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ご飯にする？お風呂にする？

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ご飯にする？お風呂にする？

第2話 - 貴方の為なら

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2024年05月29日

#ニキしろ

#女子研究大学

Ma

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あくまで個人の趣味であり、現実の事象とは一切無関係です。

スクショ、無断転載、晒し行為等はおやめください。

『あなたのためならなんだって出来るわ！』

テレビの中で最近よく見かける女優が叫ぶ。好きな男のために犯罪に手を染める女の話。世間では女の愛が重すぎるとあまり評判は良くないらしい。隣に座るニキも見てて疲れると苦言を呈していた。仕事も日常生活も不規則なせいで、リアルタイムに見る事は滅多にない。それでも俺が見たいって我儘に付き合って毎度毎度、録画の再生に付き合ってくれている。

世間的な評判は良くないが、俺はこのドラマを結構気に入っている。なぜなら女の気持ちに共感しているから。

好きな人のためならなんだって出来る。けど、恋人のニキに言った事はない。だって重いと言われてしまったら俺は多分ショックで立ち直れないから。

「ねぇねぇボビー、俺のためならどこまで出来る？」

何気なく振られた話題は、見事に俺の思考回路を止めた。ニキにとってその問いはドラマの話の延長線でしかないだろう。でも俺には、本性を見せろと言われているように感じられた。背中に嫌な汗が伝う。それにしてもタイムリーすぎんだろ。これでマトモに答えて引かれたらショックで立ち直れねぇって。

いや待て。もしかするとこれはいい機会なのか？世間が認識している「性に奔放で、自由でありたい俺」の本当の中身を見せるタイミングがここなのかもしれない。

「死ねる」

まるで何も気にしていないように言ったつもりだけど、声はカサカサで震えていたかもしれない。だって緊張するだろ。こんなん。

何も言わないニキが気になってチラリと見やれば、ほんの少しだけ微笑んでいる。いや、どんな表情やねん。

「そっかぁ」

「え、そんだけ？」

思わず突っ込んでしまった。だってお前のために死ねるって言ってんのに「そっか」って。気持ち悪いって事か？重すぎて返す言葉も見つかんねぇって？

「じゃあ逆に、ボビーはどんな反応を期待してたん？」

「いや、嬉しいとか、重いとかいろいろあるだろ…」

「えぇ…なんかお前っぽくないね、今日」

俺っぽい。ニキもそう言うのか。

ニキも世間の知るしろせんせーが俺だと思ってるんだろう。尽くしたい、依存や執着に近いそれをニキは良しとしないのか。

やっぱ言うべきじゃなかった。最悪。

「ボビー？」

「なんや」

「お前、なんで泣いてんの？」

「は、」

言われてみれば、景色は滲んでニキの顔はぐにゃぐにゃだった。

「おいで」

ニキが太ももを叩いて腕を広げたもんだから素直に跨ってしまった。俺と大してタッパ変わんねぇくせにカッコつけやがって。欲に抗えない自分が恥ずかしくて首筋に顔を埋めた。徐にゆらんゆらんと体を左右に振られて、子供かよとツッコミたくなったがそれが心地よくて止めさせる事も出来ない。

「この際、思ってる事全部吐き出しちゃえよ。最近ずっとなんかモヤモヤしてたんだろ？」

「気づいてたのかよ…」

「これでもゆうたくんの恋人ですから。素直に言えばいいんじゃね」

「でも、重いし」

お前に引かれるのが嫌なんだよ。分かれよと抱きつく力を強くすればヘラヘラとニキは笑った。

「別にボビーが何言ったところで何も変わんねぇよ。束縛嫌いじゃねぇし俺」

「だから言え」と優しい声で言われて、今まで機能してたストッパーが全部壊れたのか馬鹿正直に話してしまった。

ニキのためだったら死ねるし、人も殺せると思う。俺の大事な人だったとしても殺める事が出来るかもしれない。ニキの行動は逐一知っておきたいし、誰と一緒にいるのかも気になる。ニキの持ってる連絡先を全部把握しておきたい。常に俺の事を考えておいてほしい。常に1番でありたい。それから、

「どんな俺だって受け入れてほしい」

捲し立てるように話して、ニキを見れば心底驚いたような顔をしてる。ほら引いてんじゃん。

「何も変わんねぇって…、言ったくせに」

「え、や、別に引いてるわけじゃねぇよ？」

「じゃあなんやねん、その顔は」

「何って、ボビー俺の事めちゃくちゃ好きやん」

「はぁ！？」

そりゃあ好きだけど。何、急に。俺のドロドロ話を聞いて感じたのはそれだけか？

「だってさ、俺のためならなんでも出来るってのも、俺の事全部知りたいってのも、ずっと一番でいたいってのも俺が好きだからでしょ？そんなの嬉しいに決まってんじゃん」

嬉しいという言葉にビクッと身体が揺れた。嬉しいんだ、ニキは。俺がイメージ通りの人間じゃなくても受け入れてくれるんだ。

「俺、めちゃくちゃお前の事好き…」

「なに今更、知ってるって」

「かっこいい、大好き、惚れる」

「知っとる知っとる。ありがとねぇ」

嬉しさが極まって、柄にもなくギュウギュウと全身を使って締め上げればイッテェよ！とニキがもがく。でもその声は優しくて、ついでに抱きしめ返してくれた。本当にイケメンかよ。ああ、俺の彼氏様が世界で一番カッコいいわ。