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急いで合鍵を出し、元貴の家に入る。
リビングのソファに横になってる元貴を横目に寝室まで足早に歩く。
「えっ?!涼ちゃん?どうしたの」
寝室に向かうと、ベッドの下に雑に積んである数冊の雑誌等の中から元貴の学生時代の卒業アルバムを探し出す。
「あった!」
手紙がはさんである1ページ。
クラスでも一際《ひときわ》可愛い女の子の写真が目に入る。
そして、手紙の差出人もその子の名前と一致する。
やっぱり、この子だ。
少し大人びてはいたけど、面影がある。
このころより綺麗になっていた。
元貴が寝室をのぞき込む。
「涼ちゃん、何して、あっ!」
元貴が手紙を持っている僕に気付くと、取り上げようとした。
僕はとっさに背中に手紙を隠して
「見せられないものなの?」
と聞く。
我ながら、愛が重たい彼女みたいな台詞。
元貴はあきらめたように
「涼ちゃんなら、読んでいいよ」
と言う。
元貴が優し過ぎて、子供みたいな自分がよりミジメになる…
「ごめん、返す」
「ホントに読んでいいんだよ?」
「元貴、昼間すれ違った女の子…この子…?」
と言って僕は開いた卒アルを指差す。
「あっ…あ〜…うん。似てるなぁとは思ったけど人違いかも…」
「付き合ってたの?」
更に右手で手紙を取り出し元貴に見せる。
名前が見えるようにして。
たぶんラブレター。
ホントに中身は知らないけど。
「あー…ほんと一瞬かなぁ〜?ほら、告白されたから何となくこう、好奇心が勝って?そうゆう時期だったし…その手紙もまぁ人の気持ちを捨てる訳にはいかなくて、大事に取っておいたと言うわけでは…なくて…好きだったのかも今じゃわからないような…」
しどろもどろな説明をする元貴が可笑しくて
「あははっ」
と、僕は爆笑した。
「涼ちゃん、やっと笑ってくれた!」
「ごめんね、元貴」
「俺が鈍感だから、また何か怒らせたのかなと思って寂しかった…」
子供のように泣き出しそうな瞳。
罪悪感はあるけど、この元貴の顔も好き…
「涼ちゃん、ギュウッて抱きしめていい?」
「はい…」
そして、元貴の温もりを感じると今までの不安が全て消えてしまう。
「さっきキス嫌がられたからすげーショックだった」
元貴が言う。
「それはホントに僕がごめんね…」
「俺が他の女見てたから嫉妬してくれたんでしょ?いいよ、むしろ嬉しいよ」
元貴が続ける。
「涼ちゃんの不安を無くせるなら、卒アルも手紙も捨てるよ?僕は涼ちゃんがいればそれでいい。
涼ちゃんを失うのが一番怖い。」
「僕もだよ…」
「キスして良い?」
「もういちいち聞かなくていいよw」
「しばらくトラウマになりそう…」
と言って強く抱き合いながらキスをする。
さっきまでの孤独を消すように、何度も唇を重ね合う。
元貴が僕の背中に回している手をセーターの中に入れてくる。
その指で、僕の背中を下から上までスッと擦る。
思わず声が漏れてしまう。
そのまま、ベッドに押し流され元貴は僕の服を脱がしながら
「涼ちゃん、卒アルだけでよくわかったね…」
少し息を乱しながら、元貴が言う。
「一度見せただけじゃなかったっけ…」
次は僕の首筋に舌を這わせる。
「ん…」
元貴の肌が、唇がお腹の奥から僕を熱くさせる。
「僕ね…結構記憶力良いんだよ…」
「うそだw」
笑いながらも、僕も元貴も抱き合う程に本能のまま求め合う事に夢中になる。
「涼ちゃん、大好き…はぁ…」
元貴が欲情する声を聞きながら、
僕は気持ち良さに頭が真っ白になりながら、
懺悔をする。
元貴…僕は貴方にバレないように卒アルを何回も見てたから…
手紙ももしかしたら…
もう時効にしてね。
すれ違うのは嫌だから
可愛くヤキモチ焼くから…
メンヘラ彼女でも
そばにいさせてね…
End
おまけ
BのLの何が良いって、始めに男同士という壁があることで、好きと言えない苦しさと、すれ違いだ、何だで仲直り。最悪キスでめでたしめでたしでも尊過ぎるのですが、出来ればえっちに流れ込んで欲しいというのが本音です笑❤️