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8 - 第8話 春嵐(韓日、春嵐さんから)

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2025年08月03日

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春嵐ちゃんからのリクエスト、🇰🇷🇯🇵です。韓日というより、🇰🇷→→…→→🇯🇵になっちゃいました。

タイトルややこしくてすみません。なんかピッタリすぎるだろ、と。





昼のざわめきが過ぎた食堂。

だんだんと入口に吸い込まれていく人影を横目に、スマホを撫でくりまわす。


別にぼっちな訳ではない。

満腹感を振り払ってまで声をかけたいような仲の国がいないのだ。


「韓国さん。」


ぽわり、と綿毛みたいに呑気な声。

読みかけの記事から顔を上げる。


「ここ、いいですか?」


そう言って、トレイを掲げてみせる日本。


「後10分くらいしかないけど?」


自然と口からこぼれたのは許可でも否定でもなく、つっけんどんな言葉だった。


「えっ、ほんとだ!」


焦ったように席につき、箸袋を裂く日本。

白米を口に入れた途端、黒の相貌に光が灯る。


「猫舌なんでしょ?……ヤケドしないでよね。」

「ふぁい。」


おいしい、という叫びが聞こえてきそうなほど紅潮した頬。

小さな口いっぱいに主菜を詰めていく日本を眺める。

忙しなく動く口元に妙な安心感を覚えていると、不意に跳ねた声がした。


「あつっ………!?」


湯気立つ味噌汁。びくん、と震える薄い肩。

案の定ヤケドでもしたんだろう。


皿の上に魚が載っていないないことを確認して、言わんこっちゃない、と呆れた目を向かいに寄越す。


その瞬間、地球の動きが狂ったのかと思った。


妙にはっきり見える、薄い膜をはっていくつぶらな瞳。

突き出された赤い舌が、花びらのように揺れている。


「韓国さん……痛いれす………。」


火傷を庇うためか、舌っ足らずになった口調。

整った眉も、情けなく垂れ下がっていて。


思わず乱暴に手元のお冷を差し出す。

もちろん、まともに目なんか見れやしない。


「バカ。言ったじゃん。」

「ありがとうございます……。」


うぅ、と小さく声。

白魚のような手にコップが収まる。


氷の浮かんだ水面が唇に触れ、ゆっくりと傾けられていく。

細い喉が上下して、透明な液体を飲み込んだ。


日本が離れたプラスチックの縁に、痕がふたつ。


「ぁっ………。」


その意味に気付いて思わず出かかった声を、どうにか飲み込んだ。

思わず自分の唇をなぞる。


触れたのは「痕」だけなのに、痛いくらいに心臓が鳴る。


「………韓国さん?」


小首をかしげる日本は、また上目遣いになっていて。

逆流しそうな勢いで送り出される血液に、言葉が暴発した。


「かっ、勘違いしないでよね!?別にお前のこと嫌いだしっ!!」


それだけを残して、一目散に逃走した。




***




カーテンの隙間から溢れる街灯が、青く沈んだ部屋の中をたゆたっていた。


暑さも、枕も。全部全部息苦しい。

それでも海底のような閉塞感からは逃れられず、ただひたすらに低く呻く。


その時ピロン、と通知が鳴った。

画面には新着メールが一件。


『韓国さん、昼間はありがとうございました。僕、何かしちゃいましたか?もしよければ、今度お詫びに…』


ぼすっ。


そこまでで枕に突撃した。


やはり、無自覚だったようだ。

こんなに他人様の心をかき乱しておいて、何が『何かしちゃいましたか?』だ。


喉元に、苦笑のような声が詰まった。


「タチ悪ぃんだよ、アイツ………。」


何度ため息を吐いたかわからない。


耳の奥に入ってしまった水のように、日本の声が反響している。

耳を塞いで布団にくるまると、今度はまぶたの裏にあからんだ顔。


そして痛みでほんの少し歪んだ、ぽってりとした薄桃色のくちび____


「だぁーーーーーーーっ!!」


デジャブを覚えながら立ち上がり、一目散に洗面所へダッシュする。

そのまま鈍く光を反射する蛇口にアッパーをかました。


最近忙しかったせいで溜まっていた欲が刺激されただけ。

アイツが細くてやわらかいから、女みたいに見えただけ。


違う!違う違う違う!断じて違う!!


呪文のように脳裏を唱えて、ごしごし口元を洗う。


てのひらから顔を上げると、口周りを真っ赤にした……いや、首元まで真っ赤になった自分が鏡に写っていた。


それにつられたように、胸の奥に小さな日が灯る。


怒りでも呆れでもない、もっと深く、苦しい何かが。


痛いほどにわかってしまった。

この海馬を泳ぎ回る記憶も、胸を貫く小さな痛みも。

全てがもう、手遅れだということに。


だって僕は、アイツのことが……


「あぁ〜〜〜……くそ………。」


ぐしゃぐしゃとした感情が、羞恥と共に頬を熱する。


完全に。完膚なきまでに。もう、戻れないほどに。

よりにもよって。手違いでもなく。本当に。


あのどうしようもないバカに、惚れるだなんて!

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コメント

18

ユーザー

海さんのほうでも大丈夫ですか? もし厳しそうなら日帝さんでお願いします!

ユーザー

本当ですか✨️ 有難うございます😭勿論、どれだけでも待たせて頂きます😭 やっぱり不穏なんですけど日帝兄弟に再教育されちゃってたくさんごめんなさいする日さんをどうかよろしくお願いします🙇🙇🙇

ユーザー

どうもお久しぶりです!! 実は猛烈にわか様の書かれる小説が読みたい衝動に襲われてしまいまして……宜しければリクエスト良いです?

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