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潤から聞いた過去は、決して幸せなものではなくって二人がどれだけの痛みを抱えながら過ごしてきたのかは私には想像がつかない。
でも、これだけは確信を持って言える。
「潤は実里くんのこと大好きなんだね」
嫌いだと言っていた昔とは違って、今の潤は心から実里くんを大事に想ってる。
「それと、実里くんも潤が大好きなんだね」
「……そうかな」
やっとお互いの想いを知れた二人。
これからもっと歩み寄っていけるといいな。ううん、きっと想い合っている二人だもの。歩み寄っていけるはずだ。そして、もう一つ感じたことがある。
「潤は人にどう見られるのかって本当は怖いんだよね」
潤の過去を聞いてそのことを感じた。
ほとんどの人がそういう感情は持っていると思う。けれど、そのことに囚われていたら人と接するのが窮屈になってしまって、せっかくの個性が消えてしまう気がする。
「うん、怖いよ……今でもずっと…………こんな自分嫌になる。変わりたいって思うのになかなか変われない」
「比べられるなんて怯えて自分を変えなくっていいと思う」
潤はいつも包み込んでくれるみたいな優しさで気さくで、一緒に笑うと心が温まる。
「みんなも私も潤のこと簡単に嫌いになったり、誰かと比べたりなんてしないよ。だから、怖がらないで。 潤はすごく素敵な人で、いいお兄ちゃんだよ」
実里くんのことを大事に想っているように、それぞれが個人のことを大事に想っている。友達でもなくて、過去を背負った歪な関係なのかもしれない。
それでも、大事って形は変わらないんだと思う。
「本当に……?」
潤の問いに答えるように微笑むと、目に涙を溜めた潤が微笑みを返してくれた。
臆病で優しくて強い。潤はそんな矛盾を抱えながら真っすぐ自分と向き合って生きてる人だ。
「俺、願い事を実里のことにするのはやめようって思うんだ」
隣を見ると潤が真剣な面持ちでこちらを見ていた。
「嫌がる実里に勝手に願いを押し付けて、それで満足しようなんてただの独り善がりだし、逃げだ。けど、あんな風に頑張って自分の想い伝えてくれた実里をこれからずっと大事な弟として見守っていく」
「うん」
潤の手が私の手にそっと触れる。
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