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R side
最近お気に入りのコンビニがある。
店内の掃除が行き届いていて、商品の種類が多くて(といっても買うものは決まっている)、
目と鼻筋が綺麗な店員さんのいる店。
1ヶ月前に、会社の近くに新しいコンビニができた。ビル街の会社の周りには沢山コンビニがあって、その日の気分であちこち選んでいた。でも、試しに立ち寄った新しいコンビニの、あの店員さんを知ってから、ずっとそこにしか行っていない。
ふわふわした黒髪が目や耳にかぶってて顔が見えづらい。あの人の綺麗な目はきっと、俺しか知らないと思う。そう思いたい。
フワッ…
春を呼ぶ暖かい風を感じる。ワクワクする。
この気持ちを利用して、今日、あの人に話しかけてみようか。
…ピロピロン、ピロピロン♪
店内入るとすぐに目に入ってくる。
今日も可愛いな…♪嬉しくなる。
K「いらっしゃいませ」
R「あ、おはようございます♪」
平日の朝は毎日利用しているから少しは顔見知りみたいになっている。
R「あったあった」
人気商品のカルボナーラ、時々品切れの時がある。でも、最近は何個か残ってる気がする…?多めに仕入れるようになったのかな。
足早にお茶と昨日無くなってしまったマーブルチョコも手にしていく。
ここはセルフレジもあるのだが、もちろん使わない。あの人の所に一直線だ。
R「お願いします」
ピッピッ…
商品をスキャンしてもらう。
どうしよう、 ソワソワする…。
だって今日は話しかけるという目標を立ててしまった。まずは何気ない天気の会話から!
よし…
R「今日あったかいっすね〜もうすぐ春って感じで」
心臓がドキドキいってるのが分かる。
その緊張とは裏腹に声は落ち着いていて、日ごろの営業の成果がここで発揮される。
K「ぁ…そうですね…!」
少しびっくりしたような表情で言葉が返ってくる。
うわ、急に話しかけすぎた?
何か和む話題…
R「俺、桜が好きなんですよ。楽しみだなあ」
K「いいですよね、桜…」
いいですよねと、言いながらも戸惑ってる表情を浮かべている。どんな感情か上手く読み取れないが、これ以上会話が弾むことは無さそうだ。潔く切り上げよう。
でも一つ、最後に名前だけでも。
『湯本』と書いてある胸の名札。ちゃんと知りたい。
R「…ゆもとさん…って言うんですね」
K「ぁ…!そうです…」
良かった。合っていた。
R「俺は川島っていいます、川島塁」
流れで自分も名乗る。
その時、顔を上げてくれて目が合った。
長い前髪の奥を見る。
くっきりした二重の、透き通った目。 心なしか潤んでいる。
少し見惚れていたら、
K「カノンです」
カノン?いきなり過ぎて、脳がフリーズしてしまう。名前だと判断できた頃には袋詰めが終わってさっさと渡されてしまった。
名前もすげえ綺麗。
教えてくれたってことは、呼んでもOKってことだよね?俺、意外と嫌われてなかった?
R「ありがとうございます ………カノンさん♪」
嬉しくて、つい笑顔付きになってしまった。(社内ではキラースマイルと呼ばれている笑)
K「………」
俺を見つめたままカノンさんが固まってしまった。
R「あれ、馴れ馴れしかったかな…?」
何気ない会話をサラッと交わすつもりが、
今日の俺カッコ悪くね?
もどかしくなって笑って誤魔化す。
その直後、カノンさんの顔が真っ赤になってレジ裏に去ってしまった。
「そんなことない」って言ってくれたけど、さすがに距離詰めすぎたな…。
いつも恋愛は、相手からのアプローチだった。
今回は完全に片思いなわけで。
R「恋愛って難し…」
買ったばかりの冷たいお茶を飲んで途方に暮れてしまった。