・VTA時代捏造
・でびらびが付き合ってた(左右明記なし)
・👻🔪と🐙🌟も付き合ってる(左右明記はないけど若干👻🔪が押し気味)
・監禁描写あり
・👻🔪→→→→→→→🐙🌟
・本作品は二次創作であり、ご本人様とは一切関係ありません
・本編中ライバー様のお名前は伏せません
<👻🔪side>
「ロウさぁ、最近ずっとぼんやりしてない?」
欠伸をしつつ報告書を書いている俺の横からライが顔を覗かせる。その更に隣で救出した市民からもらった菓子折りを食べていたカゲツが便乗するように口を挟んできた。
「最近のお前、心ここに在らずって感じやわ」
「あー…あんま寝れてないからか?」
「ロウが寝不足なんて珍しいね、いつもぐうたらしてるのに」
「明日KOZAKA-Cの雨でも降るんやろか」
「うわ~、それDytica総出でもどうにもならなそうだな……そういえば星導、まだ見つかんないんだってね」
何してるんだろ、と心配そうに眉をひそめるライから顔をそらし、こぼれる笑みを必死に押さえる。恋人の名前を聞いたと同時に今すぐ自宅に帰りたくなった。
星導は“あの日”からずっと行方不明の扱いを受けている。星導を最後に見た時一緒にいたのが俺だったのもあって最初は疑われたが、俺が星導を誘拐する理由が一切ないためすぐその疑念は晴れた。
「星導が戦ってるとこ見たいのになぁ。タコの触手に宇宙直結のデカい口とか強いに決まってんじゃん!どういう構造してんのかな?」
「星導が来る前はぼくら3人で任務遂行しとったけど、せっかくDytica組んだなら4人で任務とか行きたいわ」
カゲツには申し訳ないが、そんな日は一生来ない。大切な恋人を戦場に立たせるなんて危険極まりないし、そもそも星導はヒーローでもなんでもない“ただのVTA卒業生”なのだ。
あれから数週間経ったが、やはり彼は晶だった。時折違うナニカになる瞬間もあるが、壊れかけたテレビを叩いて直すように、彼もまた少し力を加えれば元に戻る。
最近は特に甘えてくれるようになったと思う。抱きしめても抵抗しなくなったため、縛るものを足枷に変えて両手の自由を与えてやった。
『ありがとう、ほんとに嬉しい』
晶の陽だまりのような笑みが闇を孕んだナニカによって侵食されていく。星導の名を騙った化け物が時折晶の体を乗っ取ってはバグを起こすため、俺がそれを叩いて直す日々。それでも幸せだった。
「俺先に帰るわ」
「お、爆睡コース来た?」
「そんなとこ」
「今日はもう起きんと見た」
「オレもそう思う」
ライとカゲツにソファから見送られながら部屋を後にする。その足で帰路に着いている途中、俺が西に来た時には無かったであろうアンティークな骨董屋のような店を見かけた。看板に書かれた『R’Beyeh』という文字に妙に惹かれ、入口の扉に手をかける。
「…?開かん」
営業時間外なのだろうか。よく見れば店内は真っ暗だし、店主と思わしき人どころかそもそも人がいない。少し残念に思いながらも、家に帰ったら星導がいるという事実に再び気持ちが昂り始める。
「晩飯どうすっかなぁ」
俺一人だと優先順位が低いようなものでも、星導がいるだけで必要以上に神経質になってしまうのは恋のせいだと思いたい。
<🐙🌟side>
あれから何時間、何日経ったのだろう。俺が抵抗しなくなってからの彼は常に嬉しそうだった。嬉しそうに俺に構い、嬉しそうに俺を抱きしめ、かと思いきや俺が晶になりきれない時は容赦なく手を上げる。
「っ……」
先日殴られた痕がじくりと痛む。身体は殴っても顔だけは決して傷つけないところが“愛してる”を体現しているようで憎かった。
(いっそのこと、原型とどめないぐらい俺のこと殴って愛想でも尽かせばいいのに)
あの人がそんなことをするわけがないのは知っているけれど。
最近では拘束具が手錠から足枷に変わって身動きが取りやすくなったりと、着実に彼の心に侵入出来つつあるのが目に見えてわかる。ここから出られる日もそう遠くはないのかもしれない。
(一刻も早くこんなとこおさらばしないと…大家さんにも申し訳ないですし)
R’Beyehは今頃どうなっているのだろう。ここに監禁されてからの出来事が濃すぎて、もはや看板をCLOSEにしたかすら覚えていない。
そんなことを考えていると玄関の方からドアを開ける音が聞こえてきた。ああ、今日もまた始まる。
「ただいま星導、いい子にしてたか?」
「おかえり。ずっとここにいるのにいい子も何もないでしょ」
「ふは、それもそうか。晩飯今から頼むけど何食いたい?」
そう言ってスマホを操作し始める彼の服を掴んで引き止める。どこか嬉しそうな目で俺を見てきた彼に首をこてんと傾けて話しかけた。
「ぴょんって自分でご飯作らないよね。なんで?」
「なんでって、俺が料理出来ないの知ってるだろ?マジでセンスないからこれだけは許して」
「…俺が作ろうか?」
「……え?」
綺麗にこちらを三度見した彼に近寄って再び首を傾げる。今、彼の目に俺はどう映っているのだろう。ちゃんと晶になれているだろうか。
「ぴょんより料理は出来ると思うんだよね。不安なら後ろで見張ってていいからさ」
「なんでそこまで」
「ぴょんに俺の手作り食べてもらいたいの」
だめ?
俺の知っている中で一番媚びた声を作り、媚びた目と共に投げかけてやる。泳ぎまくる彼の目を見る限りかなり揺らいでいる。もう一押し。
「こういうの、恋人っぽくて俺は好きだな」
「っ……!」
彼を後ろから抱きしめ、耳元で囁く。恋人という甘美な響きを鼓膜にダイレクトに食らった彼の耳は初恋のように真っ赤に染まった。
引いてダメなら押すしかない。押して押して押しまくって俺にメロメロになってもらうしかないのだ。
「ね、ぴょん…おねがい」
「……夜、だけ、な」
どこか震える声でそう答えた彼の背中を先程より強く抱きしめる。びくりと跳ねた体を押さえ込むように体重をかけると、彼は身をよじって笑い始めた。
「ちょ、お前重すぎ!」
「はぁ?背のわりには痩せてる方なんだけど!」
「悪かったって!鎖外すからマジでどけろ!」
その言葉に俺の体がぴたりと止まる。隙を見て足元に潜り込んだ彼の骨ばった手が細くなった俺の足首に触れ、懐から出した鍵で枷を片足ずつ外していく。
久々に感じた自由を前に目を輝かせている俺の手を取ると、彼はおもむろに指を絡めながら柔らかく微笑んだ。
「ほら、こっち」
「…うん!」
まだ逃げるのは難しくてもこれは立派な進展だ。それだけでもどうしようもなく嬉しくて、俺は彼に案内されるがままキッチンに向かった。
生活感のないそこを見て彼がいかに料理をしないか実感した。冷蔵庫の中身を確認するため手を離してくれた背後の彼へ声をかける。
「もやし炒めなら作れるけど、どうする?」
「え、美味そう。めっちゃ食べたい」
「あはは、わかった」
ご飯を前にしっぽを振る犬のように機嫌が良くなった彼から目を離し、手頃な輪ゴムで髪を一つにまとめる。輪ゴムだと絡まって痛いからヘアゴムがよかったな、そもそもヘアゴム持ってるのかな、とぼんやり考えたりもした。
ふと視界の端に畳まれてしばらく経ったであろうエプロンがぽつんと置かれていたため、なんとなくそれも着けてみる。彼に似た綺麗な青を身にまとった瞬間、突如背後から強く抱きしめられた。
「ちょっとー?準備できないんだけど」
「……い」
「へ?っ、ぇあ…っ?!」
ちゅ、と首筋に吸いつかれて意識が全てそっちに向かう。反射的に手が出そうになったところを全力で抑え込み、その代わりに彼の腕を掴んで引き剥がそうとした。
「ちょ、っと!なにして…っ」
聞く耳を持たない彼の唇が無防備な首元に次々とキスを落としていく。背筋がぞわりとする感覚に力が奪われて上手く抵抗できない。その動きが段々と顔の方に上がってきたところで俺はハッと我に返った。
「っやめて!」
彼の頬を押し退けつつそっぽを向いてNoの姿勢を見せる。すると彼はしばらくそのままだったが、やがて何を思ったのかあっさり俺を解放してくれた。そして俺の顔を見て何故か吹き出した。
「ふはっ…なんかさ、さっきのアレに似てたよな」
「アレ、って?」
「キスを拒否る猫。さっきのお前まんまそれだったよ」
可愛かったなー、と笑いながらリビングのソファに腰掛ける彼を見てため息をつく。ここに来てから振り回されてばっかりだ。いい加減疲れたが、もう少しの辛抱だと自分を鼓舞して面と向かった冷蔵庫を撫でる。
(我慢、我慢…美味しいもので気を紛らわせよう)
「ははは…ほんっと、可愛い恋人だこと」
背後から甘くデレた声がかけられる。ただひたすらに、黙ってほしいと思った。
スクロールお疲れ様でした!
まだ続きます。
コメント
3件
まじで神すぎます、 書き方 大好きです 、 .... 言うの 遅れましたが ふぉろしつ です、 !