テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
伊波ライside
緋八くんが発した関西弁によって、
ザワつく教室。
「まじ?!関西人?!すげぇ!」
なんて1人の声で次々と話しかけていく、
クラスメイト。
そのおかげで、緋八くんは緊張が解れたのか
「ほんまぁ?!ありがとう!」
なんて笑ってて、より一層明るくなる教室。
「じゃあ!席は、伊波の隣な」
その声以上に大きい声で、
担任が席を指定。
予想通り、俺の隣。
緋八くんは、チラッと席を確認して
皆に声かけられて
嬉しそうにしながら歩いてくる。
そして
「⋯⋯よろしくな?伊波⋯⋯くん?」
なんて俺に一言だけ挨拶をして、
席に座った。
朝のHRが終わって、
始業式のために移動しろ。
なんて声で周りが動き出す。
流石にザワついてたクラスのやつらも
転校生を気にする暇はないのか
置いてかれる緋八くん。
キョロキョロして、泣きそうな顔をしてたから
「⋯行く?一緒に」
なんて、いつもの俺じゃ
ありえないことをしていて。
さっき挨拶してくれた時も
軽く会釈だけだった俺が急に話しかけたから
緋八くんはびっくりしてて。
「⋯ええの?」
なんて控えめに言うから
「体育館の場所、分かんないっしょ?」
そう言えば、コクンと頷く。
そんな話をしていたら、
もう廊下には数人しか残っていなくて
「⋯置いてくよ?」
椅子に座ったまま動かない緋八くんに、
置いてくなんて言えば
「やだ!置いてかんといて!」
そう言って俺の後ろを
ちょこちょこと着いてくる。
教室を出てからも緋八くんは
俺の隣を歩こうとはしなくて
俺の後ろを歩いてて。
「⋯横、歩かないの?」
一緒に行ってるのに、
前後で歩いてるってなんか気持ち悪くて
聞けば
「歩いて⋯ええの?」
なんてこれまた確認。
なんか、緋八くんって人見知り?
激しいタイプなのかな。
小動物みたいに
目をキョロキョロさせるから面白くて
「ははっ!緋八くんって、面白いね」
なんて笑えば
「ふえ?!おもろい⋯?俺」
びっくりしたような顔をして、
俺を見つめてくる。
「うん、面白いよ」
からかってるとかじゃない。
単に、行動一つ一つが可愛くて面白いだけ。
「⋯ほんま?!良かったぁ!」
面白い。
そう伝えた途端、
緋八くんの顔は急に明るくなって
声も大きくなる。
「不安やったんよ」
やっと隣を歩いてくれた緋八くんが
話し始める。
「馴染めるかって⋯」
⋯確かに、教室入ってきた時の
あの感じ不安そうではあった。
「自己紹介の時、
クラスの奴らの心掴んでたじゃん」
関西弁。そう分かった途端、
盛り上がってた気がするし。
「⋯違うんよ。
あれは俺が関西弁だからであって。
ほら、今みたいに
俺に話しかけてくれる子
おらんかったやろ?」
なんて笑う緋八くんは、どこか寂しそうで。
環境が変わるって、
相当しんどいんだろうななんて思う。
「俺、人見知りやから
自分から話しかけるのも苦手で。
伊波くんが話しかけてくれて、
凄い嬉しかった」
嬉しかった。
そう言って笑った緋八くんは、可愛くて。
男に可愛い。
なんて少し違うのかもしれないけど、
緋八くんは初めて見た時から
可愛いって思ったんだよね。
「あの⋯良ければなんやけど、
友達⋯とか⋯」
「ははっ、ほんと面白いわ。
いいよ、なろうよ友達」
今まで15年生きてきて、
友達になるのに
確認をしてきた奴は居ない。
いつも自然と友達になっていってたから、
不思議で面白くて。
「ええの?!やった!
ありがとう!伊波くん」
友達になれる。
そうわかった瞬間、
テンションが上がる緋八くん。
友達になる。
そんなことで凄い喜んで笑ってて。
「渡辺くん⋯ってなんか嫌やねんけど、
皆からなんて呼ばれてる?」
「ライとか、伊波とか、いなみそとか?」
「んー、じゃあ、ライ!
ライって呼ぶことにする!」
緋八くんはひとつひとつに
リアクションがあって、見てて飽きなくて。
「ん、いいよ」
「俺のことは、好きに呼んでや?」
なんて言われて少しだけ、悩んだ結果。
「⋯マナ?でもいい?」
あだ名とか分からないし、シンプルに名前。
しかも呼び捨て。
嫌だって言われたら変えるけど、
なんて思いながら聞けば
「もちろん!」
なんて満面の笑み。
そんな会話をしていれば
体育館に着いていて、
体育館の中に入ってすぐ
「ライ」
なんて呼ばれたから、振り向けば
「見て!これ!」
なんて言いながら、
握られた手の中にあるものを見せてくる。
それは、ゴギブリ。⋯のおもちゃ。
もちろん虫が苦手な俺は
「うぉ!」なんて声を上げて注目の的。
嬉しそうに楽しそうに笑う
マナを少しだけ睨むけど、
別に嫌な気はしなかった。
これがマナが俺にした初めてのイタズラ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
385