テラーノベル
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───朝。
久太郎は、コツンと額に何かが柔らかく触れる不思議な感触で、ゆっくりと瞼を開かせた。
「……ん……誰…だ…?」
視界の先に映っていたのは、まさかの人物だった。
サユリである。
夜の「Athlon BAR」で纏っていた艶やかなチャイナドレスではなく、この日は淡いピンク色の肩出しニットに同色のニットスカート、そして足元にはピンクのハイヒールという、デート仕様のように完璧にキメた私服姿だった。
久太郎は寝ぼけ眼のままガバッと上半身を起こし、バツが悪そうに後頭部に手を添えて苦笑いを浮かべる。
「わっ!サユリちゃん!? ご、ごめんね 昨日は…」
それに対し、サユリはパァッと華やかな笑顔を咲かせて返す。
「いえいえ♪」
だが、その微笑みはいつもの客を骨抜きにする営業スマイルとはどこか違う、熱を帯びたものだった。
ふと、久太郎がサユリの腕元に目をやると、そこには昨夜自分が脱ぎ捨てていったはずのエメラルドグリーンのカーディガンが大事そうに抱きしめられていた。
久太郎は目を丸くし、「えっ もしかして届けてくれたの?優しいねぇ〜!ありが…」と感謝の言葉をかけようとする。
しかし、サユリはトコトコと歩み寄ると、言葉を遮るようにこてんと久太郎の胸元にその頭をそっと預けた。
予期せぬ急接近に、久太郎は「サユリ……ちゃん?」と戸惑いながら見下ろす。
「…コレ忘れてましたよ」
そう呟くと、久太郎の胸にカーディガンを押し付け、名残惜しそうにスッと身を引いて静かに立ち上がった。
「う、うん カーディガンね ありがとう…もしかして俺と同じルートで来たのかな…?そこの支えを登って…」
久太郎は昨夜自分が使った垂直の柱を指さしながら、信じられないものを見る目で首を傾げる。
サユリはハイヒールの足元を気にしつつ、「…そう。」と小さく頷くだけだった。
その姿を見て、久太郎はハッとする。
「…あ ほら サユリちゃんお洋服汚れちゃうよ かわいい服なんだからさ」
そっとサユリの肩に手を添えて優しく立たせると、久太郎はその全身をしみじみと眺めた。
「いつものチャイナドレスも可愛いけど…こっちの私服も綺麗だね むしろ接客用よりらしいかも?」
屈託のない笑顔でそう褒められた瞬間、サユリの胸の奥で小さな花が咲くように瞳が揺れ、嬉しそうに小さく微笑んだ。
「…ありがとう 久太郎ちゃん。あ、じゃあ今度はちゃ〜んとツケ払ってよねっ!」
茶目っ気たっぷりにお返しとばかりに可愛らしく指をさすと、サユリは柱の方へ向き直った。
#ラブコメ要素あり
澪
85
澪
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#自滅
澪
27
澪
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コメント
1件
おはようございますサユリちゃん、第5話読了〜!!🌸 もうサユリちゃんが朝っぱらからカーディガン届けに来るとか尊すぎるでしょ〜😭💕 しかもハイヒールであの柱登って来たの?! それだけで愛重すぎて泣ける…。私服のピンクコーデも可愛いし、久太郎が「こっちの私服も綺麗だね」って褒めた瞬間のサユリちゃんの微笑み、私も一緒になってニヤけたわ🥺💖 ツケ払えって指さすとこもツンデレみたいで最高! 続き早く読みたいです〜!!