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まみか
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翌朝。晴明の屋敷から少し離れた、碧姫が最も愛する森の奥。
碧姫「さあ、宿儺様。こちらですわ」
彼女は白い十二単の裾を軽く持ち上げ、木漏れ日の中を嬉しそうに歩いている。後ろには、仏頂面の宿儺がのっしのっしとついてきていた。四つの腕のうち、二本は面倒くさそうに後頭部で組んでいる。
宿儺「…………なんで俺がこんなところに来なきゃならんのだ」
碧姫「約束ですわよ? 私があなたを退屈させなければ、と考えてくださると」
宿儺「退屈させないって言っただけで、こんな朝っぱらから森の散歩とは聞いていないぞ」
碧姫「ふふっ、朝の森は一番美しいんですの。特に今朝は、鹿の子たちが生まれたばかりで……」
すると、木々の間から小さな音がした。
びょこっ、びょこっ。
二匹の小さな子鹿が、ふらふらと現れる。まだ足元がおぼつかない。
碧姫の顔がぱぁっと輝いた。
碧姫「まあ! 可愛い……! 宿儺様、見てくださいまし!」
彼女はしゃがみ込んで、手を差し伸べる。子鹿たちは最初こそ警戒したものの、碧姫の柔らかい気配に安心したのか、近づいてきて鼻をすりつけてきた。
碧姫「フフッ……愛らしいのぉ……」
宿儺は腕を組んだまま、じっとその光景を見下ろしていた。
宿儺「……ふん。弱い生き物だ」
碧姫「ええ、弱いからこそ、大切にしなくてはなりませんわ。あなたのような強い方が守ってくださったら、きっと安心して暮らせますもの」
宿儺「俺に子鹿の守護神になれと言うのか?」
碧姫「まあ、そういうのも悪くないですわね」
宿儺「…………冗談を」
しかし、宿儺の視線は、碧姫が子鹿の頭を優しく撫でる手に、わずかに留まっていた。
そこへ——
ガサガサッ!
森の奥から、突然大きな影が飛び出してきた。
それは、野猪の群れだった。どうやら子鹿の親を探して興奮しているらしい。碧姫の近くにまで突進してくる。
碧姫「きゃっ……!」
宿儺「チッ」
瞬間、二本の腕が動いた。
ドンッ!!
宿儺は片手で野猪の頭を軽く押し返しただけで、大きな体が吹っ飛んで木に激突した。他の野猪たちも、宿儺の殺気を感じて一瞬で動きを止める。
宿儺「邪魔だ。消えろ」
野猪たちは悲鳴を上げて、一目散に逃げていった。
碧姫「……」
彼女は目を丸くして宿儺を見つめ、それからふわりと微笑んだ。
碧姫「ありがとうございます、宿儺様」
宿儺「礼などいらん。ついでだ」
碧姫「ふふっ、でも……やっぱり、強い方は素敵ですわ」
宿儺の片方の顔が、わずかに赤くなった(もう片方は「は?」としかめっ面)。
宿儺「…………お前、俺をからかっているのか?」
碧姫「いいえ。本心ですわ。でも、強さだけじゃなくて……」
彼女は立ち上がり、宿儺の大きな手に自分の小さな手を重ねた。
碧姫「その強さで、誰かを守れる優しさも……少しずつ見たいですの」
宿儺は黙って彼女の手を見下ろした。
四つの目が、珍しく静かになる。
宿儺「……ふん。調子のいいことを」
そう言いながらも、彼は手を振り払わなかった。
その時、遠くから晴明の声が響いてきた。
睛明「碧姫~! 宿儺~! そろそろ戻ってこい。婚姻の話を詰めようではないか!」
宿儺「…………あのジジイ、今度こそ殺す…!」
碧姫「まあ! お父様ったら……ふふっ」
森に、二人の(?)笑い声が小さく響いた。
コメント
1件
おおお〜〜!!第3話、めっちゃ良かったです😭💕 碧姫様の優しさと、宿儺様のツンデレっぷりがエモすぎる…!! 野猪の群れを一瞬で追い払う強さ、でも碧姫様の手を振り払わないギャップに胸きゅんですわ…✨ 「強さだけじゃなくて優しさも見たい」って台詞、じわじわ効く〜〜! 晴明様の絶妙なタイミングの乱入で笑っちゃったけど、2人の距離がほんのり縮まったのが伝わってきてほっこりしました🥺🌸 次回も楽しみにしてます!!