TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

幼なじみとの両片思い

一覧ページ

「幼なじみとの両片思い」のメインビジュアル

幼なじみとの両片思い

9 - 限界【3】

♥

10

2025年08月23日

シェアするシェアする
報告する

限界


時計はすでに夜の11時を回っていた。レポートをやるはずだったテーブルの上には、散らかったノートと空の缶コーヒー。

結局、二人ともほとんど進まないまま、まなみはソファに沈み込んでいた。

「ん~……もう無理ぃ……」

「おい、寝るなや。終わらんやろが」

「そらとが横でずっと睨んでくるけん、集中できんの」

「……誰が睨んどるか」

「ふふ、だって、圭介くんのときより怖い顔しとる」

無自覚に放ったその言葉で、そらとの眉がぴくりと動いた。

「……お前、わざと言いよる?」

「え、なにを?」

「おれ、我慢の限界近いんわかっとらんの?」

「が、我慢ってなにが……っ」

まなみが言い終わるより早く、そらとの手がまなみの腰をつかんで引き寄せた。

一瞬で距離がゼロになる。

胸の奥が跳ねて、言葉が出てこない。

「な、なにして……」

「……おれ“だけ”見とけって言うたやろ?」

「っ、言ったけど……」

「じゃあ、おれにだけ笑え」

低い声と真剣な瞳に、まなみは息を呑んだ。

そらとはソファに押し倒すわけでもなく、ただ至近距離でじっと見つめるだけ。

けど、視線が熱すぎて逃げられない。

「……そんな顔すんなって。煽っとるん、わかっとる?」

「煽ってなんかないよ……」

「お前、ほんま自覚ないんか」

「……な、ないよ」

そらとは一瞬、目を伏せて深く息を吐いた。

そして、小さく笑った。

「……まなみ、もう知らんけん」

次の瞬間、背中を支えられて、そのままソファに押し倒された。

体温が一気に近づく。

まなみの視界いっぱいに、そらとの顔がある。

「っ……そ、そらと、待って……」

「待てん」

吐息が頬にかかるたび、心臓が痛いくらい跳ねた。

しばらく見下ろしたまま、そらとはまなみの頬にそっと指を這わせる。

爪先で触れるだけなのに、全身がびくりと震えた。

「……おれ、ほんとは今日、お前抱きしめたくてしゃーなかった」

「そ、そんなん言わんでよ……」

「言わな我慢できんっちゃ」

声がかすかに震えていて、逆に余裕がないのが伝わる。

まなみは困ったように笑って、小さく呟いた。

「……そらとに抱きしめてもらうの、イヤやないよ」

一瞬、空気が変わった。

そらとの瞳が大きく見開かれたかと思えば、次の瞬間、強く抱きしめられる。

「……ほんま、お前反則やわ」

低い声が耳元で響いて、体中が熱くなる。

しばらく抱きしめられたまま、そらとは小さくつぶやいた。

「……今日は、ここまで」

「……“今日は”?」

「次は……覚悟しとけ」

熱を帯びた声で囁かれ、まなみはただ顔を真っ赤にして頷くしかなかった。

幼なじみとの両片思い

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

10

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚