あっ・・・、オレいつの間にか寝ちゃってたんだ。
カーテンの隙間から少し差し込む日差しを見て、朝になっていたことを確認する。
隣を見ると、まだ眠っている透子。
オレは透子を起こさないよう、そっとベッドから降りてそっとカーテンを開ける。
窓から明るい日差しが差し込み、寝ている透子をその光が照らして包み込む。
その姿がまた綺麗で、オレはついまた見惚れてしまう。
一晩一緒に過ごせた幸せ、一番に目覚めた時隣にいる幸せ。
透子と一緒にいるだけで、いくつもの幸せが積み重なっていく。
何気ないいつもの日常や時間が、透子がいるだけでこんなにも輝いて嬉しくて幸せで。
想いが届くってこんなに幸せなことなんだと、改めて実感する。
こんな姿をオレはこれからずっと見られるなんて。
オレはもっとその姿を近くで見たくて、またベッドにそっと戻りまた同じように隣で寄り添う。
だけど、今度はちゃんと見れるように、隣で顔だけ起こし頬杖をついて、更にまたじっとその眠っている姿を見つめる。
ずっと見ていたいその寝顔。
オレは見つめながら、あまりにもその姿が可愛くて自然と微笑んでしまう。
だけど、やっぱりまた少し触れたくなって、今度はそっと頬に触れる。
本当に自分のモノになったんだと、その幸せを確かめるように、そっと愛しく優しく。
だけど、それでもまだ目を覚まさない透子。
この寝顔をずっと見ているだけで幸せは幸せだけれど。
でもそろそろ透子に目を覚ましてほしい。
オレを透子のその目に映してほしい。
オレの名前を呼んでほしい。
オレに笑いかけてほしい。
さっ、そろそろ目を覚まして。
愛しいオレの眠り姫。
隣で眠る愛しい姫の唇に、またそっと口づけをした。
「ん・・・」
すると、ようやくその口づけに気付いたのか反応し出した透子。
そんな風に起きる姿も可愛すぎ。
そしてゆっくりと目を開ける透子。
ようやく目を覚ましたか、オレの眠り姫は。
やっぱりオレの愛じゃないと目覚まさないってことかな。
でも眠り姫は、そんな王子のKissには気付かずに、目を覚ます状況は、少し寂しく思ったりもするけど。
だけど、それでもいい。
こんな姿はオレだけ見れる幸せなんだから。
もう誰にもこんな姿見させないから。
ずっとオレだけが味わえる幸せなんだから。
そしてじっと透子を見つめてると、まだ目が眠そうで少しボーッとしている。
だけど、少しずつ目の前にいるオレに気付きだしたっぽくて、ようやくその目に映れたのはいいモノの、透子はまだ特に何の反応もない。
まだ寝ぼけてる?
てか、昨日のことちゃんと覚えてる?
その可愛さと同時に、覚えてるのか安心したくて。
「おはよ。透子」
オレは優しく声をかけた。
するとようやく状況を把握したのか、少し驚いたような恥ずかしいような微妙な可愛い反応をしながら。
「お、おはよ・・」
ようやく愛しい人の声が聞けた。
「よく寝てたね」
「え・・そんなに・・? ごめん」
「オレは全然構わないけど。今日仕事も休みだし。オレにしたら眠ってる透子ずっとこうやって見つめられたから満足だったし」
オレはそれだけで満足。
どれだけの時間でも、透子の寝顔なら見つめてられる。
オレ的には、安心して眠ってくれるのが嬉しいんだから。
「私だけ見られるのとかずるい。私も樹の寝顔見たかった」
「何その可愛い返し。そんなのこれからいくらでも眺めさせてあげる」
どこまで可愛いこと言うんだか。
てか、透子もそんな風に思ってくれるとか・・嬉しい。
でもオレ的にはずっと透子に見つめられるとヤバいから、こっそり寝顔見るくらいでお願いします。
それならオレも知らない間にだから、耐える必要もないからさ。
「なら許す」
「透子、時間まだ今日大丈夫?」
「あっ、うん。特に今日は予定入れてなかったから」
「ならよかった。まだ朝早いし、もうちょっとゆっくりしていきたいなと思って、ルームサービスでモーニング頼んどいた」
「そうなんだ!ありがとう。私そんなのホテルで食べたことない」
「昨日はホントなら透子の誕生日ゆっくりお祝いしてあげたかったんだけど、結局あの時間からだったし、ちゃんとしてあげられなかったから」
ホントそれだけが心残り。
ホントならもっとちゃんとお祝いしてあげたかった。
一日中一緒にいたかった。
だから、まだもう少しだけこの幸せオレに味わわせて。
「そんなの全然いいよ。元はといえば私が素直になれてなかっただけだし・・・。これだけしてもらえただけでも充分嬉しい」
「そうさせたのもオレに原因あったワケだしさ。何よりオレが悔しいだけ」
オレがもっとちゃんと頼りがいあれば。
もっとオレが透子を信じさせてあげてれば。
「なんで樹が」
「だってホントならさ、透子一日中独り占め出来て、ひたすら甘やかして喜ばせて好きにさせていい日だったワケだし」
だけど、そんなカッコ悪い愚痴なんて言えなくて、つい冗談めいた言葉で今はとりあえず誤魔化す。
「ちょっと待って。別にそんな好き放題していい日ではないよ?」
「えっ?オレが透子めちゃくちゃに好き放題していい日なんじゃなかったっけ?」
「一日中喜ばせてくれるのは嬉しいけどそんな日ではないよ・・。しかもそれ言うならどっちかって言えば樹の誕生日だよね」
「なら・・・。オレの誕生日には透子めちゃくちゃにしていい?」
「その言い方・・・。なんかヤだ・・・」
オレの冗談とも本気ともとれる言い方に、案の定照れて困った顔をする透子。
オレを意識して照れてるのが、また嬉しくて可愛くて。
「っていうか、透子の誕生日にホントはオレがめちゃくちゃ幸せにしてやりたかった」
これが今の本音。
「大丈夫。すごく幸せだから」
だけど、透子は嬉しそうにそう言いながら笑ってくれる。
「まっ。オレも今こうやっていれるだけでも幸せだけど」
そう。オレにとっては、透子といれば、どんな短い時間だって、どんな時だって幸せ。
ようやく想いが通じ合って、透子のすべてをオレのモノに出来た。
こんなに最高に幸せなことなんてない。
「だから今度は樹の誕生日に私が幸せにしてあげる」
だけど、透子が思ってもいなかったそんなことを言ってくれて、正直驚いた。
そんな風に言ってもらったことなんて初めてで。
それが透子に言ってもらえて。
嬉しくて胸がいっぱいになる。
「マジで・・? なら期待しとく」
透子といると嬉しいことばっかだ。
透子のくれる言葉、透子の存在すべてがいつでもオレを満たしてくれる。
「誕生日。いつ?」
「10月24日」
「了解。じゃあちゃんと覚えとく」
「忘れたらお仕置きね」
「大丈夫。忘れないからお仕置きされない」
「そしたらオレはどっちでも幸せ」
「幸せの意味違うから」
なんて。
透子のその気持ちだけでオレは幸せだよ。
これからずっと透子と一緒にいられれば、オレは何もいらない。
それだけでオレはずっと幸せ。
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