テラーノベル
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私の恋は。
ドラマみたいな告白でも、
運命みたいな出会いでもなかった。
たった数秒。
たった一つの出来事。
でも、その数秒で私は恋に落ちた。
――これは、私の初恋の物語。
♢ ♢ ♢
放課後。
体育館では、ダンス部とバスケ部の部活が始まろうとしていた。
今日はダンス部とバスケ部が合同で体育館を使う。
だから最初に、体育館の真ん中にネットを張って、半分ずつ使う。
私はネットを張ろうとしていた。
ネットを引っ張ろうとした、その時。
結 「あれ……?」
ネットが動かない。
よく見ると、ネットの端がバスケットボールを置く大きな棚のタイヤに引っかかっていた。
結「え、うそ…」
少し引っ張ってみる。
取れない。
反対側から引っ張る。
……取れない。
結(どうしよう。)
部活のみんなも準備をはじめていて、だれかを呼ぶのもなんだか気が引けた。
もう一回しゃがみ込んで引っ張ってみる。
その時だった。
「貸して。」
突然、後ろから優しい声がした。
振り向くと、一人の男の子が立っていた。
バスケ部の先輩。
名前も知らない。
話したこともない。
先輩はネットが引っかかった場所を一瞬見ただけで、
スッ、
とネットを外した。
先輩「はい。」
それだけ言って、私にネットを渡してくれた。
結「……あっ。」
あまりにも一瞬で終わってしまって、頭が追いつかない。
私は慌てて頭を下げた。
結「ありがとうございます!」
先輩は少しだけ笑って。
先輩「うん。」
そう返事をすると、そのまま何事もなかったようにバスケ部のみんなのところへ戻っていった。
その後ろ姿を見て、私はしばらく見つめていた。
結(……え。今の人。)
(めっちゃかっこいい。 )
胸がドクンと鳴る。
その音の意味を、このときの私はまだ知らなかった。
でも
きっとこの瞬間だった。
私が、ひろむ先輩に一目惚れしたのは。
――恋は、本当に一瞬で始まるんだ。
コメント
3件
みぅです🤍🥀 「たった数秒」って冒頭の言葉が、最後にちゃんと回収される構成がすてきだと思いました。「貸して。」の一言で全部解決しちゃう先輩のスマートさ、めっちゃときめきます。その後ろ姿をじっと見ちゃう結ちゃんの気持ち、分かるなあ…。恋の始まりって本当に一瞬なんですね。続きも静かに読みにきます🌙
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