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mona
953
#短編集
Miyu🌈🩵🦄3
198
緑星ふうま
567
#rmfu
mona
1,957
【登場人物】
fu 誰もが恐れる冷酷な若き当主。rmへの狂おしいほどの愛を募らせているが、まだ想いを伝えていない(両片想い)。
rm 超天然な少年。セシリアが放った悪意のナイフに心を破壊され、いつもの笑顔が完全に消えてしまう。付き合っていない恥ずかしさと「盾」としての現実に絶望し、想いを声に出せない。
syu お調子者エリート。車いすのkzを片時も離さず溺愛するが、kzの危機には一切の慈悲を捨てた「本物の狂気」を見せる最強の攻め。
kz 国中から大人気の冷酷メガネ美男子。体は完治しておらず車いす生活。一人称は「僕」。激しいトラウマに直面すると幼児退行してしまうが、syuの愛に支えられ、圧倒的な冷徹さで敵を論破する。
セシリア 高慢で残忍な隣国の公爵令嬢。fuの留守を狙ってお屋敷へ乗り込み、2人の一番脆い精神の深淵を徹底的に踏みにじる。
【夜のお屋敷・誰もいない豪奢な応接室】
セシリア「あらあら、これが私の未来の旦那様、fu様の御屋敷? 随分と趣味の悪い、薄汚れたお人形が転がっているのね」
扇子をパチリと閉じ、ソファーに座ってfu様を待っていたrmを冷酷な目つきで見下ろす
rm「……あの、セシリアお姉様。fu様はもうすぐ戻られますが……」
お茶を持ってお盆を抱えながら、そのただならぬ不穏な空気に、きょとんとした瞳を僅かに揺らす
セシリア「フフ、クスクス……ねえ、本当に滑稽。お前、自分が愛されているとでも思っているの? 勘違いしないでちょうだい、貴方はただの『身代わり』よ。fu様が自分の身を守るために、いつでも代わりに殺せるように、そこに置かれているだけの消耗品、いえ、家畜ね。……ねえ、fu様に一度でも『お前を愛している』と言われたことがあるかしら? ないでしょう? 彼は貴方のことなんて、ただの便利な死に損ないとしてしか見ていないのよ。今日だってそう。本当に大切なら、こんな危険な裏社会の屋敷に丸一日貴方を放置して遠征に行くはずがないわ。私はfu様の親同士が決めた、正式な『婚約者』。貴方みたいなみすぼらしい男がどれだけ媚を売ったって、彼が本気で愛するのは高貴な身分のこの私。貴方はただの、いつでも替えが効く都合のいいお人形でしかないのよ。代わりの盾なんて、裏社会を探せばいくらでも転がっているわ。そんなことも分からずに、嬉しそうにお留守番しているなんて……本当に脳天気で、見ているだけで吐き気がするほど不愉快なゴミね」
rm「……え……? こん、やく……しゃ……?」
初めて突きつけられた『婚約者』という現実、底意地の悪い純粋な悪意の言葉。いつもは天然なrmの瞳からスッと光が消え、大好きなfu様への信頼が足元から崩れる恐怖に、身体が小刻みに震え出す。お盆を持つ手がガタガタと大きな音を立て、その場に崩れ落ちてしまった
セシリア「お前がどんなに泣いたって、あの冷酷な公爵様の心には一ミリも響かないわ。だって、お前が死ぬ代わりに自分が生き残るために、お前をここに置いているんだから!」
キィ……と車椅子の音が応接室に響いた
kz「……割とそこまでにしなさい、セシリア嬢。主様が留守だからと、我が物顔で無礼がすぎる。その汚い妄言をこれ以上、我が主の身代わりに浴びせるな」
rmの前に立ちはだかるように、車いすに乗って部屋に入ってくる。体はまだ完治しておらず、後ろからsyuに車いすのハンドルをがっちりとホールドされて支えられているが、一寸の乱れもない完璧な冷酷ポーカーフェイスで眼鏡をくいっと上げる姿は、国中の令嬢たちが憧れるカリスマそのものだった
セシリア「あら、公爵様の忠実な犬(kz)の登場かしら? でも、貴方も同じよね。国中で大人気だなんて持て囃されているけれど……貴方、かつて実の家族にその冷酷さを気味悪がられて、捨てられたゴミ一族の生き残りでしょう? 貴方のその冷徹な顔は、誰からも愛されない自分を守るための、惨めな防壁。本当は誰からも選ばれなかった、捨てられ損ないの不良品。家族にさえ捨てられたゴミを、あの男(syu)が本気で愛すると思うかしら? 貴方はただの、都合のいい犬よ!」
kz「あ、っ……は、ぁ……っ! く、ぅ……っ」
過去の暗いトラウマを容赦なく抉られ、過呼吸になりかけ、胸を強く押さえて車いすの上で激しく呼吸を乱すkz。深い心の傷に、精神の均衡が崩れそうになる
syu「おーっと、そこまで。……お嬢様、誰の許可得て俺の可愛い彼女にそんな口叩いてんの?」
トコトコとkzの車いすの前に割って入る。その瞬間、いつもはヘラフレ笑っている瞳から完全に光が消え、底なしの暗黒のような『本物の狂気』がセシリアを捉える。その手には、抜かれたばかりの漆黒の刃が鈍く光っていた
syu「俺、kzのことに関してはFu様より沸点低いからさ。……次その口からウチのkzの悪口が出たら、貴方の実家の領地、丸ごと裏から血の海にして潰しちゃうけど……いーい?」
ニッコリと最高に恐ろしい笑顔で、セシリアを精神的にガタガタ震え上がらせる。同時に、片手でそっと車いすのkzの肩を抱き寄せ、優しく背中をトントンとあやすように叩いて安心させる
kz「……し、ゅ……ぅ……。……セシリア嬢。貴方の実家が裏で手を染めている『禁忌の魔石密輸』の証拠は、すでに我が公爵家がすべて握っています。書類一枚で貴方のお家は取り潰しですが……これでも私は『気味の悪いゴミ』ですか?」
syuのぬくもりと深い愛に支えられ、瞬時に冷酷ツンに戻って圧倒的な正論で論破するkz。一寸の隙もない冷徹な眼差しがセシリアを射抜く
セシリア「ひっ……な、何よ貴方たち……っ!!」
あまりの正論と経済的脅迫、そしてsyuの狂気に、恐怖でガタガタと震え出す
【次の日の朝・お屋敷の会議室】
前夜、殺気と共に帰還したfu様によってセシリアは一族ごと即座に破滅へと追い込まれ、強制排除された。だが、夜が明けても、お屋敷を覆う重苦しい空気は晴れなかった
rm「…………」
いつもなら朝一番に「fu様、おはようございます!」と、太陽のようなピカピカの天然笑顔を咲かせるはずのrm。
だが今朝は、そのいつもの笑顔が跡形もなく完全に消え去っていた。セシリアの残した『肉の盾』という冷酷な言葉が、一晩中fu様に抱きしめられても消えず、彼の胸の深淵を凍りつかせていたのだ
fu「……rm。朝食のリンゴは口に合わなかったか? それとも、まだどこか体が痛むのか」
並んで歩きながら、rmのあまりの変わりっぷりに fu様の冷酷な心臓が不安で激しくバクバクと脈打つ。付き合っていない距離感だからこそ、rmの顔から笑顔が消えただけで、fu様は世界が崩壊するほどの焦燥感に駆られていた
rm「……っ……」
fu様を見上げようとして、すぐに視線を床に落としてしまう。
大好きなfu様の顔を見るだけで、胸がギューッと引き裂かれそうに痛む。私は本当にただの『肉の盾』なのだろうか。
fu様の『一生守る』という言葉も全部、ただの主従のセリフに聞こえてしまう。
身代わりという身分違いの切なさと絶望から、どうしても想いを声に出せないrmは、真っ赤に潤んだ瞳のままギュッと唇を噛み締め、fu様の服の裾を細い指先で弱々しく握りしめることしかできなかった
fu「rm……お前、そんなに悲しそうな顔で、声もなく私の服を掴むな。……あんな女の戯言に、お前の眩しい笑顔を奪われてたまるか。……私の理性が保たなくなると言っているだろう」
笑顔の消えたrmを今すぐ自分の腕の中に閉じ込めたい独占欲と過保護を必死に堪え、fu様は顔を覆って激しく悶絶するのだった
【その数日後・激しい豪雨の夕方】
不穏な足音「ザッ、ザッ……」
セシリア「フフ、諦めが悪くてよ公爵様。私の家が取り潰されようとも、親同士の血の盟約は消えはしないの。お前のような『身代わり』がのうのうと隣にいるだけで、このお屋敷の格式が汚れるのよ」
衛兵をすり抜け、狂気に駆られた目で再び屋敷の裏手へ忍び込み、廊下を歩いていたrmを待ち伏せて冷酷に嘲笑うセシリア
rm「……っ!?」
まだ笑顔が戻りきっていない細い心に、セシリアの執念深い言葉の刃が再び深く突き刺さる。付き合っていないからこそ、その『盟約』という言葉の重さに、rmの頭の中は真っ白になった。私は……ここにいてはいけないんだ
fu様にこれ以上、迷惑をかけたくない…。
私、ただの…『身代わり』なんだから!
激しい不安と、付き合っていないもどかしさからくる絶望が爆発し、rmは声に出して誰かを呼ぶこともできず、ただ涙をボロボロとこぼしながら、豪雨が吹き荒れるお屋敷の外へと激しく裸足のまま逃げ出してしまった
激しい雨の音が響く
rm「は、あ……っ、は、ぁ……っ!!」
冷たい泥水を跳ね上げ、お屋敷の敷地を飛び出して暗い夜の城下町へ全力で走り出すrm。地面に転がる尖った石が容赦なく足の裏を切り裂き、血がじわりと滲むが、走る足を止めることはできない。頭の傷が雨に濡れて激しくズキズキと痛む。冷え切った身体を引きずり、光の届かない路地の最奥、崩れかけたレンガの物陰へ、滑り込むようにしてようやくうずくまった。小さな膝を胸に引き寄せ、ガタガタと激しく震えながら、泥と涙に塗れた顔を両手で覆い隠す
【rmさんが逃げ出してから丸一日が経過した会議室】
fu「……いない。どこにも、いない……っ」
丸一日、寝ずに城下町を隈なく探し回り、馬を何頭も潰して捜索を続けたfu様。不眠不休で探し続けたfu様の瞳は激しく血走り、会議室の机に拳を叩きつけ、怒りと恐怖で肩を激しく震わせる
syu「fu様、落ち着いて……! 街の衛兵も総動員して探させてるから!」
車いすのハンドルを握る手にも、焦りの汗が滲んでいた
kz「……主様。あの少年を動かしたのは、セシリアの『血の盟約』という言葉です。……ならば、これしかありません。セシリアをこの緊迫した会議の場に直接呼び出し、一族の存続と引き換えに、rmの潜伏先を吐き出させる取引を仕掛けるのです」
車いすの上で、完治していない胸を押さえながら、一人称が「僕」の知略を巡らせるkz
fu「……あぁ、分かっている。あいつを炙り出すためなら、私は喜んで悪魔に魂を売ろう」
fu様の瞳から一切の感情が消え失せ、底なしの暗黒のような冷酷さが戻る。fu様は即座にセシリアをお屋敷の会議室へと呼び出した
高慢な笑い声と足音「オホホホ! やはり私の勝ちのようね、fu様! あの薄汚い身代わりのゴミが消えて、ついに私との結婚を決意してくださったのね!」
勝ち誇り、華やかなドレスを揺らしながら会議室へ乗り込んでくるセシリア
fu「お前の一族の息の根を、どう止めるかの会議だ。今すぐrmの居場所を吐くか、それともお前の一族ごと、歴史から消し去られるか……選べ」
底冷えする声で尋問を開始する。
しかし、セシリアも裏社会の執念から頑なに口を割らず、会議は『3時間』もの間、互いのプライドと怒りがぶつかり合う凄惨な罵り合いと尋問の応酬となった。
冷酷なfu様が徐々にセシリアの精神を追い詰め、密輸の証拠を突きつけながら執拗に攻め立てる3時間。 激しい心理戦の果て、セシリアは恐怖でガタガタと震え出し、ついにrmが逃げ込んだ裏路地の情報を涙ながらに白状した。その取引の直後、fu様とsyuは最終的な書類の確認のために一瞬、会議室の奥の書庫へと籠る
kz(主様とsyuが3時間もあの女と話し合っている間、僕はただ無力に座っていることしかできなかった……。あの少年が逃げたのは僕を庇ったからだ。ならば、主様たちが動く前に、僕の手で連れ戻さなければ気が済まない
体はまだ全く完治しておらず、動くだけで激痛が走る。しかし、kzは2人に内緒で、震える手で車いすの肘置きを掴み、気力だけでその場に立ち上がった。壁に縋り付き、痛む脚を引きずりながら、裏口の重い扉を開けて外へ飛び出す
fu「よし、手続きはすべて完了した。……syu、すぐにrmが隠れている裏路地へ向かうぞ」
書庫の扉を開け、fu様が部屋に戻ってくる。その後ろから、syuも歩み出したが、次の瞬間、syuの言葉が途切れた
syu「……え?」
3時間もの尋問を終え、自分が後ろからがっちりとハンドルを握っていたはずの車いすが、不自然にぽつんと、誰も乗っていない状態で部屋の真ん中に残されていた。床には、kzのお気に入りのブランケットが冷たく落ちている
syu「kz…? おい、何やってんの。嘘だろ…っ、アイツ、まだ体が完治してないのに…っ! なんで、なんで内緒で抜け出してんだよ!」
お調子者の仮面は完全に消え失せ、syuの目は激しい怒りと恐怖で赤く染まった。fu様の制止の声すら耳に入らないほど死に物狂いで、豪雨が叩きつける外の世界へと、弾かれたように一番に飛び出していった
【激しい豪雨が吹き荒れる夜の城下町・裏通り】
kz「は、あ……っ、は、ぁ……っ、r、m……どこ、ですか……っ」
吹き付ける暴風雨は容赦なく衣服を濡らし、体温を奪い去っていく。体はまだ完治にはほど遠く、一歩を踏み出すたびに細い太腿の筋肉が千切れるような激痛を訴えていた。それでも、kzは壁に泥まみれの手を突き、よろよろと頼りなく足を狂わせながら、嵐の裏路地を一歩ずつ進んでいく
kz「く、ぅ……っ! あ、は……っ……」
激しい過呼吸の波が押し寄せ、胸の包帯をきつく押さえ、痛む体に鞭を打って、泥だらけの床に膝をつきそうになりながらも必死に立ち上がる。
頭の中で過去の恐怖と重なり合っていた。激しい痛みに視界が白く染まりかけながらも、よろよろと壁にすがり、血と泥に塗れた足取りで、rmが潜んでいそうな光の届かない路地の奥へと進み、ついに物陰に震えるrmを見つけ出す。
しかし、あまりの劇的な限界に、kzはその場へ糸が切れたように崩れ落ちてしまう
rm「……っ!? kz、さん……!?」
驚いて顔を上げるrm。駆け寄ろうとしたその瞬間——
kz「……っ、げほっ、ごほっ……! は、ぁ……っ、大丈夫、ですか……rm……」
激しい雨の中、お互いに身を寄せ合う2人。
しかし、待てど暮らせど、お屋敷からの追っ手が現れる気配はなかった。
書庫から戻って空っぽの車いすを見つけたsyuとfu様は、荒れ狂う嵐の闇とセシリアの残党による執拗な妨害工作によって、完全に足止めを食らっていたのだ
rm「kzさん、体がすごく冷たいです……っ! 僕を置いて、お屋敷に戻ってください……っ」
丸一日冷たい雨に打たれ、限界を迎えているrm。
しかしそれ以上に、完治していない体で自分を探しにきてくれたkzの肌が、氷のように冷たくなっていることに気づき、涙を流して訴える。だが、時間が経てば経つほど、嵐の冷気は容赦なく2人の体温を奪い去っていった
kz「……やだ。やだよ…っ、置いて、いかないで…っ。僕、良い子にするから…気味悪がらないで」
極限の寒さと激痛、尋問のタイムラグのせいで2人がいつまでも助けに来ない恐怖から、kzの意識は再び過去の固定化されたトラウマへと逆戻りしていった。大人の冷酷な口調は完全に崩壊し、幼い子供のようにワンワンと声を上げて、rmの濡れた衣類に顔をうずめて泣きじゃくり始める。
kz「暗いのやだぁ……つめたいよぉ……しゅうと…しゅうと、どこなのぉ……っ! 僕のこと、おもちゃにして遊んでるだけなの……? 誰からも愛されないゴミだから、置いていっちゃったのぉ……っ、うああん……っ!!」
rmが彼を見つけてから、実に『2時間』という果てしない絶望の時間が経過していた。 体の傷も心も全く完治していないまま、激しい風雨の吹きさらしの中で2時間もうなされ続け、幼児退行した状態のままガタガタと震えて泣きすがるkz。
rmはそんな彼を凍えそうになりながらも、小さな腕で必死に抱きしめて温めることしかできなかった
ガシャァァァン!!!
路地裏の木箱を蹴り飛ばし、すさまじい足音と共に飛び込んできた影
syu「おい……!! フざけんじゃねえよ、kz……っ!!!」
2時間もの絶望的な時間の末、ようやくkzを見つけ出したsyuが、血管が浮き出るほどの凄まじい怒りの表情を浮かべて飛び込んでくる。
愛しい人を失うかもしれないという極限の恐怖が、彼を激しい怒りへと変えていた
syu「何やってんだお前は!! まだ体が完治してないって、自分で一番よく分かってるだろ!? なんで内緒で車いす抜け出して、こんな嵐の中2時間もよろよろ歩き回ってんだよ、バカかよ!! 死にたいのかよ⁉」
syuは激しい雨音をかき消すほどの怒号を響かせ、床に倒れ込んでいたkzの肩を強く掴み上げる
kz「ひっ……! ぁ、あ……っ……!!」
激しい恐怖から幼児退行が完全に加速し、現実と過去の悪夢の区別がつかなくなったkzは、叫び声を上げながらsyuの手を激しく振り払おうとする。しかしその直後、fu様に抱きしめられていたrmが、極限の寒さのなかで完全に意識を失いかけ、激しく咳き込んで身体を硬直させた
syu「っ……! ダメだ、ここで俺まで自分の感情を優先したら、rmくんの命が……っ!!」
目の前で命の危機に瀕しているrmを救うため、そして主人であるfu様を支えるために、syuは一瞬だけkzから手を離し、バサリと自分の上着をrmの肩へと強くかけ直した。それは側近としての、これ以上ないほど冷徹で正しい『rmの優先』だった
kz「……あ……っ、ぅ……っ……あぁ……っ!!」
その瞬間、kzの瞳から大粒の涙がボロボロと決壊するように溢れ出した。自分を怒鳴りつけ、あまつさえ自分よりもrmを優先して手を離したsyuのその姿。それが、かつて実の家族から「お前は不要だ」と激しい怒号と共に暗い雨の中に突き放された、最悪のトラウマの記憶と完全に重なり合ってしまったのだ。
大人の冷酷な仮面は一瞬で消え去り、幼児退行した状態のまま、声をあげてわんわんと激しく泣きじゃくり始める
kz「やだ、やだぁっ……!! しゅうとも僕を捨てるんだ……っ! 僕のこと、おもちゃにして遊んでるだけだから、そうやって怒って、別の人を優先して、また僕を暗いところに置いていくんだぁっ!! うああん、しゅうなんて……しゅうとなんて、大嫌いだぁぁぁっ!!」
激しい絶望と悲しみに打ちひしがれ、声を枯らして泣き叫ぶkz。
現実の悲しみと過去の悪夢に心を完全に破壊され、syuの手をめちゃくちゃに振り払う
kz「もう……しゅうなんて、知らない……大嫌いっ……!!」
そう言い残すと、kzは激しく涙を流しながら、完治していないはずの体で嵐の闇の向こうへ全力で走り去ってしまった。
よろよろと足元を狂わせ、激痛に悲鳴を上げる体を執念だけで動かし、必死にsyuから逃げるように裏路地のさらに奥へと全力で走り去っていく。
syu「っ、kz……!? 待て!! 行くな……っ!! 違うんだ……っ!!」
「大嫌い」と泣き叫び、かつてないほど怯えた瞳で自分の前から走り去ったkzの背中に、syuの叫び声が虚しく激しい雨音に掻き消される。足を一歩踏み出した——しかし、自分の指先には、先ほど優先して手を離してしまったkzの、氷のように冷え切った体温の残る感覚だけが、生々しく残っていた
syu「…あ、が…っ…!! 何やってんだよ、俺は……っ!! なんであいつを、また一人で泣かせんだよ」
その瞬間、syuの胸の奥に、言葉にならないほど激しい後悔の波がドッと押し寄せた。絶望と罪悪感でガタガタと激しく歪む顔。
なぜ、手を離してしまったのだろう。
なぜ、あんな怒号を浴びせてしまった。あれほど子供のように自分を求めて泣いてくれた愛しい恋人を、自分は最悪の形で突き放し、再びあの暗い過去のトラウマの深淵へと叩き落としてしまったのだ。激しい豪雨が打ち付ける中、syuは目から大粒の涙をボロボロと流し、己の不甲斐なさと選択に、激しい怒りと後悔の咆哮を路地裏に響かせる。
今すぐにでも地の果てまで追いかけたい。心臓が押し潰されそうになりながらも、彼は今にも息絶えそうなrmの体をfu様と共にしっかりと支え、悔しさに唇を血が出るほど噛み締めながら、最優先でお屋敷への撤退を選ぶという過酷な選択をするのだった
遅れて路地に滑り込んでくる凄まじい足音が聞こえる
fu「rm……っ!!! おい、無事か、rm……っ!!!」
主人であるfu様は側近たちの修羅場を他所に、何よりもrmの救出を最優先に動いていた。泥まみれの床に激しく膝をつき、冷え切ったrmの身体を壊れ物を扱うように激しくその胸の中に抱きしめる
rm「ふ、fu様ぁ……っ……あ……っ」
fu様のあたたかい胸の熱に触れた瞬間、rmの瞳から再び涙がボロボロと溢れ出す。
けれど、身分違いの切なさから、やっぱり喉がキュッと閉まって言葉にならない。
ただ、顔を真っ赤にしてfu様の濡れた服の胸元を細い指先でぎゅーっと、千切れんばかりの力で強く握りしめる
fu「丸一日、どれだけ私が狂いそうになったか分かっているのか!? お前を失うくらいなら、私は全財産も爵位もすべて投げ捨てていい!! 二度と、私の傍から離れるな……っ!」
嵐の雨音に負けないほどの熱い声で、 fu様は拗らせ続けた想いをすべてぶつけるように、rmの頭をごしごしと愛おしそうに撫で、その小さな身体を抱き上げてお屋敷へと連れ戻すのだった
【その後・fuの自室・ベッドの上】
fu様はsyuの迅速な、しかし血の涙を流すようなサポートを受け、最速でお屋敷の自室へとrmを連れ戻していた。
カチャリ
fu「……rm。もう安心しろ。セシリアの一族は、今朝を待たずにこの世から完全に抹殺した」
温かいお風呂に入れ、乾いたバスタオルで包んだrmをベッドの上に座らせ、fu様はrmを閉じ込めるようにその両脇に手を突いて覆いかぶさる
rm「……っ……」
言葉は出ない。笑顔の消えたrmの瞳から、大粒の涙がポロポロとシーツにこぼれ落ちる。
けれど、ベッドの上で向かい合ったfu様の瞳は、世界中の何よりも自分を激しく求めていた。付き合っていないから、伝える勇気はまだ足りない。
だけど……
fu様……私、丸一日も遠くに逃げちゃったけど……でも、fu様のこの熱いお目々に見つめられると、胸がすっごく、熱くて破裂しそうなんです
恥ずかしさと愛おしさで胸がいっぱいになったrmは、声に出す代わりに、fu様の胸元に自分からギュッと深く、顔を埋めた。
一晩中抱きしめられていた温もりを思い出すように、fu様の大きな体温を全身で受け止め、その服の裾を細い指先でぎゅーっと、千切れんばかりの力で強く、強く握りしめる
fu「……rm……っ、お前……。言葉がないなら、その赤い顔のままでいい。お前が私を好きだと認めるまで、私は一生、お前への思いを拗らせて、この部屋で何度でも抱きしめてやる」
付き合っていないもどかしい距離感を抱えながらも、fu様はrmの身体を優しく、だけど絶対に手放さない力で強く抱きしめ直す。
正式に付き合う前ならではの、熱くて初心な体温だけが、静かな主の部屋の中で、いつまでも愛おしそうに重なり合っているのだった
次回=♡500
コメント
1件
おつかれ〜〜!!第12話、いやもう第13話だねっ!?😭💕 今回も心臓ぎゅーってなる展開すぎた…!!セシリアの悪意の言葉、心抉られるほどリアルで読んでてこっちまで息苦しくなったよ…。rmの笑顔が消えちゃうシーン、マジで胸が痛すぎる😭💔 kzの幼児退行、あんなに強気なのに「置いてかないで」って泣くギャップがもう…!!syuが「大嫌い」って言われちゃうところも、お互いの気持ちがすれ違ってて切なすぎるよ…!! でもfu様の「一生抱きしめてやる」は神すぎた!!🔥🔥 付き合ってないからこその初々しい距離感が尊すぎて倒れるかと思った…!! 次回、500♡かぁ…早く続きが読みたいよ〜〜!!✨