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専務にバレてぼろぼろになり、
重湯生活の頃のお話。
後3日。
渡辺はもう限界だった。
早朝で、誰もいない海。
足は自然と海に向かっている。
老婆に「何しとるか!」と言われ家に連れて行かれた。
もうこの頃は食事も出来ず吐いてばかり。
お茶だけ飲んだ。
後2日。
仕事を辞めるかもしれないと言うと「まだやれる、まだ諦めとらん」と言ってくれた。
後1日。
老婆に、仕事を辞めてきた。と言う。
何か食べれるかと聞かれ1か月くらい何も食べてないと言うと、「重湯じゃな、身体を労われ」と言われた。
大事な人と別れないと仕事させないと言われた。
「大事な人は、守るだけじゃねぇ、共に戦わんか。」
老婆は言う。
結果的に、渡辺は仕事を辞めなくて済んだし、目黒とも別れなくて済んだ。
だが、渡辺の身体はぼろぼろで、痩せて食事が出来なくて老婆から「重湯じゃぞ」と言われている。
今日は練習日。
今の渡辺には踊らせられない。
見学してろと言われ、椅子に座って見てる。
渡辺ー照、俺踊る。
岩本ーダメに決まってるだろ、そんな身体で。
練習が終わり、目黒と一緒に帰って来た。
目黒ー俺はしっかり食べるけど、翔太くんは重湯ね。
渡辺ーえ〜。
目黒ー当たり前でしょ。まだ吐くじゃない。
お婆ちゃんから重湯って言われてるんでしょ?
渡辺ー美味しくないもん。
目黒ー当たり前。
渡辺ーいつになったらお粥食べていい?
目黒ー後1週間くらいかな。
渡辺ーぶ〜。
そう言いながら、重湯を啜る。
重湯だけだから、痩せた身体はまだ元に戻ってない。
それでも、活力があって元気に見える。
渡辺ー明日、オフだろ?
目黒ー久しぶり、どこか行きたい?
渡辺ーお婆ちゃんに会いたい。
目黒ー連れて行ってくれる?
渡辺ーん。
翌日、渡辺の運転で老婆に会いに行く。
目黒を見たら何て言うだろうか?
渡辺ーお婆ちゃん。
老婆ー坊、ちょっとだけ元気になっとるの。
渡辺ー仕事してるし、大事な人と一緒にいる。
老婆ー良かったの、そちらさんか?
渡辺ーん。
老婆ーえろう男前じゃの。
渡辺ー大事にしてもらってる。
目黒ー初めまして、目黒と言います。
老婆ー坊のために戦ったんじゃな。
目黒ーはい、大事な人ですから。
老婆ー美味いもん、ごちそうするけ、食べていけ?
目黒ーありがとうございます。
老婆ー坊は重湯じゃからな。
渡辺ーえ〜。
老婆ーそんなすぐに粥なんか食べれんわ。我慢せぇ。
目黒は笑ってしまう。
と同時に、いい人に助けてもらったと思う。
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