テラーノベル
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夜の練習が終わって、シャワー浴びた藍は部屋着に着替えてリビングへ。
その背後から低く落ち着いた声が飛んでくる。
「藍、脱いだ服はカゴに入れてって言っただろ」
「……あ、はい」
(ごめんなさい…次から気ぃつけます…)
と、心の中で反省しつつキッチンカウンターにもたれる祐希をちらっと見る。
今も練習帰りなのに髪はちゃんと乾いてて、Tシャツ越しでもわかる肩幅がやばい。
「あとさ、靴下。ひっくり返ったまま洗濯機に入れるのやめな?」
「う…はい」
(ほんまにすんません…次からはちゃんと直して入れます…)
……なのに、気づけば口から出た言葉は——
「……祐希さん、今日もめっちゃかっこええな」
「……は?」
注意していた祐希の眉が一瞬ぴくりと上がる。
藍は自分でも何言っているのかわからないまま、頬が熱くなる。
「いや、その…ほんま、かっこええなって思って」
「……褒めても許さないからな」
そう言いながら祐希は耳まで赤くして背を向けた。怒ってるはずなのに、その背中から漂う空気はやわらかい。
藍はそっと笑って、脱いだ服をきちんとカゴへ入れに行った。
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