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「それでこんな感じで男性から女性に贈るプレゼントとして手頃なアクセサリーとオーダー制のアクセサリーと両方のパターン作ろうかなって考えてる」
気持ちを切り替えて仕事の話へ。
「あ、今度のプロジェクトの話ね」
「そうそう。とりあえず栞がデザイナーとして今度の新しいブランドでこのプロジェクトだけで独占で作ってもらおうと思ってる」
「そんな感じなんだね」
「私もデザイナーとして関わらせてもらうんですけど、REIジュエリーの新しいブランドだけど今までとはまた全く違うコンセプトで進める予定なんです。もっと手にしやすくて、それと同時に男性アクセサリーも広げていこうと思ってます。それでこれが私の今まで手掛けたアクセサリーと今後このブランドで考えているデザインです」
「確かにあのブランドとは今までとは少し違う感じですね。でもこちらのブランドの雰囲気はスタイリッシュな部分と華やかさとどちらも感じられて素敵です」
栞が見せた資料を見て、透子も気に入った感じの反応をしてくれる。
「でも、うちのブランドはまだ立ち上げる前で、このプロジェクトで知名度上げたくて。REIジュエリーの新ブランドではありますが、まずはこのプロジェクトで幅広く身近に感じていただこうかなと」
「こちらのブランドで男女一緒にお揃いでつけられる物もあったら素敵ですね」
「そうなんです!それ私も考えてて!で、そのイメージを樹くんと透子さん二人でデザインしたいなって」
「えっ!? 私達二人!?」
「はい!うちのブランドのイメージが二人のそのカッコイイ雰囲気にピッタリなんですよ~」
「オレもそれ初耳だわ」
栞、オレにもそれ言ってないんだけど。
でも、栞のその気持ちが嬉しかった。
そしてそれを聞いて、透子が安心してくれれば、と思った。
「なのでまずいくつかまたそのデザインもいくつか考えて来ます」
「了解です。ではまたそれを見ていろいろ検討させてもらいますね」
「はい。よろしくお願いします」
そして、しばらくして栞との挨拶と打ち合わせが終わり、一足先に栞は会議室を後にした。
そして久々会議室で二人だけの時間。
仕事の資料を片付けている透子を見ながら、話しかけるタイミングを探る。
透子、栞と会ってどう思っただろう。
誤解は解けたんだろうか。
二人の時、気まずくなってはないだろうか。
ホントはまだ透子もやっぱり気にしてるんだろうか。
透子に聞きたいことが次々と出てくるのに、どう伝えていいかもわからない。
逆にまた透子を不安にさせるのも嫌だし、どれも言い訳っぽく聞こえそうで、どう言葉にしていいのか悩んでしまう。
栞に言われてオレが思ってる以上に、透子はきっといろいろ悩んで気にかけて。
想いが通じ合った以上、これ以上もう不安にさせたくなくて。
ちゃんと言葉にして伝わるのなら、ちゃんと伝えたい。
「ホントなんでもないから」
だけど、結局そんな言葉しかかけられなくて。
「ん? 何が?」
「栞とのこと」
そんな言葉で透子が納得するだなんて思ってもないけど。
「あ~。うん。大丈夫。栞さんからいろいろ聞いたから」
だけど、オレが想像してたような反応じゃなく、案外平気そうに答える透子。
「は!? え? 何聞いたの?」
いろいろ聞いたってどういうこと?
オレが電話で席外してた時?
栞、余計なこと言ってないだろうな・・・。
「う~ん。秘密♪」
そして、まさかの透子からの言葉。
「は? 何それ!?」
意外すぎる透子からの返しに、オレは思わず動揺してしまう。
マジで何聞いたの?
また透子不安になったりしてないよな?
オレに愛想つかして離れるとかないよな?
今度はオレらしくもないまったく余裕のない想像で、どんどん頭が埋め尽くされる。
「なんでそんな焦ってんの?」
そして透子はそんなオレの様子を見逃さず、からかうように声をかけてくる。
「アイツ、いろいろオレの話知ってるからな~。・・・で、どこまで聞いた?」
「どこまでって言われても・・・ねぇ、ほら女同士の秘密?みたいな」
「女同士って言ってもオレの話だよね?」
「まぁそれはそうなんだけどね~。ってそんな気になる?」
「気になる・・・。透子にアイツが何言ったか気が気で仕方ない。仕事にならない」
栞はずっと透子のことを好きになった最初の頃から、ヘタレで情けないところまで全部知ってて。
当然好きな相手の前ではカッコイイ男らしい男でいたいオレは、何を言われたのか気になって仕方ないワケで。