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今日も頑張りますよ〜!!
この話は今現在の記憶喪失の叶まで書こうと思っております!!長くなりますが、よろしくお願いします🙇
今回で神父の章は完結です!!
サーシャ、次はどんな叶に出会うのか……。
今回の参考は「TorPor」です。
叶『』 葛葉【】
叶side
【叶!!かな…え!】
何故だろう。熱かったはずの体が冷たく、何も感じない。サーシャが泣いてる??何で?私が泣かせた…?
声が出したくても、出ない…。
『サー…シャ…ごめん…』
ごめん、ごめん。今の私は謝ることしか出来ないみたいです…。
数日前…
サーシャが追っていると言っていた大罪人は、無事魔界に返す事ができ、サーシャは一度魔界に帰らなければいけないらしい。寒い冬の教会内で、ただ、私とサーシャの声だけが響いていた。
【また帰って来るから。】
私はこの言葉がとても嬉しかった。
分かっていた。自分が寂しく、この日々に退屈していたことぐらい。でも、サーシャが来てから退屈だった日々が、少しは…いや、十分と言って良い程。充実し、楽しかったのは事実だった。
『…いえ、ゆっくりしてからで良いですよ。家族の方との時間も大切ですし、此処数日大変な事ばかりで。疲れて居るでしょう?さぁ、』
違う。私は、こんな事が言いたいんじゃない。
ただ、ただ。ありがとうと、楽しかったと、
そう…そう言いたいだけなのに、声が出ないのは…。怖いのだ、私は怖い。サーシャと、かけがえのない出会いをした彼と、離れてしまうのが。
『また此処に来たら、魔界のことを沢山教えてください。私一度、サーシャの生きる世界を見てみたいのです。』
【分かった。でも、魔界も良いとこじゃねーぞ。覚悟しとけ!!】
はにかんで笑う綺麗な彼の顔を観ていると、突きつけられる。知らしめられるのだ。
私達の生きる世界は違うのだと。魔族と人間。私達には生きる時間も、過ごしている日々も、すべてが違っているのだと。
ただでさえ私は…この体は言うことを聞かない。残された時間は少なかった。
いつの間にか目の前に扉が現れた。サーシャは此処から魔界へ帰るらしい。
『お迎えですか?』
【あぁ…もう時間らしい。また来るよ絶対】
サーシャは少し悲しげな顔を浮かべた。
あの時の…初めて会った日にも、同じ様な顔をしていた。
『また合う時は、土産話ですよ!忘れないで下さいねサーシャ。』
【分かってるって。ちゃんと考えとくよ話し】
『ええ…』
違う。
『じゃあまた。』
違う。
【またな!!】
サーシャ…まだ…私は…。
行ってしまった…。
分かっていた引き止められない事ぐらい。
次は私が。
『また、サーシャに会いに行く。』
ふと、サーシャの声が聞こえた気がした。
ジジッ
数日経つと…
『何だか、思っていたよりも早いですね。間に合うでしょうか…。』
ロトがぐるぐると私の周りを心配そうに回る。
大丈夫と声を掛けたいが、嘘はロトを傷つけてしまうかもしれなかった。半端な優しさは、深い傷を残すと…私は身思って知っていた。
『はぁ、短かった。というのは、終わりが近づくと気づく物なのですね。勉強になります』
サーシャが魔界に帰ってから数日。
日に日に悪くなっていく体調。大丈夫、大丈夫と体に言い聞かせていても、変わらない苦しみは。サーシャには言えなかった、私の嘘の一つだった。
目に見えていたのだ。この事をサーシャに伝えたら、どんな顔をするのか。私はもう…あの綺麗な顔に、目元の赤い腫れは、残したくはなかった。
こなしていく仕事も、不自由になり進まない。サーシャが居たらまだ、少しは楽だっただろうか…。此処にいない人の事を考えても無駄な事ぐらいは分かっていたはずなんだけれど。
限界みたい。ごめん
『サー…シャ…』
ドサッッ
葛葉side
叶と離れて数日が経っただろうか…。
俺は大罪人をどう処罰するかの話し合いと、報告書を提出する為に長い屋敷の廊下を、少し早歩きで歩いていた。
『ごめん…』
【???】
空耳だうか…疲れているのだうか。最近は忙しく、寝れていなかった。外を見るといつもと変わらない魔界の空。あちらは今頃雪が降っているのだろうか…。
『サー…シャ…』
【!?!?】
違う!空耳なんかじゃ無い!!
嫌な予感がした俺は、持っている物を全て投げ捨て、来た道を戻った。
「ラグーザ様!!」
叶の声以外気にしない。
今は叶のために走っている。
ジジッ
嫌な予感は的中してしまった……。
雪降る百合の花の庭を抜け、教会の前まで来ると、足を震わせ、俺を此処だと呼ぶ猫の声がした。
【ロト!!叶は!!】
ニャーといつもより弱く鳴くロトの声により、不安がまた一つとつのる。
少し空いた教会のドアを勢い良く押し開け、名前を呼ぶ。
【叶!!!】
教会の中央に倒れる男はつい数日前に此処で別れたばかりの、友人の姿だった。
倒れる叶に走り寄る俺。俺の後を付いて回り、心配そうに主人を見つめるロト。
叶はまだ息をしていたが脈自体が弱く、体は寒さのせいか、冷たかった。
【叶!叶!】
ゆっくりと目を開ける叶を見て、涙が出てきた。
『サー…シャ…ごめん…。2度も貴方を泣かせてしまった。』
【俺の事はどうでもいいんだ!何があった?】
俺は無理して喋ろうとする叶を見ていると、より涙が溢れてくる。まずは叶が倒れている理由が知りたかった。
『ごめんなさい…言えないんです。サーシャがもっと泣くのを、私は見たくありませんから。サーシャに嘘を付いてしまいましたね。貴方の話を聞くと言う約束でしたのに…すみませんね。』
謝る叶を見て言葉も出ずに嗚咽だけしか出ない俺を、叶は笑いながら手を伸ばす。丁度頬に来る指は少しだけ暖かさが残っていた。人の温もりを感じたのは、叶と合ってからが初めてだった。
『泣かないで下さいよ。サーシャは泣かないんじゃないのですか?大丈夫、人間には、輪廻転生というものがあります。また生まれ変わった私と、仲良くして下さいますか?サーシャ。』
頷く事しか出来ない。叶の伸ばした手を握り、泣くことしか出来ない。人間はこんなにも非力で弱い物なのだと俺は今日、初めて知った。
【俺は…泣いてねぇ。生まれ変わるんならまた…また俺と遊べ。お前にチェスで勝った事が、まだ無いんだ。分かったか。】
微笑み頷く叶は、ありがとう。と言う言葉を最後に、少し残っていた暖かさも、寒さに奪われて行ってしまった。
叶の冷たい指先を少し握り。さよならを告げて、叶とロトを百合と共に残し、この教会を去る俺は、まだ目元が熱かった。
カチッ
神父の章完結!!
今日は少し長めに、終わりまで書けました!
次はどんなお話でしょうか?楽しみにしていて下さい!!
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