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ずっと二人で頑張ってきた。

ドズル社となった今もこれからもずっとこのまま走り続けていくつもりだった。

でも、メンバーが増え、登録者数も増えて行く内にどこか相棒だから絆だからと理由をつけてぼんじゅうるという男を雑に扱っていたかもしれない。

アンチコメントもぼんじゅうるを追い込むその1つで、俺たちの行動も何かしらのトリガーになっていたのだ。


「俺……何してんだろっ」


ドズルはボソリと囁いた。


「……ぼんさんに甘えてた、、何しても許してくれるし、」


おらふくんは隣で座り込みわんわんと声を上げて泣き崩れた。

ドズルはそれをぼーと眺めながら言葉を続けた。


「ぼんさんとはさ、ずーと相棒で、あの人の嘘とか考えてる事とかなんでも分かっちゃう程ずーーと一緒だったんだ。」

「……はい」


知ってます、あなた達の動画は穴が空くほど見てたし、それで何度も笑わせてもらった。そんな2人の仲間になれて、本当に嬉しかった。と MENは拳を握りしめた。


「それなのに、、分かってやれなかった……あの人、ずっとサイン出してたのに……。」

「……」

「…………このままじゃ、絶対だめだ。このまま活動していくと……それこそドズル社が、ぼんじゅうるが無くなる。」

「はい……ドズルさん、やるんスね?」

「ああ、明日は元々あの人休みだし、緊急ミーティングするよ、あの人のためにも。」


余計なお世話?何もするな?はっ!笑わせんなよ!!

こっちがどんな性格してるか知ってるくせに!!


ドズルは涙を拭うとキッとぼんじゅうるが出ていったドアを睨んだ。


「ぐすっ……ぼんさんっ、グズグズっ」


涙が止まらないおらふくんは肩を震わせ泣き続けていた。


ガチャリ、


勢いよく部屋を出てぼんじゅうるを追いかけて行ったおんりーが俯きながら部屋に入ってくる。


「……」

「おんりー、、ぼんさんは?」


どうだった?とMENは戻ってきたおんりーに問いかけたが、その表情を見て身体を強ばらせた。


おんりーが泣いている。目を真っ赤にして震えている。


(何やってんすか…ぼんさんっ!!)











視聴者には決して気付かれず、あの後話合わせの為に実際にサプライズ企画も作って世に出した。ぼんじゅうるがそれを望んだのだ。「リスナーは関係ないから、仕事はしっかりする。」と、、


『お疲れ様でーす!じゃ!俺用事あるから先に抜けるね〜』

「あ、ぼんさんっちょっとまっーー」


あれからぼんじゅうるは、いつもと変わらないように仕事をこなし、いつもと変わらない顔でメンバーに笑いかけている。ドズルはそれが気持ち悪くて仕方なかった。仕事中は普段と変わりなく会話ができるが仕事が終わった瞬間、ぼんじゅうるとメンバーの間に分厚いシャッターが降りる。


(たいして用事もないくせに!)


ドズルは引き止めたくて声をかけたがいつもの数倍早く通話を切ったぼんじゅうるに悪態をつく。


「…そこまで俺たちと話したくないのかよ」

『ドズルさん、我慢っすよ』

「…はぁー、ごめんMEN、俺だいぶメンタルに来てるわ…」


悲しい、長年連れ添った相棒に壁を作られている。そしてその相棒はみるみるやつれていく。目に見えて不健康になっているのにテンションはいつもと変わらない。そんな姿を間近で見て いるのになんの声掛けも、心配もするなと壁をつくられる。ドズルは緊急ミーティングで話した内容を思い出しながら「俺がダウンしてどーすんだ」と気合を入れた。


①無理に聞き出さない

②無理にぼんじゅうるの私生活を覗かない

③ぼんじゅうるのテンションについて行く

④いつもと変わらない対応をする

⑤おはようとおやすみのLINEは必ず毎日送る。


これが会議で出た鉄の掟だ。

メンバーそれぞれが、毎日「ぼんさーんおはようございます、いい天気ですね〜」など返事が返ってこないが既読は付くLINEを送っている。生存確認とさり気ない気遣い。おはようとおやすみに一言ずつ「今日、こんなことありましたよ〜」とくだらない話を添えて。それを見ているぼんじゅうるがどう思ってるのか毎日毎日不安だがメンバーはそれをここ1ヶ月続けている。


通話アプリを切りそれぞれ退勤すると「今日もぼんさんは生きていてくれている」とドズルはそれだけでも救いだと両手で顔を覆った。いつもいつも不安だ、「今日もしかしたら、いや、明日か?」とぼんじゅうるのか細い命の炎がいつ消えるのかと毎日泣きそうになる。返事が返ってこないトークに既読がつくだけでも安堵する。「良かった生きていてくれている」と…


さて今日も日課のおやすみLINE送りますかとLINEアプリを開いた瞬間、ぼんじゅうる以外のメンバーが入っているグループトークが光った。


『ぼんさんが!返事してくれました!!!』

「え!」


おんりーがスクリーンショットと共に送ってきた一言。ドズルは嬉しくてその場で立ち上がった。震える手で画像をタップするとそこには「ぼんさんおやすみなさい、今日もお疲れ様でした。明日は低気圧予報が出てますよ?お薬早めに飲んでくださいね」とぼんじゅうるを気遣うおんりーのトーク、その後に『うん、ありがとう。この前は強く言ってごめんね。あんな事、本気で思ってないから気にしないでね。』とぼんじゅうるの返事があった。きっとあの騒動の時に廊下でぼんじゅうるとおんりーは何かを言い合ったのだろう、その事をずっと気にしていたのかぼんじゅうるらしく謝っている。ドズルは「うわぁ」っと溢れる涙と震える声で携帯を握りしめた。


『よかったね!おんりー!』


グループトークではおらふくんに続き他のメンバーも反応する。


『俺の所も返事来たぞ!!』


ネコおじが興奮したようにびっくりスタンプと共にスクリーンショットを送ってくる。


「ぼんさんおやすみなさい!今日の晩御飯はお家焼肉でしたー!では!また!」と焼肉の写真を添えて送られたLINE。その返事は『いいねぇ〜おいしそうだ』と一言。


『僕も来たーー!!』


おらふくんがやったー!と飛び跳ねて動くスタンプと共に画像を送信してきた。


「ぼんさーーーん!おやすみなさーい!今日の空は星がすっごく綺麗に見えてますねぇー!明日は晴れるかな〜?」と星空の写真と共に送られたLINE。それに対して『お?本当だ空綺麗だね。でも明日は雨だと思うよ、低気圧なんだってさ』とおんりーとの会話を匂わせる返事が来ていた。


MENにも返事があったらしいが『いや〜ちょっと恥ずいんで画像は送りませんよ?』と苦笑いスタンプを送ってきた。なんだそれ気になる!とワイワイ賑わうグループトーク。

ここ最近の中で一番に嬉しいとドズル含めたメンバーが思っていた。


(良かった、少しは進めたかな??)


とドズルはゆっくりソファーに座り直す。最近のメンバー間の空気は最悪だった、あの人が居ないだけでこうも変わるのかと改めてぼんじゅうるの大切さを知ったのだ。


ピコンッ


「っ!?」


ドズルの携帯がLINEの通知を知らせる。

恐る恐る開くと、ぼんじゅうるからの返事があった。


「ぼんさん、今日もお疲れ様です。おやすみなさい。いい夢を。」

『……ドズさん、いつもごめんね。ありがとう。最近は少し調子がいいよ。でも、やっぱり色々考えちゃうね。』


返事を返したい、「何を考えてるんですか?力になります」と打ち込みそうになる指をグッと抑える。

暫く潤む視界でトークを見つめていると、ぼんじゅうるからもう1つ、また1つとトークが流れてきた。


『……寂しい。』

『苦しい。』


「ぼ、んさんっ」と震える声で呟き、つい通話を押そうとしたその時、再度ピコンとトークが流れてきた。


『たすけてほしい』


「っーー!!!!」


ドズルは我慢の限界だった。あの甘え下手な相棒がこんな記録に残るトークで助けを求めているのだ。無我夢中で携帯と財布を持って走り出した。


肌寒くなってきた夜風を顔に体に当てながら、ドズルは息を切らしながら走る。


「ぼっ、さん!!」


ばか!あほ!!なんで、いつも!!


「限界突破して助けてって言っても間に合わなかったらどうするですか!!!」


ドズルはボロボロと泣きながら振り向く人も無視してひたすらに男の元へと走った。









病院に渋々行って渋々貰った精神安定剤と睡眠薬を飲む毎日。自分がまさか心の病にかかるなんて思ってもいなかった。医者に「いや、大丈夫なんですけど最近周りから注意されまして…」と話すと、優しく微笑みながら「はい、そうですか、よく来てくれましたね。頑張りましたね。」と答えてくれた。ゆっくりと落ち着いたその声に何故か俺は涙が止まらなくて「あれ、おかしいな、すみません、なんか勝手に……」と手で流れ出るそれをガシガシと拭きながらはははっと笑っていた。医者は優しく微笑んだままティシュを差し出してくれて、それにさらに嗚咽が出てきてしまった。


「ヴぅ、す、ずみ、ません、すぐ、押さえるのでっ……」

「ぼんじゅうるさん、大丈夫です、我慢せず出し切りましょう」


と俺の心の中を知ってるかのように語りかけてくれて、泣きながら「辛いんです」「みんなに置いていかれる未来が怖い」「たまにどうしようもないくらい死にたくなる」と叫んでいた。


「身内は、近すぎて相談できない時がありますよね?」

「そうなんですっ、、めんどくさいと思われたら…周りは年下ばかりだし……」

「そうですよね」

「……本当は、一番に相談したい人がいるんです…でも、困らせたくない」

「………」

「あの人は背負っ待てるものが多いし重い、そんな中俺まで乗ったら……」

「その人が潰れちゃう?」

「……は、い」


医者はうーんと顎に手をおき真剣に考えてくれている。ぼんじゅうるはそれがたまらなく嬉しくて少し心が軽くなった。


「ぼんじゅうるさん、あなたが思っている以上に周りの人は深くは考えてません、なんでもいいです一言、今日の気分を伝える事をしてみてもいいと思います。それに、話を聞く限りそのお友達はきっと頼られるのを待ってますよ?」

「……でも、俺は、年上で……」

「歳なんか関係ないですよ!人と人の話です!」

「でも、……その、大丈夫です!先生が聞いてくれてるのでもう、大丈夫です!」

「……ぼんじゅうるさん?大丈夫では無いですよ?」

「え?」

「そうやって心に思い込ませるのは逆効果です。またすぐに溢れて壊れちゃいます。」

「あ……そ、っすね」

「ぼんじゅうるさんは真面目で優しい方なんですね?だから自分が我慢すればと大丈夫大丈夫と蓋をする」

「………」

「ぼんじゅうるさん、ゆっくりいきましょう、まずはしっかり食べてしっかり寝ることから始めましょう」


医者は太陽のような笑顔でファイトっと拳を掲げた。帰り際貰った精神安定剤と睡眠薬を見ながら、頭の中でドズルさんのことを考えていた…


「……悪いことしちゃったな……」


毎日飽きもせず、LINEを送ってくるメンバーに「ごめん、ありがとう」と沈む気持ちを救いあげられていた。最近では「今日はどんな一言が添えてあるんだろう楽しみだ」と思っているほどだ 。







「うわぁぁぁ!!」


今日は早目に睡眠薬を飲んでうつらうつらしながらやっと眠りについたぼんじゅうるは悪夢にうなされ飛び起きた。


「っ、はぁ」


滝のような汗とツキりと痛む腕にハッとした、血だ。


「っぐぅ、おれ、何してんだよっ!」


意識外で気づいたら体に傷ができていることが増えた。初めはどっかにぶつけたかな?とか紙で切った?と思う程度だったがある日果物ナイフが枕元に転がっていて手首に少し深めの傷が出来ていた時は流石に絶望した。刃物類はすぐに処分してぶつかって体にアザができるような家具は倉庫にしまった。


それからは無意識のうちにできる傷も減り安堵していたが今日は違った。


手首にガタガタの傷、皮膚を掻きむしったような跡。滲む血。

近くにはプラッチックのフォークが血をつけ転がっていた。


「こんなんでも武器になるのかよ…」


絶望。孤独。後悔。


自責の念が次々と押し寄せ足先から指先まで冷たくしていく。


『ぼんじゅうるとかいる?』

『きもっ』

『必要ない』

『消えろ』


アンチコメントがブワッと、脳裏を駆け巡り、見た事もないメンバー達の幻滅したような表情まで浮かぶ。


「っー、違う違う、みんなはこんな目で俺を見たことない!想像するな!」


ベッドの上で蹲り頭を抱えていたその時、


ピロンっ


ピロンッ


ピロンピロンッ


「……あ」


LINEの通知音。メンバー達からのおやすみなさいメッセージ。


『ぼんさんおやすみなさい、今日もお疲れ様でした。明日は低気圧予報が出てますよ?お薬早めに飲んでくださいね』

『ぼんさんおやすみなさい!今日の晩御飯はお家焼肉でしたー!では!また!』

『ぼんさーーーん!おやすみなさーい!今日の空は星がすっごく綺麗に見えてますねぇー!明日は晴れるかな〜?』


おんりー、ネコおじ、おらふくん…


『……恥ずいんで1回しか言いませんけど、ぼんさん俺はあんたが居ないドズル社に用は無いっす。あんたがいるから楽しい、あんたとドズルさんがいるから俺が居るんす。じゃ、そーいうことで!愛してるぜおじ様!おやすみなせぇー!』


最後に恥ずかしさを誤魔化すように変な絵文字と共に送られてきたMENのトーク。ぼんじゅうるは「ぶはっ!」と笑ってしまった。あのMENが俺にここまでデレるとはレアだ!と無意識にスクリーンショットをした。先程までの沈んだ気持ちがフワフワと浮き立つ。でも、やっぱりまだ痛む心臓をグッと押さえため息を着いた。


おんりーに酷いことを言った。謝りたい。でも怖い、ぐるぐる回る思考に振り回されていたら、 ごめん、と震える手で返事を送っていた。どうしようと送信取り消ししようか迷っていたら、『なんのことですか?気にしてませんけど?』とすぐに返事が返ってきておやすみスタンプが付いた。その優しさに胸が締め付けられた。

そのあとはネコおじに、おらふくんに、MENに返事を送った。あんなに迷っていたのがアホらしいほどメンバーはあっけらかんとしていた。


(なんだ、俺、ばかみたいだ、こんなにみんな優しいのに1人でうだうだ悩んで……)


『ぼんさん、今日もお疲れ様です。おやすみなさい。いい夢を。』


「……」


本当はもっと色々聞きたいはずなのにそれを我慢して、最後に俺の悪夢まで見通してるかのように『いい夢を』と添えてある。ドズルの悲しそうな目が顔がチラつく。

ごめん、ありがとう、助けて欲しい

と心の声をなりふり構わず相棒に送ると既読のみつき返事が返って来なくなった。


(ウザかったかな…)


と勝手に溢れ出る涙を枕に押さえ込み肩を震わせ泣いた。



.

無敵でありたい、おなす様

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