sh「…なぁ、na。どこに行くんだ?」
na「…。」
sh「戻った方がいいんじゃ…」
na「うるさいっ!ちょっと静かにして!」
俺はビックリしてその場に止まってしまう。naがそれに気付き足を止めるが、すぐに俺の手を取りまた歩き出す。
na「ごめん、shk。でも今は俺に着いてきて欲しい。」
sh「…わかった。」
しばらく歩くと見慣れた病院が見えてくる。
俺にはあまりいい思い出はないがnaは一目散に病院内に入る。俺は下を向きながらnaの後ろを歩く。
naの目的地はどうやら園庭のようだ。俺は上からの景色しか知らなかったから、目の前で見る園庭はとても広かった。
na「…sm。 」
sh「sm…?」
naの後ろから少しだけ顔を覗かせると目の前には見た事のある顔がそこにあった。
sm「…どうした?na。それに…」
smと呼ばれる少年がこちらをじっと見つめてくる。俺はまたnaの影に隠れる。
na「sm、shkの事はまた後で話すから今は他に用事があるんだよ。」
sm「わかった。ここで大丈夫なのか?それとも俺の部屋に行くか?」
na「…部屋がいいかな。」
sm「わかった…じゃぁ、行こう。」
俺達はsmについていく。俺達が入ってきた入り口とは別の場所から病院を出る。病院を出て少し歩くと大きな建物が見えてくる。
エントランスを抜けてエレベーターに乗る。最上階のボタンを押すと静かにエレベーターが動き出す。辿り着くまでのエレベーター内はとても空気が重たかった…。
sm「さ、入って。」
na「お邪魔します。」
sh「お、お邪魔します。」
家の中に入りsmの部屋に案内される。部屋の中は本棚に囲まれていて沢山の本が敷き詰められていた。
sm「話って何?」
na「協力して欲しい事があるんだ…」
naが俺の方を見つめる。俺はじっとnaを見返すと、naはとても悲しそうな顔をしていた…。
na「長くなるんだけど…」
naはsmに話出す。時折smは俺を見ながら頷いたり『やっぱり…』など、相槌を打っていた
na「だから、俺は…許す事はできない。」
sm「気持ちはわかるが…」
sh「…俺はnaには犯罪者にはなって欲しくない。やるなら俺がやる。」
na「shk?」
sm「やるっていったってどうするつもりだ?」
sh「…俺、料理を作れるんだ。naとの約束の為に必死に覚えた。」
sm「…つまり、“毒”を盛るのか?」
俺は頷くとnaはダメだと必死に止める。その手を優しく握る。
sh「na…俺にやらせて欲しい。俺は絶対に何があっても必ずnaの所に戻ってくるから。」
sm「俺はどちらにしろ反対だ。」
na「…sm俺はもう覚悟を決めてる。shk…一緒にやろう。」
sm「本気か?」
na「…俺はshkがいなくなった時、必死で疑わずにいたんだ…わかってた、母さんがやったのは。でも、認めたく無かった…無かったけど…見てしまったら…もう、許す事は出来ない。」
sm「shkも本気なのか?」
俺は首を縦に振る。
na「sm。大切な人を失う気持ちは経験しないとわからないんだよ。」
sm「……わかった。だが、条件がある。失敗した場合、二度と薬は出さない。」
na「わかった。」
sm「それと、俺も準備するのに時間がかかる。少しだけ待っててくれないか?」
na「…有難う、sm。」
sm「…で、これからお前達はどうするんだ?」
俺とnaは顔を見合わせる。
na「まだ何も決めてない…。」
sm「静かに出来るなら別にここにいてもいいんだけど…。」
na「…いいの?」
sm「…まぁ、お手伝いさんしかいないからな。」
na「有難うーーー!」
naは思いっきりsmに飛びつく。smは離せとnaを押し退ける。smは立ち上がり俺たちの事をお手伝いさんに伝えてくるといって出て行ってしまった。
na「俺は荷物をある程度持ってこなきゃだから、一度家には帰る。shkは危ないからここにいてて。」
sh「…na。頼みがあるんだ。」
na「なに?」
sh「…料理長の部屋に大切なノートがあるんだ。それを持ってきてくれないか?」
na「そっか…shkはずっと一緒にいたもんな。」
sh「…料理長…大丈夫…だよな」
na「あの時は俺達だけじゃどうも出来なかった。だからあの選択肢が正しいって、今は信じよう。」
sh「……そうだな。」
ガチャ…
smが戻ってくるとnaが家に帰る事を伝える。smは気を付けろよ、とnaに伝えるとnaは外にいく準備を始める。
sm「ちょうど良かった、shkには話があるんだ。」
sh「…わ、かった。」
naが行ってくると手を振り部屋を出る。静かになる室内。何を話すんだろう…俺は下を向きなるべく顔を見ないようにした。
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