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【登場人物】
kz 国中から大人気の冷酷メガネ美男子。昏睡から目覚めたものの、体はまだ完治にはほど遠く激痛が走る。隣にsyuがいない絶望から過去のトラウマが混ざり合い、一人称が「僕」になり、幼い子供のように泣き叫びながら床を這い回って彼を探す。
syu お調子者エリート。限界を迎えて眠っていたが、kzのために温かいスープを作ろうと一時的に席を外していた。激しい後悔から、どこまでも過保護に、泣きじゃくる赤ん坊をあやすように溺愛する。
fu 誰もが恐れる冷酷な若き当主。rmを自室へ連れ帰り、付き合っていないもどかしさに悶々としている。
rm 超天然な少年。fuへの恋心を自覚し、付き合っていない恥ずかしさから、想いを声に出せず、顔を真っ赤にして俯いてしまう(両片想い)。
【看病部屋・fu様たちが去ったすぐあとの時間】
kz「……っ……ん……ぅ……」
長い、長い暗闇。過去の恐ろしいトラウマの悪夢の奥底から、ついにパチリと目を覚ましたkz。しかし、視界がぼやける中でベッドの隣をいくら手探りで探しても、自分を温め続けてくれていた、あの愛おしいお調子者の体温がどこにもなかった
kz「……っ、しゅ、うと…? どこ……? どこに、行ったの……っ」
弱々しくその名前を呼ぶ。けれど、返ってくるのは静まり返った部屋の空気だけ。その瞬間、地下牢でシャロンに浴びせられた『おもちゃにして遊ばれているだけ。家族にさえ捨てられたゴミ』という呪いのような言葉が、一気に脳裏を支配した
kz「う、そだ……僕を、一人に、しないでよぉ……っ! やだ、やだぁっ、おいてかないでぇ……っ!!」
現実の絶望に、普段の冷酷な仮面は完全に粉々に砕け散った。体はまだ全く完治しておらず、動くたびに全身を裂くような激痛が走る。けれど、syuがいない恐怖がそれに勝り、kzはまるで幼い子供が迷子になったように大粒の涙をボロボロと流し、泣きじゃくりながらベッドから転げ落ちるようにして床へ崩れ落ちた
ドンッ!!(床に激しく叩きつけられる音)
kz「あ、ぅ……っ、しゅ、う…と…っ、うああん……僕、暗いのやだよぉ、つめたいよぉ……っ!!」
眼鏡を失い、涙で視界がぐしゃぐしゃに歪む中、床の上を這いずり回りながら、一人称が「僕」の幼児退行した状態のまま「しゅう、どこなのぉ」「やだぁ、やだぁ」と大声を上げてわんわんと激しくむせび泣く。激しい過呼吸が再び彼を襲い、胸をかきむしりながら、必死にsyuの匂いと温もりを探して部屋の中を這い回った
だが、探し求めている彼はいなかった
ドアが勢いよく開いた
syu「ただいまー! kz、目が覚めたときにすぐ飲めるように温かいスープを——って、えええっ!? kz、何してんの!?」
スープの入った器を投げ捨てるようにサイドテーブルに置き、syuは床の上で血と涙に塗れて、子供のように傷だらけで這いずり回っている恋人の姿に、一瞬で顔面を蒼白にさせた
kz「……っ、あ……しゅ、ぅ……っ、しゅうぅぅと…っ!!」
その五月蝿いほどに優しい声が聞こえた瞬間、kzは痛む体を引きずって、小さな子供が親にすがるようにsyuの足元にしがみついて泣き叫んだ
kz「どこに、行って、いたんだよぉ……っ! 捨てられたかと、思った……っ、僕が、気味の悪い、不良品だから……っ、僕を置いていったのかと……っ、うああん……っ!!」
いつもは『触るな不敬だ』と怒る冷酷な男が、一人称を「僕」にした幼い子供のようにsyuのシャツの胸元に顔をぐしゃぐしゃに擦りつけ、声を枯らしてわんわんと激しくむせび泣き続ける
syu「行かない、どこにも行かないよ……っ! ごめん、ごめんね、ただkzにスープ作ってただけなんだよ……っ! 誰がkzを捨てるもんか、kzは俺の世界で一番大切な、大好きな彼女(恋人)なんだから……」
何日も寝ずに看病して疲れ果てていたsyuの乾いた瞳から、再び大粒の涙がポロポロと溢れ出す。床の上で、syuはkzの細い腰を強引に抱き寄せ、冷え切った背中を大きな手で何度も何度も優しくトントンと叩き、地下牢でのすべての恐怖を愛の涙で洗い流すのだった
syu「よしよし、怖かったね、kz。もう大丈夫。俺がずっとここにいるから。2時間も一人にして本当にごめんね、kz……っ」
幼児のように泣きじゃくるkzの甘えた反応に、syuの独占欲と過保護な愛が限界突破する。
床の上で何度も何度もそのおでこや髪に優しいキスを落とし、宝物を愛おしむように強く抱きしめ直す
syu「ほら、すーはー、して? 俺の真呼吸に合わせて、すってー、はいてー……。大丈夫、大丈夫だよ、kz。よしよし……痛いの飛んでけー、ね? 暗いのも寒いのも、もう全部終わり。これからは俺がずーっと、一生こうして抱っこしててあげるからさ」
泣きすぎてしゃくりあげるkzの背中を、まるで小さな赤ん坊をあやすように優しくリズミカルにトントンと叩き、低くてとびきり甘い声で何度も何度も安心させる言葉を紡ぐ。syuはkzの涙で濡れた頬を自分の手のひらでそっと包み込み、鼻先を優しく擦り合わせながら、壊れ物をあやすように全力で愛を注ぎ込むのだった
kz「う、ぅ……しゅ、う……ほんと、に……おいて、かない……?」
syuの熱いあやすような抱擁と体温に包まれ、kzの激しい過呼吸が少しずつ落ち着きを取り戻していく。閉じた目からはまだポロポロと涙がこぼれていたが、幼児のようにsyuの首筋にきゅっと腕を回し、完全に甘えるようにその胸に体重を預けた
syu「あったり前じゃん! 誰がこんな可愛いkzを手放すもんか。よしよし、いい子だね、kz……。お部屋のベッドに戻ろっか」
すっかり大人しくなったkzを、syuは愛おしそうにお姫様抱っこで軽々と持ち上げ、額に深く、誓うような熱い口づけを落とすのだった
【その日の夕方・お隣のfuの自室】
rm「……っ……」
fu様の部屋のソファで、rmは顔をリンゴのように真っ赤に染めたまま俯いていた。昼間、お隣の部屋から聞こえてきた、kzさんの子供のように泣き叫ぶ声と、それを必死に宥めるsyuさんの熱い言葉。それがお屋敷中に響いていたのだ
あんなに、命を懸けて愛し合えるなんて……。……私と、fu様は……
地下牢でfu様への『恋心』を完全に自覚したものの、恥ずかしさと愛おしさで胸がいっぱいになり、言葉が喉の奥に引っかかって声が出ない
fu「……rm。こちらへ来い。頭の傷の様子をもう一度診せてくれ」
ベッドの縁から、ぎこちなくrmを呼ぶfu様。想いを伝えてからというもの、fu様もどう接していいか分からず、まだ手を繋げないもどかしさに悶々としている
rm「あ……は、はーい……っ」
トコトコと歩み寄り、fu様の前に立つ。長い指先が髪を優しくかき分けるだけで、rmの心臓は破裂しそうなほどトクトクと脈打った。恥ずかしさのあまり、rmは自分からfu様の胸元にぎゅーっと深く顔を埋め、その服の裾を細い指先でぎゅっと強く握りしめる
fu「……っ! お前、付き合ってもいないのにそんな顔で私にしがみつくな。」
付き合っていない境界線を必死に堪えて赤面するfu様
fu「隣の部屋の奴らは、やっと本当の意味で2人きりになれたようだ。……私たちは、まだ付き合ってはいないが……お前がその可愛い反応で私を求めてくれるなら、私は一生、お前への片想いを拗らせて、この部屋で守り続けてやる。だから、何も怖がるな、rm」
付き合っていないもどかしさを抱えながらも、fu様はrmの頭をごしごしと愛おしそうに撫で、お互いの熱を確かめ合うように、その小さな身体を優しく、壊れ物を扱うように強く抱きしめ直すのだった
次回=♡450
コメント
1件
ふう……読了。もう、最初から最後まで胸がギュッと締め付けられたよ。kzの「僕」への一人称が切り替わる瞬間が、トラウマのフラッシュバックと幼児退行の表現としてすごく説得的で、あの床を這いずる描写は本当に痛々しかった。syuが戻ってきたときの「捨てられたかと思った」の台詞に、地下牢で浴びせられたシャロンの呪いの言葉がちゃんと伏線として効いてるのが憎い。一方のfu様とrmは、あの熱量の隣で「付き合っていない」もどかしさが絶妙な対比になってて、両片想いのじれったさがむしろ甘い。感情の階層が二重奏になってて、設定の作り込みに感心したよ。
#rmfu