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#すのあべ
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一体、どうしてこうなったんだろう。
建物の裏手、人気のない死角に引き摺り込まれ、理人は地面に膝をついて奉仕することを強要されていた。 「跪け」と命じられたとき、その意味を理解するのに数秒を要し、ようやく事態を把握したときには心臓が跳ね上がり、パニックに陥りそうになった。
身を捩って逃れようとしたが、力ずくでコンクリートの地面に組み伏せられる。自分だって運動部で鍛えている。力は弱くないはずなのに、蓮の筋力は細身の体躯に似合わず凄まじく、理人がどれほど抵抗しても、大岩のようにびくともしなかった。
「ほら、早くしろよ」
頭上から降ってきた苛立たしげな声に、理人の口からチッと苦々しい舌打ちが漏れる。 こんな場所で行為を強要してくるこの男が憎くて、悔しくて、惨めで――。恥辱と情けなさが綯い交ぜになり、視界が熱くなる。
「……チッ、変態野郎が」
「あ? 何か言ったか?」
「……なんでもねぇよ」
悪態を吐き、唇を噛み締めながら、震える手でズボンのチャックを下ろした。引き出された熱を帯びたソレを、躊躇いがちに口に含んだ。 舌先で形をなぞり、吸い上げる。粘膜の熱に応えるように硬度を増していくモノを、意を決して喉の奥まで迎え入れた。
「ふ……っ……ん……」
鼻に抜ける吐息とともに溢れた唾液が、顎を伝って滴り落ち、灰色のコンクリートにどろりとした染みを作っていく。 こんなことしたくないのに。屈辱で死にそうなはずなのに、脳のどこかが痺れ、身体の芯が疼き始めていた。
「は……んぅ……っ……ふ……んん……」
茎の根元を両手で支え、唇を窄めて深く飲み込む。届かない場所は手で扱き上げると、口の中でさらに一回り膨らんだ。 蓮の手が不意に理人の髪に触れる。とんでもないことを命じているくせに、髪を梳く指先はなぜか優しく、それが余計に理人の心をかき乱した。
口に収まりきらなくなり、アイスを舐めるように下から上へと這わせると、蓮が「クッ」と息を詰めるのがわかった。 咥えたまま上目遣いで視線を上げると、情欲に濡れた蓮の瞳が、獲物を愛でるようにじっとこちらを見下ろしていた。
「はは、やっぱお前エロいわ。すげぇそそられる」
「……ッ!」
羞恥に耐えかねて慌てて目を逸らすと、蓮は愉快そうに喉を鳴らして笑った。 早く終わらせてしまいたい。先端から先走りを滲ませ始めたソレを必死に吸い上げ、喉の奥で奉仕を続ける。
(熱い……。こんなに熱くて硬いものが、いつも自分の中を壊すみたいに入ってくるのか……)
ぐちゅぐちゅという卑猥な水音が耳を犯す。夢中で貪るうちに、いつしか思考は蓮との淫らな記憶へと変換され、今ここで犯される空想が頭をもたげた。
ここは動物園だ。すぐそこの通路には、家族連れやカップルが溢れている。時折聞こえてくる子供たちの無邪気な笑い声や、遠くで響く動物の鳴き声。その日常の音が聞こえるたびに、取り返しのつかないことをしているのだという背徳感が、麻薬のように興奮を煽った。
見つかったら終わりだ。自分を地面に押さえつけていた蓮の手は、今は頭の上で優しく髪を遊ばせているだけで、縛り付けられているわけではない。
今なら嫌だと言って振り払うことも、逃げ出すこともできるはずなのに。なぜか、身体が動かなかった。
(もう、やめなきゃ……)
頭の片隅で理性が警鐘を鳴らしているのに、口内の蓮の一部が愛おしくて堪らなくなっていた。 もっと欲しい。気持ちよくなりたい。蓮にも、自分の口の中で果ててほしい。 どろりとした欲求が次から次へと湧き上がり、理性が瓦解していく。
「あー、そろそろヤバい。……出すから、全部飲めよ」
低く熱を帯びた声に触発され、理人はごくりと息を呑んだ。 淫乱と呼ばれても構わない。今、この絶望的な状況に、自分はこれほどまでに感じてしまっている。
(早く、早く欲しい……喉の奥に、あの熱い飛沫を……!)
理人は蓮の腰に手を回すと、しがみつくようにして激しく頭を上下させた。
「くっ……は、やば……っ」
蓮が切なげに喘いだ直後、口内へ生温かい液体が勢いよく放たれた。理人はビクビクと身体を震わせながら、それを逃さず喉へと流し込んだ。 すべてを出し終えても、名残惜しむように何度も扱き、最後の一滴まで搾り取ってから、ようやく口を離した。
「はは、すげーな。本当に全部飲んだのかよ。やらしー」
「……うるせぇ。テメェが飲めって言ったんだろうが……っ!」
唾液で濡れた顎を乱暴に手の甲で拭い、理人は蓮に背を向けた。
「もう気が済んだだろ。……ケンジが探してる。行かないと」
携帯を確認すれば、ケンジからの不在着信が数件入っていた。トイレから戻って理人がいないことに、今頃パニックになっているに違いない。