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──若っいなぁ。輝いてるなぁ。まさにリア充ってかんじだな。私はあのころ何してたっけな……ああ、乙女ゲーにハマりだしたころかぁ。毎日のように異世界転生を夢見てたっけ……えっ、今とあんまり変わらない?
星歌、いい年齢
トシ
して若干ザンネンな自分の身の上を振り返り……途中でやめた。
気付けば、隣りに立っていたはずの義弟の姿がないではないか。
「何やってんの、行人」
「いや、その……」
見れば行人はレジカウンターに身を隠すようにして座り込んでいる。
「あ、ヤバイ。ユッキーだ」
気配を察したか、生徒のひとりがカウンターを覗き込んで嬌声をあげる。
途端、彼女たちは波のように押し寄せて行人の腕をとるや、その場に立たせて周囲を取り囲んだ。
「ユッキーもランチ?」
「なら一緒に食べよう」
店員の存在など、彼女たちの視界には入っていないようだ。
「お、義弟がオンナを侍らせている……! そしてユッキーと呼ばれている……!」
腰が引けたように星歌は行人と、彼を囲むJKからジリジリと後退した。
気付かなかったが、義弟は生徒から人気のある教師のようだった。
世界史オタクのおすまし野郎(星歌・談)だが、ともすれば物静かなその態度は落ち着いた大人の男性とも受け止められるだろうし、学校という閉鎖空間の中ではそこそこ整った彼の容貌は目を引くものであろう。
「お店に迷惑だから、パンいる子は早く買って学校に戻りなさい」
困ったように生徒をたしなめているが、おそらく内心は満更でもないはずだと──星歌の目がいやらしく細められる。
「はぁ、参りましたねぇ。どんなタイプの女の子でも、よりどりみどりじゃないですか。おや、まさにギャルゲーですねぇ」
いつもならすかさず入る行人のツッコミを待つが、今の彼にその余裕はないようで。
展開に呑まれたか壁に背をくっつけて呆然と立ち尽くしていた翔太が、新しいバイトが発した奇妙な独り言にギョッとしたように身を強張らせた。
だが、星歌はかまわず続ける。
目線はじっとり。JKらに注がれたまま。
「おやおや、良い子たちばかりじゃありませんかぁ。可愛い系、ツンデレ系、お嬢様系、しっかり者の優等生系、おや、メガネキャラもいますねぇ。さて、義弟の厳しい審査に合格するのはどこのどなたでしょうねぇ」
翔太の口がパクパク動いているのだが、無視。