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バーに戻ってきた美香とサユリのやり取り
荒い息を整えながら、美香は「Athlon BAR」へと戻ってきた。
「ったくあのクソオヤジ…あ クソオヤジは波和原か……ん?どうしたのサユリ」
店内のカウンター前で立ち尽くすサユリの姿に気づき、美香は怪訝そうに眉をひそめる。
サユリの視線の先には、先ほどまで青髪の男が着ていたエメラルドグリーンのカーディガンが、床にポツンと落ちていた。サユリはそれをそっと拾い上げる。
美香は「あーソレアイツの その辺に置いといたら また来るでしょ」と言い放つと、疲れたように客用の椅子に腰を下ろし、慣れた手つきで足を組んだ。
しかし、サユリは黙ったまま、その鮮やかな色の衣類をじっと見つめ続けている。
「ねぇ コレ 返さなきゃダメかな…」
そのどこか上の空な問いかけに、美香はパチッと目を開き、呆れたようなトーンで返す。
「お客様のでしょう ちゃんと返しなさいよ〜」
それだけ言うと、美香はグラスの片付けをテキパキと始め出した。
「そ、そうだよね ごめん美香」
慌てたように謝罪の言葉を残すと、サユリはカーディガンを抱えたまま店の奥の方へとパタパタと走り去っていった。
誰もいない薄暗いバックヤードの隅。
サユリは冷たい壁にそっと身体を預け、エメラルドグリーンの生地を両手で丁寧に、愛おしそうに大きく広げた。
男の体温の名残がわずかに感じられる気がして、胸の奥がキュッと締め付けられる。
「…鳥羽、久太郎……。ふぅん…」
呟いたその名前は、まるで甘いお菓子のように舌の上で転がしたくなる響きを帯びていた。
サユリは誰に見せるでもなく、そのカーディガンを自分の体に引き寄せ、ぎゅっと強く抱きしめた。
コメント
1件
サユリがカーディガンを抱きしめるシーン、すごく好きです。緑色の生地に残った体温に胸が締め付けられる感覚、そして「鳥羽、久太郎」という名前をそっと呟く甘やかさ…短い描写なのに、彼女の静かなときめきがひしひしと伝わってきました。美香との軽い掛け合いから、たった一人で男の存在を確かめる瞬間への切り替え方がとても繊細で、読んでいるこちらまで胸がきゅんとしました。続きが気になります🌷
#ラブコメ要素あり
澪
85
澪
200
#自滅
澪
27
澪
54