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ここから日本史BL検定対策について述べていきましょう。
さきほどすこしお話したように、京で活躍していたころの新選組は最大230名にのぼります。
一対一のカップリングとしても、その組み合わせたるや実に5万通り以上。
この数字からも分かるように、BL学会における新選組の扱いたるや何だってアリです。
王道から寝取られ、幼なじみ、ライバル、復讐、主従に主従逆転、無理矢理、溺愛、ラブコメ、シリアス、ヒリヒリ、甘々、じれじれ……。
あらゆる可能性を秘めた数字です。
しかも、総じてここに「死」の予感というエッセンスが加わります。
未来に漂う死の予感は、シチュエーションから読み解くBL学の大きな要素のひとつといえます。
前回のようにキーワードで絞ると、このように多岐にわたりますので、今回は「空間」。
つまり、彼らの生活環境に着目して読み解いていきましょう。
前置きが長くなってしまいましたが、生活環境に特化して考えると新選組隊士は二種類に分けることができます。
すなわち個室と大部屋。
幹部たちは個室を与えられていましたが、平隊士は大部屋です。
BL学を勉強しているみなさんなら分かると思いますが、大部屋については察するにあまりあると思いませんか。
日本史のみならず、西洋史学の修道院でも言われています。
僧たちの寝台が並ぶ大部屋では、若い僧2人のベッドを並べるなと。
間に年寄りの僧のベッドを挟んでおかなければコトが始まってしまうと、まことしやかに言われているのです。
こちらのお話については、西洋史BL検定の講座で勉強してくださいね。
さて、大部屋で寝食を共にするルームメイト。
つまり、互いの全部を知った間柄です。
さきほど説明した「死」の予感も加味してください。
新選組隊士は何名かで組んで見回りをします。
不穏分子が潜んでいるかもしれない家屋に入る際、一番始めに乗り込む隊士は最も危険な役どころでした。
新選組ではこれを「死番」とよび、交代で務めることになっていました。
想像してください。
「死番」の極限の緊張感のなかでの戦闘、そしてそこから無事に生きて帰った夜のことを。
隣りで眠る同僚の体温が気になるのも無理はありません。
ほかの隊士らが寝ているところ、声を殺して致す背徳感が、ふたりの思いにさらに火をつけることでしょう。
また、夜中にふと目覚めた隊士が、隣りで致している2人に気付いたとしましょう。
たまらず自慰にふける。
あるいは翌朝、バラされたくなければ今夜は自分の相手をしろと脅すかもしれません。
何せ5万通りです。
展開は読めません。
このことから、新選組の大部屋に関するBL検定では記述式、あるいは小論文での出題が予想されます。
では、次は個室について述べましょう。
プライバシーに配慮された一人部屋は幹部の特権でした。
この個室という空間を最大限に活用したのは、BL学的見地から述べれば局長の近藤だったのではないかというのが近年主流の学説です。
新選組が大きくなり、次第に忙しくなった近藤は「小姓」として若い隊士をそばに置くようになります。
一般的に、近藤らの出身地である東国では男色はあまり見られないというのが通説です。
しかし近藤の「小姓」という役職、あまりに意味深な名称ではないかと疑問を抱かざるをえません。
日本史において男色とは珍しいものではありません。
武士の世では「衆道」として花開きました。
「小姓」というと、戦国期に大名などがそばに置いた若衆というイメージがあるのではないでしょうか。
殿の身の周りの世話から護衛、取り次ぎなど、仕事は多岐に渡ります。
相当頭の切れる人物でないと務まらないといえるでしょう。
見込みはあるものの家柄がいまひとつという若者を、殿の「お手付き」として取り立てて能力を発揮させて出世コースにあげることも、この小姓制度の目的でした。
なかには小姓との恋愛にのめりこんで刃傷沙汰を起こした大名もいましたが、ごく例外です。
処世術のひとつとしての男色とみるべきでしょう。
しかし、幕末に結成された戦闘集団である新選組はこの限りではありません。