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本気にさせたい恋

68 - 第68話  願っていた幸せ⑧

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2024年09月21日

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一つのベッドで愛する人が隣で寄り添ってくれている幸せ。

こんな状況今まで何度も経験したはずなのに、愛する人が隣にいるというだけで、今までとは比べものにならないほどの満たされた気持ちと言葉に出来ない幸せ。

改めてようやくすべてを手に入れられた幸せを一人噛みしめる。


そっと隣りを見ると、愛しい人がオレと視線が重なり恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに微笑んでいて。


「このネックレス。今日の誕生日に渡したくて、急いで透子の為に作った」


その愛しい人の首元で光る贈ったネックレスを触りながら、特別なプレゼントだと伝える。


「えっ?これ作ってくれたの?」

「そっ。完全オリジナル。オレが透子をイメージして透子につけてほしいデザイン考えて、透子を想って作ったネックレス」

「えっ、そんなすごいのなんて思ってなかった」

「オレの愛どれだけ大きいと思ってんの? どうしても今日の誕生日に透子に渡したくてなんとか間に合わせた」


初めてオレが祝える誕生日。

初めて一緒に過ごせる誕生日。

透子の想い出に残る特別な贈り物をしたかった。


「ありがと・・ホントに。すごく、すごく嬉しい」


それを聞いて、透子は嬉しそうに静かにそう何度も伝えてくれる。

そしてオレにそっと抱き付いてくれる。


今まで素直に自分から気持ちを伝えてくれなくて、正直もどかしい時も多かったけど。

でも今日お互いの気持ちを確認してからは、素直にオレに甘えてくれる透子。

意地を張らずにオレを気持ちのまま求めてくれて、甘えてくれて、素直に愛を伝えてくれる。


お互いの愛を確かめ合ってる時に、時折漏れるオレの名前を呼ぶ声。

そしてその合間に、無意識なのか、それとも意識しているのか、「好き」とそっと漏れるように囁く声。

今まで聞きたかったその言葉をようやく聞けただけで、十分幸せだったのに。

そんな時でも何度か囁くその声に、透子の溢れ出る色気がオレへの想いを感じて、オレが透子を求める想いも止まらなくなって。

今まで見たことない、聞いたことない、透子の素直な仕草が、表情が、言葉が、狂いそうなくらい愛しくて、オレのすべてで今まで以上ハマってく。


その時間と透子を想い出しつつ、今は二人でまったり落ち着いた時間を味わう。


「透子が喜んでくれてよかった」


そして今はオレのそばでぴったり寄り添って幸せそうにしているのがまた嬉しくて。


「何かあったり、寂しくなったら、そのネックレスでオレを思い出して」


これから何かあっても、そのネックレスがオレの代わりに透子を守ってくれるように。

オレに何かあっても、そのネックレスでオレを思い出して、ずっと信じてくれるように。


「わかった。樹だと思って大切にする」

「うん。そのネックレスと一緒に透子のことずっと守るから」

「ふふ。大袈裟」


いいよ。透子はそう思ってくれてても。

オレがそれで満足なんだ。

ずっと不安にさせてばっかりだったけど、気持ちが通じ合った今は、これからは、ちゃんと透子を安心させてあげたいから。

オレが贈ったモノをつけてくれているだけで、それを見ているだけで、オレがただ幸せになれるから。


「いや。ホントこれから何があるかわからないから」

「う、うん・・?」


だけど、その幸せが大きくなっていくほど、今度は少し不安を感じる自分もいる。


やっと想いが通じて、愛する人が隣にいて。

夢見てた光景が目の前で起こっているのに、あまりにも幸せで、こんなにも幸せだからこそ、この幸せがどこまで続くのかと頭によぎる。


「ねぇ透子」

「ん?」

「どんなことがあってもずっとオレを好きでいて?」


もう大丈夫だよね?

オレをこのままこれからも好きでいてくれるよね?

例えこれからどんなことがあったとしても。


「わかった。ずっと樹を好きでいる」


きっと少し不安が漏れているオレに透子は気付いているのかもしれないけど、だけど透子はそのことには何も触れずに、欲しい言葉だけを優しく微笑んで返してくれる。


「絶対ね」

「わかった。絶対」


それでももっと安心したくて、つい念押ししてしまうオレに、透子は笑ってまた答えてくれる。

そして、ギュッとオレを抱き締めてくれる透子。

大丈夫だよと伝えてくれるかのように、抱き締める腕にギュッと力をこめて。

だけど、優しく包み込むように。


透子ありがとう。

どうかずっとこのまま離れないで。

どうかずっとこのままオレを好きでいて。

どうかずっとこのままオレを信じていて。


その後、しばらくすると幸せそうにスッと静かに眠りにつく透子。


ホントはまだずっと二人の時間を味わいたかったけど。

でも、オレの隣で安心して眠る姿を見るのも嬉しくもあり。

初めて透子が酔い潰れてオレの部屋で眠ったあの日は、まだ透子もまったく気持ちを開いてはくれてなくて。

だけど、あの時は、ずっと想ってた人が、ただオレの部屋にいて、オレのベッドで眠っていることだけで、幸せで。

なのに当の本人は、無防備に無意識でオレのベッドで寝ていて、正直気持ちを抑えるのもなかなか大変だった。

正直あの時簡単に手を出すことも出来たけど、絶対それは出来なくて。

せめて、ただそっと触れるだけでも、とか何度か思ったりもしたけど。

本当に好きだからこそ何も出来なかった。

ただずっと寝顔を見ているしかなかった。

だけど、そんな状況でさえ、オレには夢みたいな状況で、実際眠気も飛んでずっと寝てる透子を一晩中見つめてた。

二度とないかもしれないそんな夢みたいな状況をずっと味わっていたくて。

ただ目に焼き付けていた。

そんな幸せな状況を。

愛しい人の寝顔を。

愛しい人との時間を。

そんな幸せだけどもどかしい時間を過ごしてから、やっと今。

透子はオレの目の前にいて、隣にいて、こんなに近くでそばで幸せそうに寄り添って眠っている。


そして今はオレを好きでいてくれる愛しい人。

もう今は触れることも出来る。

もちろんずっと見つめていることだって出来る。

この近い距離も、このぬくもりも、やっと手に出来た幸せ。

オレはまたあの時以上に胸がいっぱいで、この幸せな時間をずっと実感していたくて、なかなか眠ることも出来ない。

だけど、すやすやとやっぱり眠る透子が愛しすぎて、可愛すぎて。

オレは透子に気付かれないように、そっとおでこにKissをした。


愛しい眠り姫。

どうかずっとオレの隣でそうやって幸せそうに眠っていて。

あなたが眠る度に、何度だってオレの口づけで目覚めさせてあげるから。

そしてその度に、目覚めたら幸せそうにオレに微笑んで。


そんな幸せな想像をしながら、オレもいつの間にか幸せな気持ちのまま眠りについた。




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