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第4話【あわあわ】
キヨにメッセージを送って3時間が経った。私は未だにスマホの画面をチラチラ気にしている。
だって、憧れのキヨと2人きりで動画って…。緊張するに決まってる!!!
ピロンっ
私は、通知がなった瞬間、首が折れるぐらいのスピードでスマホの画面を見る。
〈ご返事ありがとうございます。感謝します。では、いきなり動画を撮るとお互い緊張致しかねますので、まずはお食事でもいかがでしょうか?〉
私は、すぐにXを開きチャット画面を開いて文字を爆速で打ち、返信した。
〈そうですね!どこがいいとかありますか?〉
私は、
キヨと食事にも行ける!!!
と、ウキウキしながら約10分ほどキヨと会話していた。
ーここからキヨ視点ですー
ついに、ヒロイを誘ってしまった。
あまりコラボとか慣れていなくて、なんて言おうか迷ったが、ある程度なんとか会話はできた。問題は、食事だ。一応今場所は決まったが、人と話すのが苦手すぎて迷惑をかけてしまうかもしれない。
俺から提案したのに…。
とりあえず、おたがいの家から近くのサービスセンターで待ち合わせになった。そこから、約5分ほど歩くと珈琲店があるので、そこで軽く食事を取り、後々撮るコラボ動画の内容などを話したいと思う。
上手く行けるだろうか。
俺は、疑心暗鬼ながらも当日になるまで待っていた。
ー当日:午前11時ー
ついに、この日が来た。
俺は、朝シャワーを浴び、髪をいつもより綺麗にセットして、ちゃんとした服を着て、準備満タンで出発した。
軽く時間が経ち、俺は待ち合わせ場所のサービスセンターについた。
周りを見回してみても、ヒロイらしき人物はいない。
あれ、時間間違ってるかな?
俺は、スマホを開きXのチャット画面を見た。
その瞬間、俺の後ろから小さな声が聞こえた。
「あ、あの!キ、キヨっ…さ、…!」
後ろを振り向くと、俺より30cmぐらい差がある小さな女の子がいた。
『あ、ども。視聴者の方っすか?』
「あっえっ、、そ、そうです、、?」
『はは(笑)そこは肯定しちゃだめでしょ』
「あえっ!?ご、ごめんなさいっ、、!!!」
少しおちょくってみた。
ヒロイ、動画で見た時とは違うな。
めっちゃ大人しい子だし、俺と同じでコミュ障だし、小さいし、天然だし…。
妹みたいで可愛いな。
『じゃあ、珈琲店行きましょうか』
「あっ!あ、はい!」
俺は、ヒロイの歩数を合わせながらゆっくり歩き、珈琲店に向かった。
ー珈琲店ー
「あ、えと…メロンソーダで、、」
『じゃ、じゃ……あ、俺は、、コーヒーで…』
店員「お伺いしました。」
「ほんとに…コミュ障、な、なんですね…?」
『なんか、かっこ悪いとこ見せちゃってすんません…』
「い、いえいえ…!推しのこと知れて嬉しいです、!」
俺の素を知ってでも俺の事を好きでいてくれてるとか普通にいい子すぎるだろ。
『あ、本題はいるんですけど…』
「あ、はいっ!どうぞ!!!」
俺は、どういうコラボ動画を撮るか、なんのゲームをするか、詳細を話した。
「ホ、ホラゲーするんですか、、」
『はい。苦手でした?』
「あっ、いや…全然大丈夫です!やりましょう!」
ヒロイと長く話し合った結果、discordでホラーゲームを撮るということになった。俺はヒロイとしばらく雑談をしていた。
『それで俺、ディズニーで従業員の人とかと仲良くなってさー(笑)』
「へぇー!めっちゃ凄いですね!?さすがキヨさんです!!!」
『えっ、あぁ、ありがとう』
俺は敬語を外して、もっと仲を縮めようと俺からずっと会話を切り出していた。
そして、気づいたことがある。
ヒロイはすごく聞き上手で、俺が言ったことも全部聞いてくれててすごく褒めてくれる。恋愛脳の俺からしたらこんなのすぐズッキューンだが、相手は一応YouTuberで、俺のファンだ。あまり手を出してはいけないと分かっているから俺はヒロイにキュンキュンしていない。
俺、すごいわ。
『あ、俺そろそろ家戻るわ!今日最俺で宅飲みするんだよ』
「あっ、そうなんですか!分かりました…!またお話しましょう!コラボ楽しみにしてます!」
俺は、ヒロイに手を振りながら会計を済まし、1人で店を出て家に戻った。
ーここからヒロイ視点ですー
結構キヨと話せちゃった…いいのこんなにファンサービス貰っちゃって!いいの!?いいんだ!!!いえーい!!!!!!
私は脳内で自己解決をしながらルンルンで店を出て、家に戻った。
『やっぱ家だな!!!さっきの緊張が全部ほぐれていく〜!!!』
私はカビゴンのクッションに顔を埋めてずっと溜まっていた緊張を全て吐き出した。帰った途端体がもうガチガチだったため、もう歩けない。私はその場で、眠りについた。
ピロン ピロン ピロン ピロン ピロン
『ん…なに……?』
気付いたら、起きた時間は朝の9時、約14時間は寝ていた。どれほど緊張したんだろうと私は自分の体を震わす。そして、10件ぐらい来ていた通知を確認すると、コースケとキヨから連絡が来ていた。
『!?!?』
私は目をがん開きにさせてXを開き、キヨから来ているメッセージを読んだ。
〈無事に家に着けた?〉
〈着けたら連絡して〜〉
〈おーい、まだ着けてない?〉
〈え、大丈夫?〉
〈事故?〉
〈返信して〉
キヨから、メンヘラ構文的なメッセージが沢山来ていた。
〈ど、どうしました!?ごめんなさい家に帰った途端爆睡してしまって…ほんとにごめんなさい😭😭〉
私は、キヨに謝罪のメールをして、次にコースケのメッセージを開いた。私とコースケは一応LINEは繋いでいるので、そこで連絡をとっている。
〈おーい、ゆい?〉
〈キヨがなんか心配してるから返信してあげなー〉
〈寝てる?〉
〈おーい〉
あぁ、コースケも……
〈ごめん!めっちゃ寝てた…〉
コースケとキヨに連絡を送ってから、私はふと、思い出す。
(そういえば、キヨの動画昨日見れてない…!)
私は速攻YouTubeを開いて、また5件ぐらいメッセージが来ているのを気づかずにキヨのYouTubeを開き見始めた。