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「…橋姫ちゃんってさ 家とかないの?」
「え?」
イケメン達に関する一連の会話の後、鮎が聞いた
「橋の下だよ」
「…汚くない?」
「殺すぞ」
ひとつ言っておこう
「橋の下は汚くない!」
断言出来る
「じゃ、さっきの銭湯とどっちが綺麗だった?」
「銭湯」
あれ?
「私の家とは?」
「家」
あれれ?
「勝てるところ、歩いてる時に見つけた?」
悔しい
なぜだ?いや違う人間がおかしいんだ
だって人間だもん
妖怪怖がらないんだもん
「…ない」
おかしいのは向こうだって分かってる!
でも悔しい
不甲斐ない
返事の声が小さくなったのは、 絶対にこの感情のせいだ
「ほら〜汚いって」
「うるさい!人間の方がおかしい!
第一、妖怪を怖がらないってなに?
妖怪が怖くないみたいじゃん!
妖怪は怖いんだもん!
だから人間は異状なの!」
自分でも驚くほど大きな声をだした
「え~でも橋姫ちゃん可愛いじゃん」
なっ!
「わ、私は可愛くて怖いの!怖がれ人間!」
「かわいいー」
わかってきたじゃん
「でしょでしょ ついでに怖がって
ばあ〜」
腕を大きく広げて威嚇する
「…」
鮎は向こうを見てしまった
心なしか背中が震えている
「橋姫ちゃん これ読むといいよ…」
目元に涙が光る
泣くほど怖かったんだろう
だって妖怪だもん私
「これは?」
『ものの名前辞典』と書いてあるようだ
「ほら、橋姫ちゃん。人間の事知らないとさ?」
…さてはこいつ。
「まさか、さっき私の威嚇で笑ってた?」
「そうだよー」
「このやろー 絶ッ対怖がらしてやるから!
人間だって知り尽くしてやるから!
覚悟しといてよ!」
鮎に向かって指を向けた
勝利予告をしたというのに、鮎はまだ笑っている