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幼なじみとの両片思い

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幼なじみとの両片思い

10 - 無自覚【4】

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2025年08月23日

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無自覚


バイト終わりの夜。カフェの制服のまま、まなみはお客さんを笑顔で見送っていた。

「また来てくださいね~」

「うん、じゃあLINEしとくね!」

――その会話を、入り口の外からそらとは見ていた。

バイト帰りを迎えに来たのに、目の前の光景で胸の奥がじりじり熱くなる。

「……は?」

ドアを押し開けて入ってきたそらとは、無言でまなみの腕を掴んだ。

「ちょ、そらと!? なんで急にっ」

「帰るぞ」

「ま、待って制服まだ着とるけん、着替え──」

「着替えは後でよか」

低い声でそう言われた瞬間、まなみは背筋をぴくりと震わせた。

普段は冗談まじりで優しいそらとが、こんな声を出すのは珍しい。

着替えを済ませたまなみは、そらとの待つ駐車場へ向かった。

車の助手席に乗り込むと、そらとは無言のままエンジンをかける。

「そ、そらと……?」

「さっきの奴、誰や」

「え、さっきって……お客さんやけど」

「お客さんにLINE教えよったん?」

「いやいや、違うよ、向こうが勝手に──」

「勝手にでも断れ」

短く吐き捨てるような声。

まなみは思わず口を噤んだ。

だけど、心の奥がちょっとだけ甘く疼いてしまう。

「……そらと、もしかして嫉妬しとるん?」

「は?……するわけなかやろ」

「うそや。めっちゃ顔怖いよ?」

「怖いんやなくて……腹立っとるだけや」

「ふふっ、そらとかわいい~」

笑った瞬間、そらとの目がぎろりとまなみを射抜いた。

車内の空気が一気に熱くなる。

「……なぁ、まなみ」

「ん?」

「おれが今どんくらいお前にイラついとるか、わかっとる?」

「え……」

「そんなん無自覚で笑っとったら、帰るまで理性もたんぞ」

一瞬で息が止まった。

そらとの視線が熱くて、まなみは顔を真っ赤にする。

「っ、そらと……」

「なに」

「……怒っとる?」

「怒っとるっちゃ」

「じゃあ、どーしたら許してくれるん?」

「……おれにだけ、そうやって笑え」

まなみは一瞬きょとんとした後、恥ずかしそうに微笑んだ。

「……じゃあ、そらとだけに笑う」

「……っ」

その瞬間、そらとは耐えきれなくなったようにハンドルを握る手を離し、まなみの顎をそっと掴む。

「……ほんま、おれのこと煽っとんやろ」

「ちがう、無自覚やもん……」

「無自覚が一番たち悪いっちゃ」

吐息が触れる距離で低く囁かれて、まなみの胸が大きく跳ねた。

次の瞬間、そらとはまなみを強く抱き寄せた。

「……もう帰ろ。部屋でちゃんと話すけん」

「……“話す”だけ?」

「知らん。お前次第」

その声は、耳元で熱く残った。

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