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「ありがとう」
「こちらこそ楽しかったわー。」
「インスタとか、交換しない?」
興味津々な僕は、すぐに彼とインスタを交換した。
時間も時間ということで、僕は彼に別れを告げた。
お互いに、手は長く振らないタイプだったようで、意外にも、乗れないと思っていた終電の電車に乗れた。
あの男とは、やっぱり波長が合う。
空いている電車に座って、さっきの男にDMを送ってみる。
最初は緊張と遠慮で、情けない
「こんばんは」というメッセージを送ってみたけれど、
彼は「グッドナイト」と遊んでくれた。
だからあっという間に打ち解けて、たくさんのことを話せた。
電車は終点の僕の最寄り駅に到着したが、本当はもっと話したい。
急いでバスに乗り、座り、また彼のDMに返信した。
気づけばもう家のすぐ近くのバス停に到着して、家についた。
こんなにも僕が心から人と話したがる事は滅多にないから自分でも心底驚いていた。
彼が眠るというからDMを終わらせたけれど、彼が寝ていなければ今もずっと話していたと思う。
それくらい、彼と話すのが楽しかった。
明日が来るのも本当は嫌だ。
今日のカラオケも実はご褒美で、今日の午前中にあった試験を耐えるために自分宛に作ったご褒美だった。
やっと今日自分にとって大きな壁であった試験を乗り越えたというのに、もうすでに明日にも大きな壁が立っている。
本当に怖い。
明日なんて来ないでほしいと願うけれど、明日も彼と話せると思うと頑張れる。大きな壁も、どうでもよくなる。
彼といると色々なことがどうでもよくなる。
寝る前の布団での妄想も、明日の嫌な妄想じゃなくて、彼に関する、楽しい妄想になった。
軽く言って、世界が変わって見えたんだ。
心から嬉しかった。
そう考えながら僕は久しぶりに、幸せに目を閉じた。