こんばんわ〜
お待たせ致しました、5話です!!
今回は少し短めですが、楽しんでいってくださいな。
叶『』葛葉【】
葛葉side
叶が死んでから魔界に帰り、フラフラと過ごすばかり。俺の中の何かがあの時から欠けていた。朝起きると無意識に涙が溢れてくる程だ。
【どうしちまったんだよ…俺。こんな事今まで無かったのに…】
初めてできた親しい物が居なくなるだけでこんなにも寂しく感じるものなのか。
魔界はあれから時間は少なからず経っているが、人間界はあれから途方も無い時間がすぎている。
ふと、叶の言葉が聞こえた気がした。
『サーシャ、人間には輪廻転生と言う物があります。魂が生まれ変わるんです。私はこれを単なる救いを求める言葉にしか聞こえませんでした。でも、本当に在るのだとすれば、私はまた、サーシャとこうして過ごしていきたい。』
生まれ変わっても仲良くしてくれるか。と言う物だった…
今更こんな言葉を信じる事なんて無駄だと、ただ虚しくなるだけだと、分かっていたのに。気づいたら部屋のドアに手を掛け、魔界を出ていた。
叶side
あぁ…こんなにも退屈な毎日、何か変わらないだろうか。
壁に提げていたライフルを手に取り、椅子に掛けてあった軍帽を深く被る。
自分の見た目が僕は嫌いだった。女々しい。何度言われてきたことか。誰にも見られたくない、極力他人との会話は避ける。家族以外と関わる事は避けてきた。
今日は軍の合同射撃練習のため、開けた森近くの平原にテントを張っていた。
個別の自主練を挟んでいた所、自分の名前を呼ばれた気がした。
【叶…!?】
バサバサと羽を云わせ空から降りてくる男は美しかった。
『誰です?何故僕の名前を知って居るのですか。』
ライフルを構える。
男は驚いた様な顔と声色でまた僕に話しかける。
【…俺の事分からないのか?叶だろ?お前…本当に覚えてないのか!?そうか…もうこっちでは何年経ってるんだ、どうしたら…こいつは彼奴の生まれ変わりなのか?】
何だコイツいきなり肩を揺らしてきたかと思えば、ブツブツと何かを呟いている。おかしな奴だと、でも…コイツ身につけている物がとても良いものだ。コイツもしかして何処かの国の貴族か?だとしたら僕はなんて事を…
『すみません!!貴族様に銃を向けるなんて…』
【貴族様?お前誰と勘違いしている?お前俺を見たこと無いんだろ?】
もしかして貴族ではなく、王家の方だった!?
ワタワタとした僕を横目に貴族様はクスクスと肩を震わせ笑っていた。
【まぁ…いい。分からないならまた、思い出すまで。】
『???思い出す???』
ふわっと風が木々の間を抜けた。
【アレクサンドル・ラグーザ。俺の名前だ。分からないならまた覚えろ。サーシャだ。彼奴はサーシャと呼んでいた。お前もそう呼べ叶。】
此処からまたサーシャの傷は増え始める。
掴んだ幸せは、此処から綻び始める。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!