テラーノベル
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寒い、孤独、寂しい、
「っう、ぅう、くそっ、」
溢れ出る涙は止まることを知らず、枕をシトシトと濡らしていく。1人では広すぎるベッドと静かで寒い寝室。夜空を見た時に開けっ放しにしたカーテンからは月の光が零れていた。
「っつぅ、きつい、心が、痛い、ぅ」
ツキツキと痛む心。考えたくないのに考えてしまう。ドロドロと思考が底なし沼にハマって抜け出せない。
「も、し、死にたい!!!」
ぼんじゅうるはとうとう、叫んでしまった。
「消えてしまいたい!」
「死にたい!」
「俺なんか!っー!!!ぅわぁあっ!!」
大きな体を小さく小さく丸め、ガタガタと震わせ、枕に心の内をぶちまけた。押し込んでいた心の闇は1度溢れると止まらなくて……
「めんどくさい……俺、なんでこう、なったんだよ」
どうしてこうなってしまったんだ?とぼんじゅうるは自分の身体なのに自分の心なのに全てが分からなくなっていた。ううっと涙を流しながら無意識に右腕に爪を立てガリガリと掻き始める。治りかけの傷は簡単にめくれ血を滲ませた。そこがズキズキと痛む度に脳が余計な事を考える事を辞めてくれ、ぼんじゅうるは(あー、落ち着くなー)とぼんやりする意識の中で考えていた。そして、
(もう少し、鋭いものは無いかな?)
とゆっくりとベッドを抜ける。寝室を出て廊下に出た時、
ピーンポーン
「……?」
インターホンが鳴った、ぼんやりする意識の中で(なんの音?)とフラフラと玄関へ向かう。
ぼんじゅうるは無意識で動いていた。インターホンが鳴ったから出ると言う習慣により特に深くも考えずにガチャりと鍵を開けてドアを開けた。虚ろな目からは涙がボロボロと流れ、右手からは血を滴らせ、体全体で荒い息をしながら汗だくの男を見上げた。
「……??」
「ぼんさん!!!」
(なんでここにいんだろ、とうとう幻覚見始めたんだな。)
ははっと乾いた笑顔を向けると、目の前の男は苦しそうな顔をして勢いよくぼんじゅうるに抱きついた。
「バカヤロ!!本当にあんたって人は馬鹿だ!!」
「……?」
なんで泣いてんだろ、なんで抱き締められてるんだろ。とぐるぐると考えると脳がずきりと痛み「ぅあ、」と意識を失った。
「……っーーー、ーーー?ーーー!」
「??」
薄い意識、遠くで落ち着く話し声が聞こえる。助けて欲しいと1番に思い浮かべ、いやダメだといつも考えていた人の声。
「……ど、ずるさん?居るの?」
薬の副作用かボーッとする頭、モヤがかかって視界が霞よく見えない。でも声はする、縋るように震える声で名前を呼べばギュッと手を掴まれた。じわりと広がる温かさにホッと焦る気持ちが落ち着き緊張した身体がゆっくりと解かれていく。キョロキョロと視界が動き必死に男を探すと、ギシッとベッドが軋み隣に誰かが座った。
「ぼんさん、大丈夫、居ますよ」
「っーー、ドズルさんっ、ドズルさん!!」
ごめんなさい、ごめん!とドズルのシルエットに視線を合わせ眉間に皺を寄せながら叫ぶ。ドズルはトントンと胸あたりを優しく叩き「大丈夫、大丈夫」と優しく言う。それに更にごめんなさいと目をつぶる。
「ごめん、本当に、めんどくさい事になって、強がって、ごめん」
「……っ」
「迷惑かけてごめん、っく、」
ゆっくりと傷だらけの腕をドズルに向けて「知らないんだ、こんな傷、気づいたらこうなってる」と心の内を吐露する。
ドズルは、じっとぼんじゅうるの話を聞く。
「傷が増える度に怖くてっ!止めたくても!何しても、ダメなんだ!!もう、ダメだっ!全て終わりだっ!」
ギュッとドズルの手を掴み少しずつクリアになる視界で見つめる。
「ドズルさんっ!俺、の、唯一の、皆が褒めてくれた手も、肌も、こんなになって、おれ、もう何も残ってない!!辞めたいっ!全て辞めたいっ!!ドズル社も、人生もーーーっ」
ぼんじゅうるは、その時初めて男の顔を、表情を見た。
「……ドズルさん?」
人生も終わりにしたいと叫びかけた言葉はその表情で喉に引っ掛かり出てこなかった。
泣いている。唇を噛み締めて、俺以上にぐちゃぐちゃに泣いている。
「っぐ、ふっ!くそっ、ぼんさん、本当にっ、ぅう」
「なんで、、あんたが、泣いてんの?」
「悲しいからですよ、苦しいんです、相方が苦しくて戦ってるのに何の力にもなれなくて泣いてるんですっ」
「………」
自分の力の無さに悔しくて…とドズルは腕で何度も涙を拭きながら泣く。
「や、めてよ、、ドズさん」
「ぅっ、うぅ、、ぼんさん、、ひとりで、戦わせごめんっ」
肩を震わせ口元を手で抑えながらドズルは堪えるように泣く。ぼんじゅうるは唇を震わせながら「やめて、泣かないでくれ」と言葉をこぼす。
「やめて、泣くなよ、俺が、悪いんだからっ」
「うぁ、ぁあっ!!」
堪えきれなかった涙がボロボロとこぼれ、ぽたぽたとシーツへ落ちる。「ごめん、ぼんさん」とドズルはぼんじゅうるに抱きついた。力強い抱擁と熱い温もりにぼんじゅうるもとうとう声を大にして泣き叫んだ。
「うわぁぁあっ!!ごめん”、ドズルざん”!!本当にごめん!!」
ぼんじゅうるはいつかの医者の言葉を思い出した
【そのお友達はきっと頼られるのを待ってますよ?】
ドズルは気を失ったぼんじゅうるを抱えあげゾッとした。その身体のあまりの軽さに、血の気が引き咄嗟に心臓付近に耳を傾けた。トクトクと動くぼんじゅうるの心音にホッと安心しベッドへゆっくりと降ろす。
(酷い隈だ……)
頬はへこみ、唇は色を失い、色白の肌は更に血色を失いとても生きている人間の色に思えなくて、ドズルは何度も何度も胸の上下運動を見た。息をしてる大丈夫だと己を安心させる。
掴んだ腕は細く骨ばっていて、生々しい傷が沢山刻まれている。泣きながら貼ったのかな、よろよろの絆創膏。ちらりと見えた腹部にも紫色の痣、ゆっくりと捲り後悔する。大小の無数の痣と擦り傷。
目頭が熱くなりドズルはくっと顔を手で覆った。
泣いてはダメだ、俺以上にぼんさんの方がずっとキツくて一人で戦ってきたんだ……
フーッと息を吐き携帯を取り出した。
グループ通話を繋ぐとすぐにネコおじが出た、
『え?どうしました!?グループ通話??』
驚いた声で問いかけてくる、そしてすぐにおんりーが参加し同じ事を言った。
「皆が揃うまでちょっとまって」
真剣なドズルの声にふたりは「はい」と黙り込む。
『お疲れ様です、どうしました?』
『お疲れ様でーす!』
MENとおらふくんが参加しドズルはその重い声を発した。
「ごめん、今ぼんさんの家にいる。」
『………』
何かを察してくれたメンバーは黙ったまま聞き入る。
「その、、もう、我慢できなかった、LINEで助けてくれって言われてっ」
震える声、カタカタと歯が音を立てる。
「し、死んでるかもって、思った、怖くてぼんさん家、来た」
『………っ』
皆が息を飲む。
「そしたら、普通に開けて、くれた、けど、もう、本当に死人みたいで…くっ」
『…ドズルさん、ありがとうございます』
「っ!!」
ネコおじが優しく話す。ありがとうと、危ないぼんさんに気づいて助けてくれてと。
『ドズルさんだから、ぼんさん助けを求めてくれたんです、俺達はやっぱり仲間だけど、後輩で、ぼんさんのプライド的に、ダメだったんで…』
少し悲しそうに、悔しそうにそう言うネコおじの声も震えていて、おらふくんはグスグスッと泣いている。
「……っ、ぼんさんの家の中…何も無かった、、お皿も、コップも、本も、お箸も、」
『……』
「多分、この人、無意識に傷つく体に怯えて、苦しんで、、必死にもがいてた、なにも、知らなかった俺」
殺風景な部屋、体に傷を作るものが徹底的に片付けられている。ペットボトルの水がサイドテーブルに置いてあり、そのすぐ近くに特に強い精神薬と睡眠薬の包装紙が転がっていた。
いつか来た時の風景と違いすぎてドズルは頭を抑え奥歯を噛み締める。
『行っていいですか?』
MENがいつもより低い声でドズルへ尋ねた。
その声からは行きたい、助けたいという気持ちが溢れていてドズルは本当に優しい奴だなとふふっと笑う。
「いや、来なくていいよ。俺が少し話す。うん、ごめん、みんなに約束したのに、」
ドズルは横で寝息を立てる男を見つめながらそう告げた。
『ドズルさん、貴方も抱え込みすぎないでくださいね』
おんりーがそう呟くと鼻声のおらふくんもそうですよ!と続く。
「そうだね、その時はみんなに話すよ、皆も我慢せずに言い合おう。」
ふふっと笑った時だ、隣で寝ていた男がゴソリと動いた。
「ごめん、ぼんさん起きたみたい、また連絡する、」
ドズルはそう言うと 「……ど、ずるさん?居るの?」と恐怖で震え縋るような声を出すぼんじゅうるの手を優しく包んだ、、
(ぼんさん、貴方の心の中を覗いたら……いったいどれだけの棘が刺さっているんだろう…)
ドズルは視線の合わないぼんじゅうるに心を痛めた。
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コメント
4件
全部が全部心にグサッと来てとにかくすごい(語彙力マイゴー)

むっちゃ涙出た…一つ一つの言葉がグッて刺さって、すげぇ… 言葉に出来ねぇ…
読んでいくにつれて、心の描写がスゴく刺さります。 涙が出ました。