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こ ぁ 🍍
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その日、美咲はひとりで町外れの公園に来ていた。
遊具は古く、子どもたちはほとんど来ない。
ただ、大きな花壇だけがやけに手入れされていて、色とりどりの花が咲いている。
美咲は花壇の前にしゃがみ込み、ぼんやりと花を眺めていた。
「……きれい」
誰に聞かせるでもなく、そう呟いた瞬間。
ふわり、と空気が揺れた。
花壇の中央、ひときわ大きな白い花の上に、
小さな人影が立っていた。
手のひらサイズ。
透き通るような羽。
髪は淡い桃色で、花びらみたいに揺れている。
「やっと、見える人が来た」
その子は、はっきりとそう言った。
美咲は声も出なかった。
驚きすぎると、人は逆に動けなくなるらしい。
「……え、あ……?」
「こんにちは、人の子。私は 華(はな)。花の気配から生まれた妖精」
妖精は胸に手を当てて、丁寧にお辞儀をした。
美咲の世界が、一気に現実味を失った。
夢かもしれない。
でも、夢にしては、あまりにもはっきりしている。
「……私、疲れてるのかな」
「疲れてるね」
華はあっさり言った。
「心が。すごく、すり減ってる」
その言葉だけが、やけに胸に刺さった。