界がどんどん霞んでいく。視界の端から段々と黒い靄がかかる。
依織の方を見る。最悪。向こうに取り組まれたのか、綺麗な瞳に光はなく、ただ闇を生み出すばかりだった
「《花牢ノ詩》」
依織の声。だが普段のような温かみが無く、海の底みたいに冷たく暗い。
「っ、まず」
やばい、心のなかに入りこまれる。洗脳で共倒れなんて笑えるもんじゃない。
「依織⋯依織⋯!」
必死に呼びかけるもどんどん俺の心の核へと触れるように近づいてくる。依織なのに、依織じゃない。いつもなら攻撃で仕留められるも依織だから無理だ。どうしようどうしようどうしよう。背中にじんわりと冷や汗が滲む。
『お姉ちゃん、ごめん。助けて』
『依織⋯任せろ』
依織の意識までもが支配されていないことに強く安堵する。
さて、依織を洗脳しているのは誰だ?やはりさっき呼ばれたアイツか⋯
「《斬影ノ慟哭》」
俺はアイツの影に向かい刃を刺す。その瞬間だった。
「っ、は、?」
異能が使えない。さっきまでは使えていたのに。どうしよう。依織──⋯
だが信念というのは強いものだ。
俺と依織の絆は誰にも切れない。時には俺たちを守ってくれる盾となり、刃となる。
それが《赫焉ノ誓刃》だった。過去の自分に感謝して俺は万が一の為に備えて周りを見渡す。
✦ ✦ ✦
体の制御ができない。どうしよう。お姉ちゃんを傷つけるように動いている。傷なんて付けたくない。
時を止めるあいつの他にもう一人、洗脳系の人が居た。お姉ちゃんまで被害が行かなければまだいけるかな…どこにも行けない不安が脳内に溢れて仕方がない。
その瞬間。私は洗脳から放たれた。まだバレないように、と術にかかったままのフリをする。
「⋯っ、《藤華幽径》」
お姉ちゃんだけではなく、皆を封じ込める。部屋ごと封じてしまえばこちらの勝ちだ。
「止まれ」
術が止まる──⋯勝てない。どうしよう。どうしよう。意識だけが残る現状に戸惑うことしかできない。こんな弱い自分が大嫌いだ。お姉ちゃんを助けたいのに。なんで──
「⋯時間は止まっても、私とお姉ちゃんの絆は消えないよ。」
「なんで動け⋯っ、?!」
「さっきちょっと術をね。」
私はあの人の時計に向かってナイフを投げる。時計さえ壊れてしまえば主導権を握られることは少なくなる筈だ。
時計が音を立て崩れる。あの人の手に赤が滲む。
「どうするの?大人しく解放してくれたほうが身のためじゃない?ね、お姉ちゃん」
「⋯あぁ、そうだな」
私達は最強の二人だから。
コメント
4件
一瞬詰んだ…ってなったけど洗脳が解けてよかった🫠 世界観大好きだぁぁぁぁ…!!(n回目)
あっ好き…灰になる…(((( やっぱり洗脳だったのか🤔でも戻ってよかった…やはり姉妹…姉妹は良い…