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「」せりふ ()こころ
桃 side .
スマホ の 電源 を 切ってから 、 三日 が 経った 。
すち から の 連絡 を 絶ち 、 学校 でも 誰とも 目を合わせず 、 話しかけられても 生返事 で やり過ごす 。
俺 の 周り に 渦巻く 『呪い』 から みんな を 守るため 、 何より 、 世界で一番大好きなすち を 巻き込んで 消してしまわないために 、 俺は 自ら 孤独の檻 に 入った 。
(これでいい 。 俺 が 一人でいれば 、 もう 誰も 消えない 。すち も 、 無事 で いられる)
そう 自分 に 言い聞かせるけれど 、 胸の奥 は すちに会いたくて 、 声が聞きたくて 、 張り裂けそう に 痛かった 。
毎日 、 放課後 の チャイム が 鳴るたびに 、 いつも の 待ち合わせ 場所 に すち の 車 が来ているんじゃないかと 、 逃げ出したい 衝動 と 戦っている 。
「 …… らん 。 ちょっといいか ? 」
放課後 の 無人 の 教室 。 カバン を 持って 立ち上がろうとした 俺 に 、 声を かけてきたのは 担任の若い男 の 先生 だった 。
真面目 で 生徒思い の 、 頼れる 先生 だ 。
先生 は 教壇の前 に 立ち 、心配そう に 俺の顔 を 覗き込んできた 。
「最近 、 急に 元気 が なくなったな 。 進路 の こと で 悩んでるのか ? それとも …… 何か 困ったことでもあるのか」
「いえ 、 何でもないです 。 大丈夫 ですから」
俺は 慌てて 距離 を 取り 、 カバン を 強く 抱きしめた 。
ダメ だ 。
先生 、 俺に 近づいちゃ ダメ だ 。
優しく しないでくれ 。
俺と 関わったら 、 先生 まで 消えてしまう 。
「大丈夫 そうには 見えないぞ 。 最近 、 クラスの連中 が 立て続け に 転校して 、 お前 も 不安 なんだろう 。 何か 気づいたことがあるなら 、 俺に 話してくれ 。 力に なるから」
先生 は 一歩 、 俺の方 へ 足を 踏み出してきた 。 その 優しさ が 、 今の俺 には 鋭い刃物 のように 恐ろしい 。
俺の 『呪い』 が 、 この 優しい先生 に まで 感染 してしまう 。
「本当 に 何でもないんです ! すみません 、 失礼します !」
俺は 先生 の 言葉 を 遮るように 大声 を 出すと 、 引き止める声 を 背中 で 聞きながら 、 逃げるように 教室を 飛び出した 。
心臓 が バクバク と 暴れている 。
ごめんなさい 、 先生 。
せっかく 心配 してくれたのに 。
でも 、 これでいいんだ 。
誰とも 関わらなければ 、 誰も 傷つかない 。
冷たい 秋の風 が 吹く 校庭 を 、 早足 で 駆け抜けて 校門 を 出る 。
そのとき 、 校門 の すぐ近く の 道沿い に 、 見覚えのある 黒いセダン が 停まっている のが見えた 。
(あ …… )
すち の 車 だ 。
仕事 が あるはずなのに 、 すち は 運転席 に 座って 、 じっと 学校 の 敷地 の 方を 見つめていた 。
会いたい 。
今すぐ その助手席 に 乗り込んで 、 すちの体温 に 触れて 、 あの 落ち着く部屋 へ 帰りたい 。
いつもなら すち の 助手席 が 、 俺の 帰る場所 だったのに 。
けれど 、 俺は ぐっと 拳を 握りしめ 、 気づかない振り をして 、 すち の 車 とは 反対の方向 へ 歩き出した 。
すち を 守るためだ 。
ここで 甘えたら 、 大好きなすち が 消えてしまう 。
俺が 今 、 向かっているのは 自分の実家 だ 。
両親 は 共働き で 帰りが遅く 、 いつも 鍵の閉まった 、 暗くて冷たい 平屋 の 家 。
すち と 付き合い始めて からは 、 放課後 は ほとんど すちの家 で 過ごすか 、 夜遅く に 車で 実家 まで 送り届けてもらっていた 。
だから 、 夕方の こんなに早い時間 に 、 一人きり で 実家 への 寂しい 通学路 を 歩くのは 、 ひどく 久しぶりのような 気がした 。
すちのいない家 は 、 きっと 息が詰まるほど 静か だろう 。
それでも 、 すち を 失うくらいなら 、 世界中 で 一人きりの孤独 に 震えるほうが マシだ 。
涙 で 視界 を 滲ませながら 、 俺は ただ 、 大好きな人 を 守るために 一人きりの家 へと 走り続けた 。
足早 に 去っていく らんの背中 を 、 すち が どんな目 で 見ていたのか 、 その時の らん は 知る由もなかった 。
翠 side .
――車内。
すちは 、 らんが 自分から 視線を逸らし 、 逃げるように 去っていく姿 を 、 冷え切った瞳 で 見つめていた 。
「 …… らんらん」
愛おしい恋人 の 名前 を 呟く声 は 、 ひどく低く 、 かすんでいる 。
らんらんは 、 やっぱり 誰かに 怯えている 。
今日も 、 あの 担任の男 に 何かを 言われて 、 怯えた顔で 教室から 走って出てきた 。
すちの 手元にある タブレットには 、 学校の裏口 に 設置した 小型カメラの映像 が 映し出されている 。
らんに 拒絶 されてからの 三日間 、 すちは あらゆる手段 を 使って 、 らんの 学校での様子 を 監視 していた 。
さっき 、 教室で らんらん に しつこく 詰め寄っていた 担任の男 。
らんらん は あの男のせいで 、 あんなに 顔を 青ざめさせて 、 俺の車に 気づいても 乗れないほど 精神的に 追い詰められているんだ 。
「かわいそうに 。 あの男が 、 らんらんを 苦しめてるんだね」
すちは 、 ハンドルを握る手 に じわりと 力を込めた 。
らんらん を 怯えさせる 『ノイズ』 は 、 もう 同級生だけじゃ 足りないらしい 。
「大丈夫 だよ 、 らんらん 。 らんらん を 困らせる ゴミは 、 俺が 全部 片付けてあげるからね」
すちは 静かに 車を 発進させた 。
バックミラー に 映る すちの瞳には 、 一切の 躊躇 も 、 罪悪感 も 浮かんでいない 。
あるのはただ 、 らんの綺麗な世界 を 取り戻すための 、 狂気的 なまでの 使命感 だけだった 。
【で】
episode 3 . fin_
コメント
3件
🌾失ですっ.ᐟ.ᐟ 🌸🍵ですれ違いと言うか、認識の違いがあるだけでこんな凄いことが生まれるとは… 今回も書き方うますぎて感動しちゃいました.ᐟ.ᐟ これからも頑張ってください.ᐟ.ᐟ
いやあ、第4話、めちゃくちゃ胸が締め付けられました……。桃sideの「会いたいけど会えない」苦しみと、翠sideの「守る」が完全に狂愛に変わっていく温度差がたまらないですね。特に、バックミラーのすちの瞳が一切躊躇してない描写が怖くて美しかったです。二人の距離が縮まるのか、それともさらにすれ違うのか、続きが気になって仕方ないです!
現世くるり ◤ ペア画なう ◢
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