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コメント
2件
更新ありがとうございます💕 続きがあった🥹🥹🥹嬉しい✨彼方に行ってしまっても、💛ちゃんの事を大切に思ってる💙さん🥹 ちゃんと❤️君のところへ届けてくれたんですね😭 樒さんのお話がまた読めるの嬉しいです‼︎ また次のお話も楽しみにしています💕
更新 感謝 です 🙌 ✨️ ✨️ 死んでも 尚 、 🎹 さん の 為 に 、🎤 さん と 🎹 さん を 繋げる 🎸 さん … ちょっぴり 切なくて 感動的 です 🥲 💞 しき さん の お話 、 読み進めやすくて 、 助かります 🥹 ✨️
💛視点
「…、?」
光も差さない海の深く底。深海ではマリンスノーと呼ばれる雪のようなものがあるらしい。僕の目の前に広がっているこの光景は恐らくそれだろう。それにしても、何とも不思議だ。確か僕は死んだはずの若井に会って、その後…。
「……僕、もしかして死んだ、??」
きっと僕は今海の底に居るのだろう。人は死んだら三途の川を渡るだなんて言うが、僕は海を渡らなきゃいけないのか、なんてやけに冷静な思考のまま辺りを見回してみる。
「これって確か…」
僕の周りを囲うように、沢山のマリンスノーが降っている。ゆっくりと、先の見えない底を目指すように沈んでいく。一見綺麗で幻想的な景色に見えるが、確か元貴が以前マリンスノーについて興味深い話をしてくれた。この白いものはプランクトンなどの死骸で、風のない深海だとこのようにハッキリと見えるそうだ。
「記憶の断片…、」
海というのは謎に包まれた不思議なもので、15%程しか解明されていないと元貴が言っていた。このマリンスノーは海を解明するのにとても役に立つ、と。言わば海の古い記憶が深海に散らばり、ゆっくりと底に還っていく。そんな不思議なものを、元貴は楽しそうに語っていたことを覚えている。
「涼ちゃん。」
「!?」
物思い耽る僕の後ろから、若井の声がした。反射的に振り向いたそこには、あの時と変わらぬ若井の姿があった。
「若井、!!僕、若井と一緒に沈んで、気付いたらここで、!!」
「…涼ちゃん。」
何故か重力を感じない身体を上手く動かし、若井の側に寄り、思わず腕を掴んでしまった。こうしてまた若井に会えたことも、僕が死んでしまっているであろう状況が理解できず、纏まらない言葉のまま必死に説明する。そんな僕の様子とは真反対の若井は、パニックの僕の腕を掴み静かに言葉を紡いだ。
「俺のこと、忘れて。」
「は、?」
悲しげな瞳のまま呟かれた言葉に、全く脳が追いつかない。沈む直前の記憶の若井は僕のことを求めていて、こうして僕のことを海に招いたのも若井で…。
「なんで……」
一緒に花火をした若井とはまた違う、彼に対する心の動き方が違った。ゆっくりと、静かに鼓動をする。僕が知っていた若井はこっちのようで、ますます理解が出来ない。
「涼ちゃんには元貴がいるから。もうこっちに来ないで。」
必死に若井に近付こうとする僕を突き放すような言葉に、じわりと目が熱くなる。それでも尚若井の腕を離せないでいる僕の頬に、若井の手が触れた。
「大丈夫、俺はずっと涼ちゃんのことを追い続けてるよ。だから、涼ちゃんは前だけ見て進んで。」
久しぶりに向けられた若井の優しい瞳。僕はずっと心の何処かで、亡くなった恋人のことを忘れられずにいた。あの夏、僕を守ってくれた大切な恋人を。
「…っ、若井…。ごめ、っ、僕ずっと若井との思い出にすがって、わすれられなくて、…」
手のひらから伝わる若井の体温に、とめどなく溢れる涙が頬を伝う。ずっとこのままでいられたらいいのに、なんて思ってしまった。
「……、ずっと元貴待ってるから、行ってあげて。」
そう言い、若井が僕の首元に手を触れた。首筋に感じた鉄の冷たい感覚に、思わず手を伸ばす。何かネックレスのようなものが付けられていて、何処か懐かしさを感じる。
「じゃあ涼ちゃん。またね。」
僕に向かい直した若井が、優しく頭を撫でてくれる。次に続く言葉を待たずに触れた彼の唇。反射的に目を閉じたその後の視界に広がった景色は、病院の天井だった。
「……っは、!!、げほ、っ、う…」
真っ白な天井に、言葉を発すよりも早く咳が溢れ出る。まるで海の中から上がったような息苦しさに、自然と目尻に涙が滲む。
「、!!涼ちゃん!?!?」
聞き慣れた声が僕の横から聞こえた。どうやらここは病室のようで、腕には沢山の機械が繋がれている。
「ちょ、ちょっと待ってて!今お医者さん呼ぶから!!」
ぱっ、と僕の手のひらから離れた暖かい体温。ずっと元貴が手を握っていてくれたようだった。慌てて去っていった元貴の背中をぼーっと見送り、改めて部屋の中を見渡してみる。
「……全部、夢?」
何故僕は病院になんて居るのだろうか。所々の記憶が朧気で、上手く思い出せない。
「…あ、」
無意識にぎゅっ、と握りしめていた僕の手のひらには、1つのネックレスが包まれていた。何故か手のひらは少しだけ濡れていて、ネックレスもひんやりとした温度を保っている。夢じゃない、と僕に言い聞かせているようだった。
「涼ちゃーん!!!」
しん、としてしまっていた部屋にまた響いた元貴の声に、ネックレスを握り直す。どうやら足音の数的に医者なども来たようだ。
上手く回らない頭のまま医者に粗方説明された後、部屋には元貴と2人きりになった。何だか元貴に対してどう接していたか分からなくなってしまい、少しだけ気まずい空気感が漂ってしまっている。
「…涼ちゃんの、それ。」
沈黙を断ち切るように言葉を紡いだ元貴の指先が指していたのは、固く握られた僕の手だった。きっと元貴もわかるだろう。これが若井がつけていたものだということを。
「……僕、若井に会った。」
「あれは涼ちゃんの幻覚だから、本当の若井じゃなくて…」
「違う。」
海辺で共に過ごした若井はどうやら僕の幻覚のようで、傍から見れば僕はずっと一人で彷徨っていたみたいだった。そう医者から説明された時、特に驚きはしなかった。冷静に考えてみれば確かにおかしい点が沢山あったからだ。若井という幻覚に触れた時に感じなかった体温や、シャッターを切る事が出来なかった写真。聞こえるはずの若井の足音も、聞こえなかった。全て僕の中の都合のいい存在で、現実になんて全く居なかったんだ。
「起きる前、若井に会ったの。元貴が待ってる、って。」
「…もしかして…」
僕の話した内容に、少しだけ考えた素振りを見せた元貴が様々なことを話してくれた。僕が居なくなる前の日、不思議な夢を見た事。その夢に若井が出てきて、僕が居た海にいた事。夢の中の若井は、元貴にこう言葉を託したらしい。
「涼ちゃんのこと、離さないでね。」
と。勘のいい元貴は何か違和感を感じ、僕の行動を注意深く観察していたけれど、結果的にいつの間にか居なくなってしまい、ずっと探していた、と。
「何処探しても涼ちゃん見当たんなくて、必死に色んな人に電話かけてたら特に触ってもないのに写真立てが落ちてきたんだよね。」
「写真?」
「うん。若井と涼ちゃんと俺の3人の写真。そこで夢のこと思い出して急いで行ったら、涼ちゃんが海に入ろうとしてたところだったってわけ。」
偶然に偶然が重なって起きた出来事だとは思えなく、自然と言葉に迷ってしまう。だとしても、元貴や色んな人にはたくさんの迷惑をかけてしまった。
「…ごめんね。」
「涼ちゃんが無事ならそれで良いから。それにしても、幽霊になっても涼ちゃんのこと世話焼くなんて若井らしーね。」
幽霊。何だか子供騙しのような単語を頭の中で復唱する。今までそんな存在を信じてなんか居なかったけれど、今だけは信じられる。君と出会えた不思議な夏の夜。今後の人生で忘れることはないだろう。
「忘れてなんて、聞いてやらないから。」
最後に若井が言ってくれた”またね”という言葉。きっと僕たちはまたいつか会える。君がくれたネックレスと共に、残りの人生を歩んでいくとしよう。
「…どう?」
手のひらに握られていたネックレスを指先に取り、自身の首に回してみる。ひんやりとした感触に目を細め、元貴に感想を問いかけてみた。
「若井みたい。」
「…っあは、なにそれ」
小学生のような感想を述べた元貴の瞳には、懐かしさが滲んでいた。何だか泣き出してしまいそうな元貴の表情に、思わず笑いが零れる。
もう一度ネックレスに触れた時、頬に風が触れた気がした。
皆様お久しぶりです🤤✨️あまりにも筆を進める気力がなく静かに消えていこうと思ったんですが、夏の終わりを感じていたらついつい書きたくなっちゃいました✍
だいぶ間が空いていたのにも関わらず、コメント頂けていてとってもあったかいです🤤💕
そろそろ私の大好きな季節が来るので、小説書きたい欲が高まると思います🐣
てきとーにあげていくので、ゆるーく見ていってください🤤🤤