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まみか
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宿儺「……は?」
平安京の奥深く、晴明の屋敷の庭。月明かりが静かに木々の葉を照らす中、突然呼び出された男——両面宿儺は、腕を組んだまま眉をひそめていた。
四つの目が、碧姫をじっと見つめる。
碧姫もまた、ウサギを抱きかかえたまま、ぽかんとした顔で宿儺を見上げていた。
碧姫「……えっと……」
宿儺「晴明。お前、頭でも打ったか。俺に花婿になれだと?」
睛明は涼しい顔で扇を広げ、くすくすと笑っている。
睛明「打ってないぞ。むしろ冴え渡っておる。ほら、碧姫。お前が望んだ通りの男だろう? 筋肉質で、勇ましく、強そうで……まあ、ちょっと凶暴すぎるが、そこは愛嬌というものだ」
碧姫「……お父様、それ『ちょっと』じゃないです」
彼女は宿儺の体躯を上から下まで眺め、頰を少し赤らめながらも、素直に感想を漏らした。
碧姫「…………でも、確かに……とても、逞しいですわね……フフッ」
宿儺「…………」
宿儺の片方の口が引きつる。もう片方の口は不機嫌そうに「チッ」と舌打ちした。
宿儺「俺は呪いの王だぞ。平安の都を滅ぼしかねん男だ。貴様の可愛い娘を娶って何になる」
碧姫「滅ぼす? あら、それは困りますわ。私の大切な森や、うさぎさんたちがいなくなってしまいますもの」
彼女はウサギをそっと地面に下ろし、宿儺に一歩近づいた。
静かで、柔らかい、けれど芯の強い声で続ける。
碧姫「でも……もしあなたが、そんなに強いのであれば、私の傍にいてくだされば、きっと誰もこの里を乱せませんよね?」
宿儺「……」
碧姫はにこりと微笑んだ。
その笑顔は、まるで春の陽だまりのように穏やかだった。
碧姫「私は争いは嫌いです。でも、守るための力は……嫌いじゃありませんの」
宿儺はしばらく無言で彼女を見つめていたが、やがて低く、含み笑うような声を出した。
宿儺「ふん……面白い女だな、晴明の娘」
睛明「ほらな? 言った通りだろう」
宿儺「黙れ、陰陽師。……まあ、いい。暇つぶしにはなるかもしれん」
彼は四つの腕のうち、二本を軽く組んで碧姫を見下ろした。
宿儺「ただし、条件がある」
碧姫「条件……ですか?」
宿儺「お前が俺を退屈させなければ、考えてやらんこともない」
碧姫の目がきらりと輝いた。
碧姫「ふふっ、では……これから、たくさん愛らしい生き物たちをご紹介いたしますわ。きっと、あなたも気に入りますよ?」
宿儺「…………は?」
こうして、呪いの王と自然を愛する姫の、奇妙な縁談が始まった。
コメント
1件
うわ、めっちゃ面白かったです! 呪いの王・宿儺が「花婿になれ」って呼び出されてからの、碧姫の天真爛漫だけど芯の通った感じが最高でしたね。「筋肉質で勇ましい」って晴明が言う横で、碧姫が「ちょっとじゃないです」って冷静にツッコむところ、クスッときました。「退屈させなければ考えてやる」っていう宿儺の条件、この先どんな展開になるのかワクワクします! 呪術と自然愛の異色カップル、応援したくなりますね!