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#司総受け
「__…将校殿。」「…ああ…、参謀か…。」
「フフッ、前とは逆になってしまいましたね。」
参謀はそう言って、拘束されている将校に目を落とした。
…将校は、国家反逆罪という名目で、罪人にされていた。といっても、将校自身は至極真っ当に、国家のために尽くしてきた。…ただ、とある貴族にとって邪魔になり、己はやっていない罪について濡れ衣を着せられ、理不尽に処罰をされるのであった。
処刑が確定しており、刻一刻と時間は迫ってきていた。
そんな中、最後に話をしたいと参謀が将校に会いにきたのだ。
「…懐かしいな…。」
将校は参謀よりも遠くを見て、少しだけ楽しそうな声を出した。その姿に、参謀は少しだけ安堵した。
将校は、暴力を受けていないとはいえ、まともな食事を出されず、さらにはそれを食べずで、弱っていた。
「…あの時とは違って、私に貴方を助けれるような手段は持ち合わせていませんが、。」
参謀は辛そうに言った。将校と、目を合わせることができなかった。
参謀にとって将校は、命を救ってくれた、命に意味を持たせてくれた恩人であり、大切な恋人であった。そんな人を…、愛する人を助ける手段がなかった。
将校は参謀を、王からの褒美として与えて欲しいと願って、参謀を救い出した。しかし将校の所有物として、一緒にもいたかったからというのもあり、参謀という立場に収まっている彼には、そんな芸当など不可能であった。
『…一つでも、将校殿を救える手段はないのか』
参謀は試行錯誤した。自分が将校の所有物として代わりに消えれば、将校を陥れている人に身体を売れば。こうしたら、ああしたら。もっと、他には。
…何度も考えて、実行しようとした。しかし、どれも通じないと、その明晰な頭脳を持つ彼は、全てを理解してしまった。…理解できてしまった。
「…参謀、いいんだ。お前は何も悪くなどない。」
参謀が落ち込む中、一筋の光のように将校は言った。しかし、その言葉に参謀は反発した。
「どうして違うと強く反論してくださらなかったのですか!!」
「…!」
参謀は、自分でも驚くくらい、大声を出した。将校も驚いたが、参謀はそれを無視し、続けようとした。しかし、泣きそうになるのをぐっと堪えるために、喋ることができなかった。今それ以上喋ったら、泣いてしまう気がした。そんな姿、見せたくなどなかった。
「…すまんな。」
将校は一言伝えた後、下を向く参謀を見つめ続けて言った。
「違うと言ったところで、もうどうにもならないと分かっていたからだ。お前もきっとそうしたと思う。」
「…きっとそれで、貴方は私を助けてくれるんですね。」
「全力を尽くす。」
将校は真っ直ぐ伝えた。しかし参謀はそれが嬉しいはずなのに、今は憎くて…__自分が憎くて、たまらなかった。
「どうして貴方は助けてくださるのに、私は何もできないんでしょうかっ。」
参謀は顔を上げ、将校に顔を見せた。目は閉じ、口角が上がって笑っているように見えるが、将校には心から笑っていないのだと分かっていた。…いや、普段は騙すことなど容易で、誰にも分からないが、今の参謀は誰にでも分かるほど、辛い気持ちが隠しきれていなかった。
「…参謀、自分を責めるな。お前は沢山考えてくれたのだろう?」
「考えただけです。…何も、できてないです。」
声は震えていた。身体も微かに震えていた。拘束されている将校は、ただそれを見ることしかできなかった。
「参謀、オレは考えてくれただけでも嬉しい。一生懸命オレを助けようとしてくれたことが、何よりも嬉しいんだ。」
将校は優しく参謀に笑いかけた。それが無理をしているのではなく、本当の笑いで、…参謀は、何も言えなくなってしまった。
「…すまんな、先に逝くことになってしまって。」
将校は小さく伝えた。
「もっと、…したいことがあった。参謀ともっと出かけたかった。アクセサリーでもなんでも買ってやって、お揃いをもっとしたかった。一緒に食事をもっとしたかった。菓子を食べる時の参謀はとても可愛い。
__…嬉しそうに笑った顔が、もっと見たかった。」
最後の一言は、一番小さく、一番低い声だった。
一番叶えたい、一番叶わないものだったからだ。将校は泣きそうにないっていたが、なんとか堪える。参謀と話す最後の最後に消えるオレが泣くなんて、ダサいと思ったから。
参謀を見ると、とうとう泣いていた。
オレの思いを聞いて、どうやら堪えるのができなくなってしまったらしい。大きな声こそ出ないものの、小さな声と、涙と、震えが将校の心を曇らせた。
「…ああ、この拘束さえなければ…、お前を抱きしめることができたのに。」
将校は下を向きがちに言った。
拘束されていて、将校はほとんど何もできず、喋ることしかできなかった。いつもみたいに抱きしめること、手を繋ぐことも、…何も将校にはできない。
参謀はずっと泣く最中、将校に言葉を漏らした。
「__将校殿のしたいこと…、もっとしたかった。」
参謀は必死に涙を手で拭う。将校は、そんながさつにさせず、ハンカチで拭いてやりたい。…でも、できない。
暫くして参謀が涙を止めると、口を開いた。
「…ねえ、将校殿。」
参謀を見ると、笑顔だった。曇りは少しあるが、苦しい笑顔ではなかった。心配が混ざったような笑顔だった。
「…受け取ってくれますか?」
「…!これ…。」
参謀が渡したのは、小さく輝くリング__指輪だった。
「…将校殿の指のサイズ、…目測ですから、上手くはまるかは分かりませんが…。」
「…はめてくれないか。」
将校は参謀の『受け取ってくれないか』という返事を通り越して、参謀に頼んだ。
参謀は驚きながらも、少し恥ずかしそうにして将校の左手の薬指にもたつきながらもはめた。
「…似合っています、将校殿。」
「…オレがつけれるものなら、つけたかったな、。」
参謀の空いている左手の薬指を眺め、呟いた。参謀はそんな将校のことを察し、右手に誰もはめていない指輪を持たせる。
「私の左手を近づけるので、はめてください。」
そう淡々にしながらも、照れているのが分かった。将校は頷き、近づいた参謀の薬指に指輪をはめた。
参謀は嬉しそうにしながら、将校に見せた。将校はその姿を見て、口を開いた。
「__この世で一番の、最高のお揃いだな。」
将校は笑顔で、参謀も笑顔だった。
…このまま、この時間が続けば、それで幸せだった。特別なことばかりじゃなくていい、将校と一緒にいられれば、環境や日々が地獄でも、幸せだと感じられた。
しかし、終わりはやってくるのであった。
『__時間だ。』
機械を通した音が響く。面会時間が過ぎたらしい。
これで話すのも最後だと将校は覚悟し、同時に嫌だと感じた。もっと、参謀と一緒にいたかった、と心の中で再び呟いた。
「…ねえ、将校殿。」
叶わない淡い期待を心の中で抱いてしまい、参謀が話しかけてくれたのに少し気付けず、反応に遅れてしまう。
「なんだ?」
「__愛する人の手でこの世を去るのは、嫌ですか?」
「…!」
参謀は、少し苦い顔をしながら、笑っていった。
ずっと…、参謀はそれを伝えようか迷っていた。
言って拒絶されるのも嫌だと感じた。
最後の最後まで、伝えるかを躊躇っていた。
__でも、他の人の手で、愛する人が消されるというのならば。
将校を愛する強い思いが、参謀に伝える勇気を与えた。
「…いいのか、本当に。」
将校は参謀の目をじっと見ていった。
参謀はその言葉に、一人安堵した。拒絶されなくて良かった、と。
「…私が言っているんです。…消えてしまうのは貴方なんです。貴方がどうされたいのか、教えてください。」
将校は参謀の返答が変わらず、将校は安心した。将校は真顔になるのをやめ、表情を緩ませた。
「こんなことさせてすまんな。…これから大変だろう?」
将校が参謀の未来を見据えていうと、参謀は少し笑った。
「これからなんてありません。私は貴方の所有物ということをお忘れで?…どこまでも、ついて行きます。」
参謀の言葉に、将校は察した。止めようと一瞬思った。しかし、参謀が全てを考えた上でやっていると思い、愛する人に消されること、愛する人がついて来てくれること。このことを踏まえ、伝えるのを辞めた。
「…愛している、__類。」
「私も愛しています、…将校殿。」
「…そこは名前で言ってくれないのか?」
「はあ、何を呑気なことを言っているんですか。私と貴方は今、やってはいけないことをしているんですからね?自覚してください。」
「「…ふっ。」」
将校と参謀の目が合うと、二人は笑い合った。将校の言葉に参謀が叱る。
…この雰囲気が、二人は好きだから。
暫く経って沈黙になった時、参謀がそっと二つ銃を取り出した。そのせいで、外が騒ぎ出す。
ドアを開けようとする音、叩く音がするが、びくともしない。参謀が事前にドアに細工をしたからだ。
将校はそんな参謀に感心しながら、参謀を見つめる。参謀は目が合うと、少し微笑む。
そして互いの腹に、銃を当てる。
機械音で、『ドアを開けろ』『止めろ』という声が響く。しかし、二人にはそんな音、耳に入らなかった。
「__愛していますよ、司さん。」
「!」
参謀がそう伝えた後、銃声が響き渡った。
お互いの腹に当ててあった銃が発砲され、地面に血が広がっていった。
参謀は銃を地面に落とし、残りの力で将校を抱きしめ続けた。
二人は命絶えるまで、お互いの体温、存在を感じながら笑い合っていた。
…………。
「…類!!!!」
「…司くんはいい目覚ましだね。もう少し声量を下げてくれると嬉しいな。」
「そんなことを言っとる場合か!!次はテストだぞ!?」
「おやおや、そんなもの受けなくても僕は」「受けるんだ!!来い!!」
「引っ張らないでくれるかな?」
「だったら自分で歩いて教室へ行け!!全く、オレがクラスメイトなのを利用しおって…!」
「利用してないけれど??」
「いいから来い!!!!」
「全く、君は強引だねえ…。」
「類はマイペースすぎる!!」
「自分を持ってる、と言って欲しいな。」
「ええい、いいから来い!!!!」
「恋人の扱いが酷いよ、司くん…。」
「ぐっ。」
「酷いよ、優しくしてくれないかい?泣いてしまうよ、よよよ…。」
「泣き真似をやめんか!!ではこれでいいか!?」
恋人繋ぎをする。
「…///。」
「自分で言って照れるではない!!」
「…恋人繋ぎして欲しいなんて言ったかな、僕///?」
「優しくしてやってるではないか!!いいから行くぞ、類!!」
「…ああ、そうだね、司くん。」
「まだ類としたいことは沢山あるからな!!」
コメント
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…語彙力無くて申し訳ないのですが、さみひか様文章力凄いですね…将校と参謀の曇り具合が痛いほど伝わってくるし指輪のシーンで心の底から嬉しいんだなって分かるし参謀が将校に消し合うみたいなことを提案する時の参謀の気持ちが心にくる表現だったし名前呼びで発砲する時がより輝かしく見えたしそれで終わりかなって思ったけど転生?でやりたいことを果たしてゆく、心置き無く関わりあっているのを見ていて本当に感動しました!
うわぁ…読んでて胸がぎゅーってなったよ😭💕 将校と参謀、最後までお互いを想い合ってて、指輪をはめ合うシーンとかもう…エモすぎる…! しかも最後の展開まさかの生まれ変わり?的な感じで、現代で恋人繋ぎしてる2人が見られて、ほっとしたよ…! まだまだ続きが気になる…もっと2人の日常見たい〜!✨