テラーノベル
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相変わらず何を言っているのか、訳が分からない。俺はなんとか悟を落ち着かせようと話しかけた。
「とにかく、落ちつけよ。純がどうとか言ってたよな、おまえ。けど、まさか純の幽霊が連続殺人鬼だってんじゃないだろ?」
すると悟は、今まで見たこともない鬼気迫る表情で叫び返した。
「だ・か・ら! そうとしか考えられないじゃないか! それ以外にどう説明できるっていうんだよ! あの信じられない異常な殺され方を!」
「い、いや……仮にそうだとしても、なぜおまえがそんなに怯えてるんだよ?」
「だって俺は五人目じゃないか! 次は俺だろ! どう考えたって次は俺に決まってるじゃないか! それにおまえだって七人目なんだろうが!」
「五人目? 七人目? 何なんだよ、その五人目だの七人目だのってのは?」
「な!……おい、まさか、本当に……おまえ親から何も聞いてないのか?」
「だから!聞いてないって、何をだよ!」
「ココニイタノカ……」
その言葉は俺のでも悟のでもなかった。悟はもちろん、俺もびっくり仰天して辺りを見回した。それは俺たちからわずか五メートルぐらいの距離にいた。
変だな。いくら悟と話をしていたと言っても、これだけ近くに人が来る気配に気づかなかったなんて。
相手は夕闇にまぎれて姿がよく見えない。暗闇の中に妙に鋭く光る二つの目だけがランランと輝いている。
悟がまた悲鳴を上げてあわてて立ち上がった。その顔は恐怖で完全に引きつっている。
まさかこれが深見純の幽霊だってのか?
「ミツケタ……」
その影のようなやつがまた言葉を発する。確かに人間の声とは思えない。男か女かも分からない、まるで地獄の底から響いて来る怪物のような声だ。
俺もいつの間にか冷や汗でTシャツがびっしょり濡れていた。確かに普通じゃない、この相手は。それが幽霊なのかどうかはともかく。それに純の幽霊だとしても、なんで悟の所へ化けて出てくるんだ?
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