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4.命
「…できた。はい、ピンクと白の風船よ」
「わぁー!おねえさんありがとう!」
その笑顔を見たミスティアの脳裏に、まだ幼かった頃の妹の顔が浮かんだ。
そして、あの時ミスティアにだけ聞こえていた、両親の悲痛な叫び声、銃声─。
『…ミスティア』
ミスティアのインカムからソライアの声が聞こえた。
たった一言、ミスティアは小さく言った。
「ごめんなさい…やっぱり私にはできないわ…」
『…』
「この子を始末するなんて…私には…」
『…分かった』
ソライアは短く返した。
風船を渡した後、ミスティアは子供と別れた。今頃両親の死を知って泣いているのだろう。胸が締め付けられる思いだった。
5.敵襲
「ミスティア、大丈夫か?」
「えぇ、何ともないわ」
さらりと出した「何ともない」という言葉。それは嘘だ。でも「嘘です」とは言わない。
ソライアとミスティアは合流し、ジンたちが待つ車へと戻ろうとしていた。
その時。
「!」
ミスティアが何かに気づいた。
何かが光っている。あれは─
「ソライア!伏せて!!」
チュイン!!
突然、ライフルの弾がコンクリートに着弾した。2人は身を起こす。
「ライフル…一体どこから…!?」
「借りるぞ!」
ソライアがミスティアの首に掛かっていた双眼鏡を奪った。流れるように覗き込む。
遠く離れた建物の屋上、こちらに撃ったであろう人物の背中にあったのは─
(FBI…!!)
チュン!チュン!!チュイン!!
FBIの狙撃手がこちらに向かって撃ってくる。2人は必死に避ける。
パシュ!
「ダメだわ…!普通の銃じゃ届かない!」
ミスティアが屋上に向かって発砲するが、ギリギリ届かない。
「!?」
ミスティアが歯噛みした直後、ソライアがFBIのいる建物に向かって飛び出した。上から次々と向かい来る弾をギリギリでかわす。
ライフルの死角を取り、ソライアは真下から屋上に向かって銃を撃った。
キン!!
屋上から覗いていたライフルの先端にソライアの撃った弾が当たり、ライフルが落ちてくる。それをソライアはキャッチし、上に向かって撃った。
バシュ!!バシュ!!
FBIは慌てて撤退し、建物の中へと入っていった。
「ミスティア!大丈夫か!」
「え、えぇ。大丈夫…ありが…」
言い切る前にミスティアは気づいた。
後ろからFBIが1人、ソライアを狙っている。
パシュ!!
ミスティアはFBIの男に向かって発砲した。見事腕に命中し、男が呻いて倒れ込む。
その隙に、2人は逃げた。
6.大切なもの
「ソライア大丈夫?怪我は?」
「別に平気だ。ミスティアこそ撃たれてないか」
そう言って、ミスティアを気遣うソライアの肩には大きな傷があった。
「大丈夫じゃないじゃないの!いっつも無理するんだからあなたは!」
「そっちだって怪我してるだろ?こっちのことよりまずは自分のことを優先しろ」
言い返されたミスティアはムッとした顔になった。
「私のは大した怪我じゃないわ!」
「私だって!」
2人は顔を見合わせる。
(そうやってまた我慢して…なんでも大丈夫大丈夫って言って…!)
(いつも母親ヅラして…そっちだって十分な怪我してるくせに…)
そして2人、同時に思った。
((まったく…強がりな(子)奴))
続